第4話 あちゅい
こんな時間ですけど書き上がったので投稿します!(ノ-o-)ノ~
「う~ん、今日は雨か……まるで俺の心模様……」
「お兄ちゃん……朝からツラいよ…何がツラいって、朝からポエミーなお兄ちゃんを見ちゃった私がツラいよ」
朝起きて、窓にぶつかり鳴る雨音を聞きながらゆっくり体をお起こ…………
「うおっ!碧……居たのか!?」
「朝ごはん出来てるよ! お兄ちゃん!」
部屋の扉を勝手に空けて、碧が俺の部屋に侵入していた。起こしに来てくれるのは嬉しいが……普通はノックくらいするだろうに。
「了解。すぐ行くよ。……それにしても雨かぁ~、どんよりするよな、どんより……とりあえず食べに行くか」
リビングに行くとお父さんは既に会社へと行ってたみたいで、碧は先に食べ初めていた。
「青、今日はちょっと弁当までは作れなかったから売店か学食にでも行きなさいね。はい、お金」
「分かった。お母さん……また寝坊?」
うちのお母さんは朝が強い訳では無いし、たまにやらかす事がある。今日も単に起きるのが面倒だったんだろうな。
「昨晩、お父さんとね……」
あっ……いや、そんな話は聞きたく無い……かな? うん。良いとは思うけどね?うん。
「映画観てたら寝るのが遅くなったのよ~ごめんね~。そもそもお母さん、朝弱いし、あはは~」
「分かってた! 大丈夫、そんな感じの理由だと分かってた!」
「……? 変なお兄ちゃん。……ご馳走さまでした! じゃあ、私は先に行くからね!」
お父さんと一緒に映画鑑賞か、それはそれで仲睦まじくて良いな。
「おーう、行ってらっしゃい。俺もさっさと食べて準備しないとな……」
朝食を食べ終え、顔を洗って、歯を磨いて、髪型をセットして……うん、外が雨だからかな? イマイチだな。
「青~、いつもと変わらないわよ~早く行きなさーい!」
キッ! ……男子の朝の髪型チェックの大切さを、お母さんという者は理解してくれないモノだな。……まぁ、別にもういいか。
制服に着替えて持って行くもののチェックを済ませると、出発しとかないといけないギリギリのいい時間になっていた。
「じゃあ、行ってきまーす!」
「気を付けるのよー」
お母さんに見送られ、傘を手に玄関を開けて外の様子を確認した。
「雨けっこう強いな……うへぇ~」
気持ちが沈み込む中、俺は家を出発して雨でどんよりとした空の下、また注目されるのかな……なんて考えながら学校へと足を進めた。
◇◇◇
「ふんふふーん、雨雨降れ降れ……いや、もういいや。暑いより寒い方が好きだけど雨はそこまで好きじゃないな……」
学校の近くまで来ると生徒達も増え出して一緒に登校してる者、一人で登校している者……と様々だ。俺は一人で登校している。待ち合わせももう……ふっ。朝から凹む事を考えるのは止めておこう。ポジティブ、ポジティブ!
靴を履き替え自分のクラスへ向かうと途中でジロジロ見られる。やっぱり一日、二日くらいじゃこんな感じだよな……。ん?
「勝也! おはよう~」
「おい、ちょっと耳貸せ!」
昨日の今日でまたか。昨日は何もしてない筈だけど?
「……それで? どうした勝也?」
「青、お前……ヤバイ事になってるぞ。何がヤバイって評判がヤバイ。学校で漏らした奴より評判が悪くなってる」
はっ……? いや、いやいや! まさか……ねぇ。学校で漏らした奴より評判が悪いってそれ……え? 嘘だろ?
「勝也、それってどういう事だ?」
「あぁ、俺が登校した時には既に軽く騒ぎになっていたんだが……新山さんの目の下に隈が出来てたみたいでな。本人は、平気とか寝不足なだけ……とは言ってるけどやっぱり周りがな……」
目の下に隈。そして周囲からの視線……なるほど。
「悩みや何だで寝付けて無い……的な? そしてその原因が俺……的な?」
「あぁ、人気者の新山さんの周りは更に女子が固めだしたぞ。お前、どうするんだ?」
どうする……どうするんだ? というか、どうすればいい? 俺が教えて欲しいんだけど……。一言。たった一言、誤解って伝えたいけど。……はぁ、やっぱり美少女は遠巻きに見ているのが俺には似合ってるんだろうな。今回の件でよく分かった。
あれだ、花も絵も美しい物は見て楽しむのが普通の事だ。けして凡人が触れて良いものじゃ無かったんだな。
「まぁ、同じクラスなんだし……さ、落ち着けば機会くらいあるだろうよ。チャンスがあれば誤解って事だけは伝えてみるよ。後はまぁ、なるようになるって! 心配どうも、勝也」
「お前は……自分の気持ちだけじゃなくもっと新山さんの事を考えるべきだな。……あー、考えてるかも知れないけどもっとだ。もっともっと。普通なら新山さんクラスの女の子が漏らし野郎以下の青と付き合う訳無いだろ? 物事には理由がある。……っと、そろそろ時間だな。教室入ろうぜ」
「……おう」
勝也……紅亜さんと付き合った時はまだ漏らし野郎以下じゃ無かったんだぜ? いや、漏らした訳じゃないんだが……そこは間違えないで欲しいぞ。
教室に入り、自分の席に座る。……視線は出来るだけ気にしない様にしないとだな。
「神戸、神戸」
「おはよう、ののの」
のののは平常運転……より、少し眠たそうだな。
「神戸、後で髪やって」
あー、湿気で纏まってはいるが……色んな事になってるな。
「今日は……髪を櫛で整えて簡単に結ぶだけにしておこうか」
「うん。神戸に任せる」
"に、新山さん? さっきからシャーペンの芯が折れてるけど大丈夫?"
"え、ええ。湿気のせいだと思います。大丈夫ですよ"
"そうですか。隈まで出来てしまって………が噂とかありますけど、私達は新山さんの味方ですから!"
"いや、その……"
"分かってますよ! あ、先生が来たし……またね"
"あの、私は……あぁ……"
「起立!気を付け~おはようございます」
「「「おはようございます」」」
クラス委員長の挨拶により、今日も学校がスタートした。
「はい、おはようございます。全員いますね。特に連絡は……ないですよ。今日もしっかりね。以上です」
うちの担任は連絡無いと本当に短いな。お陰でゆっくりとのののの髪を整えられるから良いけど。
「神戸、一時間目?」
「んーと、数学だな」
教室の後ろ側にある小さめの黒板に、その日の授業が昨日のホームルームの時に書き換えられている。それを一瞥して教えて上げた。
「なら、大丈夫」
「いや、一応はちゃんと授業を受けような? 頭が良いのは分かるけど……」
まぁ、のののより出来てない俺が注意するのもおかしいが、授業態度とかも成績に反映されるしな。
「神戸、今日も」
「だな。有名人はツラいぜ~」
のののは会話があらぬ方向へと飛ぶことがあるが、今のは俺以外の教室を見渡しての一言だった為、何とか理解が追い付いた。
「神戸が見られてるとついでに私も見られる。それは少し困る……」
「目立つの苦手だもんな。ゴメンよののの。その内ちゃんと誤解を解いてこの空気も無くしてみせるよ」
隣の席だから巻き込んじゃってるもんな……。
「出来るの?」
「わからん……ののの。成績オール三だぞ?そんなにすぐ解決法とか出せるかよっつーの」
自称、頭の回転は速い男と思っているが……それはのののとの会話にだけ発揮するヤツだ。
「神戸、ダサい」
「自分が一番分かってるから声のトーンを変えずに言わんでおくれ……。はい!シンプルだけど、今日はこれでいいだろう」
声のトーンは変わっていないが、口元だけは少し上がっていたのだろうな。髪を結んでいたから実際に確認したわけじゃ無いけど……後ろから見たのののからはそんな気配がしていた。
「似合う?」
「似合う似合う!」
のののの眠たそうな表情によく似合う……と思う。
「なら……良い。ありがとう神戸」
「はいよ。そろそろ授業の準備しなきゃだな」
"新山さん? シャーペンの芯が……"
"し、しっと……んん! 湿気のせいですね"
授業中、ポキッ……ポキッ……という音がたまに……いや、頻繁に教室内で鳴り響いていた。
◇◇◇
「はぁ……。やっと午前中は終わりかぁ~やっぱりレベル高いなぁ……」
「神戸、ご飯」
お昼休みだな。今日はお母さんが弁当を作り忘れたからお金を貰っている。今日は学食かなぁ~。
「今日は学食にでも行こうかと思ってるよ」
「奇遇」
のののはいつも菓子パンを頬張っているイメージがある。本当に奇遇だな。
「おっ、なら一緒に行くか? 一人学食の人もたまに見かけるけどどうせなら二人の方が良いよな」
俺とのののは教室を出て学食へと向かった。学食に向かう途中は三年生、一年生も居るため当然見られる。
「人の噂も七五日、人の噂も七五日……」
「意外と長い」
たしかに、二ヶ月と少しだもんな。
「だな。席は……余裕はあるな。先に食券を買いに行くか。のののは何食べる?」
「寒い。うどん」
確かに、冬を過ぎたとはいえ……今日は肌寒い。
「雨で気温が少し下がったからな。いいね、俺もうどんにしようかな?安いし」
券売機の列にならんで少し、順番が回ってきた。
「えっと……讃岐、京、稲庭、伊勢、きしめん……多っ!? 前に来た時はこんなに無かったぞ!?」
「成績優秀者の特典」
なるほど……猛者が居るなぁ。
「相当なうどん好きが居たんだな……お陰でこうして俺達も楽しめるけど、これ、作る人がプロ過ぎない?」
出汁から麺の種類から……違う点が多いし、大変だろうな。
「私は讃岐」
「俺は……俺も讃岐でいいや」
券売機で購入したら隣のカウンターに並んでおばちゃんに券を渡し、半券を返して貰う。出来上がるのは券を渡した順番だから前の人さえ覚えておけば問題ない。
料理を受け取ったら後は席に着いて、食べたら返却って流れだ。
「ふぅーふぅー」
「のののは猫舌か? なんか似合ってるな」
猫舌が似合うと言うのが良いかどうかは別として。
「あちゅい」
「熱い……けど美味いな。のど越しが! のど越しがいい」
俺も猫舌よりだから少し冷まさないと……だが、体が温まっていく。
「下手」
「すまん、美味しいのは食べれば分かるし言わなくていいか」
"おい、あれ"
"うそ、珍しいというか"
"というか……というか?"
"あの男だろ?"
"どうしよっかな~俺にもチャンス?"
"いや、お前には無理だって…"
"でも、あの男でも行けたんだぜ?"
"七不思議の一つだよな"
「ん? 少し騒がしいな」
「困る」
何故か、急に食堂内で会話が増えた。一つ一つを聞き取るのは少し難しいが、誰かが来たのかな?
「……? そうだな、静かな方が良いよな」
「神戸に言ったんじゃない」
俺に言ってない? のののは一人言とか言うタイプだったけか?
「ん? どういうこと?」
のののの顔は俺の方を向いてる……向いてない? ちょっと後ろ?
俺はゆっくり振り向いて息を飲んだ。
「隣、空いてるわよね? ……神戸青くん」
「くれ……新山……さん?」
ちょっと待ってくれ。会話があるのはまだ先の事だと……心の準備……出来てないよ?
作者、初めて書いた転生物をなろうに投稿し始めたのが3ヶ月前くらいのペーペーでして…
つまりラブコメを書くのも初心者な訳でして、暖かく見守って頂けると助かります(´ω`)