第43話 任せてください、麗奈さん!
お待たせ致しました!
1日掛けて書いた短編の纏まらなさに力不足を感じてボツにしたからモチベだだ下がり!
短編の異世界姫『にょにょにょ』(五歳)……君はお蔵入りだよ。
魔法女子高生『ののの』を短編で……それから……のののシリーズを量産するしかない。
パティシエール『ののの』とか良さそう。と、ここまで考えた結果――
でも、『右(略)』以外の『ののの』は『ののの』じゃなくない?という境地に至った。こういうのを迷走してるって言うんですね……瞑想します。
では、短めですがよろしくお願いします!
(´ω`)
「そこは……そう、もっと……優しく」
「は、はい」
米良先生のレッスンは苛烈さを極めた――主に俺の精神面での話だが。
米良先生に、体育祭では擦り傷が多いという事を教えて貰い、その処置の練習をしている。実際に怪我をしている訳ではないが、米良先生が怪我人として役を作って指導してくれていた。
「そう……良いわよ。手順の復習をするわよ? 周りの砂とかを洗い流したら、ガーゼで血を拭って、消毒と絆創膏や大きめのガーゼで止めるのよ? じゃあ、次は足を捻った生徒への処置よ?」
「せ、先生!?」
米良先生が黒のストッキングでより細く、より綺麗に見える足を……くそっ! この人、生徒をからかって楽しんでるな!? 純情な生徒を何だと思ってるんだ!
「あら? 少し大胆過ぎたかしら……? 仕方ないわね、今日は手首の捻挫にしておきましょうか。足の方は……次回ね?」
でも、よく考えたら足を捻挫した女子生徒は米良先生の所に行くんだよなぁ。うわ……気付かなければ良かった。そうだ! 一応、必要かもしれないから次回はしっかしと教えて貰おう。そうしよう。
◇◇◇
捻挫の時の包帯の巻き方やらなんやらを教えて貰い、今日のレッスンが終わった。時間的にはそこまで経っていない筈なのだが、天気が悪いせいで……まだ夕方なのに既に薄暗く感じる。
部活が終わる時間でも無ければ、わざわざ理由も無く居残りをしている人は居ない時間。一緒に下校する人が居ない俺は、一人で下校していた。
「くっ……古傷が痛むな」
雨の日に、つい言いたくなるただの戯言だ。特に意味なんてモノは無いし、なんなら痛む様な古傷さえ無い。
「わかる」
そう……だから、例えば誰かが共感してくれたとしても、俺が共感出来ないのである。その人が本当に痛んでいたとしても俺には全く関係の……ない? ん?
「ののの?」
「神戸?」
確かに俺は神戸だし、目の前に居る子は間違いなくののの。これくらいの言葉足らず具合は察して欲しいとも思うが、のののはあえて冗談として返して来ているのかもしれない。侮れないのがのののである。
「のーのーのー?」
「かーんーべー?」
俺が首を傾げると、のののも傾げる。まぁ、のののの悪ふざけだと分かった事だし……何故居るのかそろそろ聞くか。
「先に帰ったんじゃ無かったのか?」
「? 償うって言った。お昼だけじゃない……」
マジか……勝也を始めとして皆が見捨てて行くからのののも呼び出された事に対しての発言かと思った……放課後になってからずっと待っててくれたのかな?
「ごめん、ののの。まだ完璧には読み取れて無いみたいだ。うん! ならせっかくだし、どこか寄って帰るか! 待たせちゃったし、俺の方が多目に出す感じで」
「やった。神戸、急ぐ、急ぐ」
急ぐと言っても雨だからな……ゆっくり歩かないと危ない。急がば回れと言うだろう?
「はいはい、でも、走らないぞ! 早歩きまで」
この後、のののとファーストフード店に入って、二人で軽くポテトを摘まみながら前に買った話をしたりテストについての話や髪型への拘りについての話でそこそこ盛り上がった。他の人から見れば、特に笑い声があるわけでも無いし、会話のキャッチボールの回数が多いわけでも無いから楽しそうに見えないかもしれないが、俺とのののにしてみれば、楽しい放課後のひとときに違いなかった。
「神戸、また明日」
「じゃあな。滑らない様にな」
駅のホームに向かったのののを見送り、俺も自宅へ向けて歩き出した。今日からは夜にちゃんと勉強をしておこうと、やる気になっている。『脱! 普通の成績!』を目標に頑張るつもりだ。高二のこの頃からやり出しておかないと……手遅れになりそうだしな。
◇◇◇
「ごちそうさま~」
「今日……マノンちゃんは来ないのかしら? ふふふ」
「そうだぞ青~。ははは」
晩御飯が終わる時間帯に言い出されても反応に困る……こういう時は無視で良い。とは言っても完全な無視は憚られるから、『ひひひ』と笑ってリビングを後にした。俺は今から勉強をしなければならないから、両親に構っている暇はないのだ。
「ふぅ……」
部屋で一息。この一息が終わってから勉強を始めるつもりだ。まだ、こう……区切り! みたいな感じでは無いから、もう少しタイミングの良い時から始めたい。
「あと、五分くらいかな」
そしたら、準備して二時間くらい集中しよう。俺はやる時はやる男である。
メールだよ! メールだよ!
「メール? 誰からだろ……ブラック?」
『ブルー! 神アニメの『エリーとユウリ』の劇場版が九時からテレビで放送されるが、準備はできてるか?』
な、な、なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇ!! あのアニメ劇場版とかやってたんだ! それに、テレビ放送だって!? 知らなかった……今が七時五七分……あと一時間あるが、こうしちゃいられない! アニメ版の最終話を見返して……風呂にも入って……よし、急ごう! ドジ可愛いエリーを観るの為に準備をしなければ!!
風呂に入ろうとしていた碧と鉢合わせたりしたが、気にせず風呂に入り、色々と準備をして劇場版の放送に間に合わせた。そして……放送が終わるまでテレビの前から動かずに、エリーの可愛さを堪能したのである。
「はぁ……劇場版もドジ可愛かったなぁ~ふぁ……今日は宿題も無かったし、寝るかぁ」
机の上に準備しかけていた勉強道具を一瞥した俺は、数秒だけ停止したが……すぐに布団に潜って電気を消した。明日からでいいよね、今日は月曜日だし。
◇◇◇
今日も肌寒さを感じながら目を覚ました。少ししか開かない目で窓を見ると、雨が降っていた。どうやら寝てる間に止まなかったらしい。今日も雨だ。梅雨に入ってるもんな、雨が強くないのだけが……まぁ、ラッキーかな?
そんなこんなで、昨日程では無いが普通に起きて朝食や身支度を整えて早めに家を出た。
「あっ、麗奈さーん!」
「ん? どうした青、珍しく早いじゃないか?」
俺が家を出て麗奈さんのお宅に差し掛かった時に、タイミング良く麗奈さんが現れた。確かに二日続けて早めの登校は自分でも珍しいと思う。
「偶々ですよ。明日はきっと、いつも通りです」
「ふふっ、忘れ物は無いだろうね?」
ほとんどの教科書は学校の机の中だ。死角は無……今日、体育あるんだった!
「体操服! あっぶねぇ……ありがとうございます麗奈さん! 助かりました」
「少し待っててあげるから、取っておいで。一緒に行こうじゃないか」
家はすぐそこにある。急いで取りに行って、戻って来ても二分くらいだろう。俺は麗奈さんに待って貰い、色々と感謝をしながら体操服を取りに戻った。今日の体育は外じゃなくて体育館だな。
「……っと、お待たせ致しましたぁー……ん? どうかしましたか? 麗奈さん」
「いや、実友里が熱をだしたらしくてな……今日は休むらしい。ふむ……」
副会長……風邪でも引いたのかな? 確かに気温の浮き沈みがある時期だから体調を崩しやすい。長引かずに、早く良くなればいいけど……。
「何か困りごとですか?」
心配そうな雰囲気の他に、どこかそんな雰囲気を感じた。生徒会で何か予定があったのか、個人的な用事かは分からないけど。
「あぁ。今日は実友里と体育祭で使う用具のチェックをする予定だったのだがな……風邪では仕方ない。予定をずらして治ってから……」
「麗奈さん! それって、俺にも手伝える事ですか!? 副会長ほどはお役に立てないかもしれませんが! 男手が必要な作業なら……是非!」
副会長には悪いが、この提案は休んでいる副会長の代理としてではなくて、ただ俺が麗奈さんの手助けをしたいだけの話である。麗奈さんが困っているなら助ける……これまで色々と助けて貰ったのだから当然の事だ。
「よし、その熱意を貸してもらおうか。実友里には安心して体調を戻す様に言っておこう。青、放課後になったら連絡を入れるから……帰るんじゃ無いぞ?」
「えぇ、任せてください!」
体育祭で、どの生徒がどの順番で走るかを纏めてある紙は、生徒会で無い俺が触るや見る事は、情報の流出という点でできない。その為、俺でも手伝える道具のチェック等でしか麗奈さんの為に頑張れない。だが、それならそれで……と、俺は朝からやる気に満ちていた。
「塵や埃で汚れるかもしれないから、体操服に着替えるのもありだな……青、私も体操服を持ってくるから少し待っててくれ」
「わかりました」
どんな感じの作業かは分からないけど、そこは上手く麗奈さんに操って貰おう。そんな事を考えながら、俺は麗奈さんが戻ってくるのを待っていた。
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今はモチベ下がり時だから、調子出てきたら改稿とかちゃんとしよう。あと、短編の練習とかしたり……ふひ(´ω`)