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第37話 ……来ちゃった

お待たせしました~

よろしくお願いします!


まさか、放課後デート的なのに続き、お家デート的な回もマノンさんが初になるとは驚きですね。

 


「ただいま~」



 家が静まり返っている。返事も無ければ物音一つしない。出掛けているのだろうか? そういえば部屋と玄関を通っただけで、家族とはすれ違いも無かったな。



 ピンポーン!


 何故か、家のチャイムが鳴った……。振り返ると谷園の姿が無く、一緒に入って来て無かったのを不思議に思いながらドアを開ける。



「……来ちゃった!」



 ……なるほど。そういうベタな事をやりそう……というか、好きだもんな。だから俺は――そっとドアを閉めた。ついでに鍵を掛けてみる。



「あ、青さん!? 冗談です! 冗談ですよっ! 入れてください! ちょ、鍵開けて!」


「わ、分かったから人の家のドアノブをガチャガチャするな!」



 ドア越しに注意したが、ちゃんと聞こえたのだろう。静かになった。勿論、少し放置する。そっちの方がベタだからな。



「開けろー! 開けろー! ……あれ? 青さーん? 居ますよね? えっ!? 青さん!? 青さん!?」



 もう……いいか、ドアを叩き出したし。俺は鍵を解錠して谷園を迎え入れた。一通りネタに付き合ってあげたからか、谷園は怒っておらず……少しだけ笑っていた。



「お邪魔しまーす。いや~……男の子の家に来るのは初めてですし、少し緊張しますね! 部屋漁って良いですか?」


「いらっしゃい。とりあえずリビングがそこのドアから入れるからテキトーに座っておいてくれ。トイレとか洗面台はアッチな。あと、良いわけないだろっ!」



 とりあえずチョップをしておく。谷園が手を洗ってからリビングに行くと言うので、俺は自分の部屋にテレビゲーム一式や映画やお笑いのDVDを取りに戻って来た。正直、何をするかまでは考えてなかったから持てるだけ持って行っておこう。


 前に勝也が来た時は二人でずっとゲームしてたし……谷園は何かさせてないと荒らしそうだからこのチョイスで良い筈だ。


 リビングに戻ってくると、谷園が俺の家族が写っている写真立てを見ていた。まぁ……気持ちは分かるけど、ジロジロと見られるのは少し恥ずかしい。



「谷園、コップを取ってきてくれ。可愛いのは妹のだからそれ以外で」


「了解ですよっ! ゲームですか? 良いですねー! 勝負しましょう、勝負!」



 コップを持ってきて、飲み物を注いで貰ってる間にゲームの準備をしておく。ただコードを繋げるだけだが。さて、何のゲームをしようか? 一応は対戦系を多目に持ってきたつもりだが……。



「この中から選んでくれ。飽きたら映画かお笑いでも見ようぜ。勝也も早く来てくれれば良いけど……午後くらいになるかな?」


「ど、どうですかね~。あっ、そうだ青さん。机の上にご家族からの置き手紙? みたいなのがありましたよ?」



 谷園に言われて机の上を確認すると、確かに置き手紙があった。



『青へ。お母さんとお父さんは出掛けてくるのでお昼は勝手に食べてください。母より。P.S.私は遊びに出掛けるよ! みどり』



 追記の文字はペンが違うし、言葉的に碧は一緒じゃないのか……えっ!? ていう事は誰も居ないのかっ!?



「谷園! 今、家に誰も居ないから音量上げていいぞ!」

「なーんか、気にする所が違う気もするんですが……ガッテンですよ!」



 谷園の言いたい事は理解している。誰も居ない家に女の子を連れてくるとか、普通なら警戒されても仕方ない事だろう。だが、後で勝也が来ると考えたら無意味な事である。そんな事より、音を気にせずゲーム出来る方が上に来る。



「お菓子! ジュース! ソファーに座りながらのゲーム! 今日みたいな日曜日は理想的だよなぁ」


「しかも、隣には超絶美少女のマノンちゃんですし! 良かったですね、青さん!」



 さぁ~て、なんだかんだ普通に(くつろ)いでる谷園と昼まではゲームに没頭しよう。貴重な日曜日だからな、ゆったりを基本に楽しまないとな。



「負けの多い方が昼飯の準備をするという事でどうだ? まぁ、家にはインスタント麺くらいしか無いけど」


「良いですよ! 私のゲーマーだった時代の力を見せてあげましょう……」



 ほぅ……それは楽しみだ。それから俺達は二時間程度、ゲームで対戦して遊び続けた。



 ◇◇◇



「勝ちました!」

「負けました……」



 谷園にゲーマー時代なんて物は当然無く、俺も別にゲームが上手いわけでは無いから近年稀にみる低レベルの対戦だったが、何とか俺の勝利で終わった。


 もう、嬉しい悲しいを通り越して程度の低さに『ダセェ……』という感情だけが、俺達の中にあった。


 それでも俺の勝ちである。昼飯の準備をやって貰おうかね。



「仕方ありませんね……私の負けですからお昼ご飯の準備をしましょうか。冷蔵庫の中を拝見しても良いですか? 流石にカップ麺だけでは寂しいでしょ?」


「……おっ? まさか谷園……料理出来るのか? 冷蔵庫の中は自由に使って大丈夫と思うよ」



 谷園がキッチンの方に行ったので、興味本位でついて行く。流石に麗奈さん程じゃないだろうけど、谷園に料理というイメージが無いから少し心配になってだ。


 冷蔵庫を開いた谷園は、卵を数個取り出しただけで後は何も取り出さずに閉じてしまった。



「卵料理?」

「甘めの玉子焼きでも作ろうと思いましたけど……青さんはオムレツの方が良かったりしますか?」



 何か慣れている。そんな気配を感じ取った俺は、この時点で安心して谷園に任せる事にした。その代わりに俺は、インスタントだがラーメンを作ろうと思って準備をし始めた。お湯を沸かし、茹でてから器に移し替えるという簡単な作業だ。


 流石に俺の方が早く完成するだろうから、もう少しだけタイミングを遅らせて、谷園の玉子焼きの完成と合うように作り始ようと、そんな事を考えている。



「醤油と塩味しか無かったけど……どっちが良い?」

「うーん、悩みますねぇ~……では、私は醤油でお願いします!」



 悩むなら一個ずつ作って半分にすればいいか。ちょうど良いサイズのお椀を四つ用意しないといけないが……別に、片付けの量が少し増えるくらいの些細な問題でしかないから気にしなくても大丈夫だし。



「ふんふんふーん!」

「ご機嫌だな?」



 うちのお母さんも料理の時にたまに鼻歌をうたう事があるが……そういうものなのかね?



「はい、休日のお昼に久しぶりの料理……しかも青さんの家でですよ! 新鮮ですし、テンション上げ上げですよっ!」


「そんなもんか……? あぁ、そうだ……お笑いでも観ようか? セットしてくるな」



 お笑いDVDを流し、キッチンに戻った俺は谷園が玉子焼きを作り上げるとほぼ同じタイミングでインスタントラーメンも完成させた。


 それをテレビの前のテーブルまで運んで二人でお昼ご飯を食べる。谷園が作った玉子焼き……甘口でとても美味しい。俺の味覚はほとんどの料理を美味いと判定するけど、それを抜きにしても美味しいと思える味だ。



「美味いな、これ」

「ふふん! 当然ですよ! お代わりは無いですから、味わって食べてくださいね?」



 箸を置いて、勝也から連絡が無いかスマホを見たが……まだ連絡が無い。もう少し待ってみるか……おっ、そろそろお笑いの山場だな。この先の展開で何度笑った事か……谷園にも教えといてやるか? あぁ……でも、この先が笑えるとかって伝えないのがマナーだよな?



「谷園……あ、やっぱ何でもない」

「何です? ではでは、次は塩ラーメンをいただきますかね……」



 やっぱり止めようかと思った時には既に遅く、谷園はラーメンを啜り、お笑いのDVDは山場となる部分を流し始めた。そして――



「フゴッ……!! うなぁ!? 痛ひ……麺がぁ~鼻がぁ~青さん、見ないでくださいぃぃ」


「ぷっ……ふふ……あはははははははははっ!!」



 そもそもの話、お笑いを観ながら麺類を食べていたのが失敗だったのかもしれない。谷園が麺を啜ったタイミングで笑いの山場がやって来て、谷園が吹き出した。そして……噴き出した。流石に予想できなかった谷園のあられもない姿に……俺もたちまち吹き出してしまった。



「あははははは……あ~あ、ごめん。面白すぎて笑いすぎた。ふふっ……早くソレをキッチンに流してきな」


「はいぃ……もうお嫁に行けませんよぉ」



 谷園には悪いけどかなりレアな光景を見せて貰えた。動画に取って置けばずっと楽しめたのに……残念だ。


 戻ってきた谷園は顔を真っ赤にしていた。それはそうだよな……女の子は特に恥ずかしいタイプのヤツだろうし。



「うぅ……内緒にしてくださいね?」

「…………う……くくっ……だ、大丈夫。でも……もう少しだけ笑わせて?」



 爆笑してしまった俺を谷園は叩くけど、目の前で鼻からラーメンをだされてみろ……笑わない方が難しいだろ?


 谷園によってお笑いDVDは一時停止されてしまったが、ご飯を食べ終えて食器を洗い終わった後はまたお笑いを観始めた。谷園はゲームとか他の映画よりお笑いの方が好きな様で、楽しんでいる様だった。



 ◇◇◇



 午後になって少し経った頃、ようやく勝也からチャットが届いた。



『すまん、用事が長引きそうだから今日はパスで』



 残念だが、用事があるなら仕方ない。俺は勝也に返事を返して、谷園にも勝也が来れなくなった事を伝えた。



「あっ、それは残念ですねー」

「良いの? 男の家に二人っきりって女の子的に警戒しない?」



 たぶん……俺の質問は至極真っ当な物だと思う。のだが、谷園は何故か笑い始めた。そこまでおかしな事は言ってない筈なんだがな……?



「そりゃ、私がいくらフランクな性格とはいえ……誰の家にでもホイホイ行く訳じゃ無いですよ? 誘われても男子の家なら特に警戒します。つまりは信用ですよ、信用。青さんのオーラは分かりやすいですし、信用出来ます!」


「信用……ね。面と向かって言われると少し気恥ずかしいんだが……まぁ、なんて言うか、谷園が気にしないならそれでいいや」



 勝也が来ないのは残念だが、谷園も警戒心をちゃんと持った上で家に来てる事を知れたし、なら遠慮せず普通に楽しんでおこう。



「そうだ、他に何かしたい事はある? ボードゲームとかも一応はあるけど」

「そうですね……では! 荒らさないので青さんの部屋に行きましょう」



 おい、どこに行った警戒心。信用されてるのは分かった。口にも出されたし。だが、信用という言葉でそうグイグイと来られたら、手を出せないヘタレと思われてる様で何か腑に落ちない気持ちになってくる……実際にそうなのかもしれないだけどさ。



「オーラがぶれませんか……何も隠して無さそうですね。面白く無いですが、折角なので行っておきますか」



 人の部屋に面白さを求められても困るんだが……危ない物はお父さんの部屋に隠されてあるし、俺の部屋自体には何も無い。だからまぁ、見られても別に困ることは何も無い。



「……こっちだ。言っとくが普通の部屋だからな?」



 俺は谷園を自分の部屋へと招待する事にした。何の変哲も無い普通の部屋だけど。



誤字脱字、その他おかしな箇所がありましたら報告お願いします!なにぶん……常に眠たいのでミスが多発。


紅亜さんの出番はきっと来るさ……その内……たぶん。体育祭辺りで……アイデアは舞い降りたので、それを上手く纏められれば!!(´ω`)

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