第31話 おおおお落ち着いて! とりあえず歩きましょう
喉が痛い! 熱は無い! たぶん、インフルとかでも無い!
ですが、なんか頭が働いて無い感じですかね……。変な所があったら教えてください。回復したら修正します(´ω`)
今日はやけにピリついて居たけど……明日は大丈夫かね? そんな事を家で考えていた。が、どうせ明日にならないと分からない事だからと思考を放棄する。
明日は金曜日。ようやくか……そんな事を思いながらアニメを観る。ブラックのオススメらしい『エリーと女子高に通う普通男子高校生ユウリ』縮めて『エリーとユウリ』というアニメを。
父親の借金を返す為に、金を借りているという父親の古い付き合いの友達が経営している女子高に入り、そこに通っていたエリーというハーフでやる気の無いドジっ子幼馴染みに勉強を教えたり何か色々とするストーリーだ。
◇◇
「これはブラックに文句を言わねーとなぁ……」
お も し ろ す ぎ る!
何だこれ……ドジ可愛い。キャラがドジ可愛いぞー! まだ半分しか観てないが……良き。
「もう、ご飯の時間か……食べ終わったら再開だな。早く食べてこよう」
ご飯を食べ終わったら後、再開して見終わったのは十一時を少し越えた頃だった。急いで忘れていた宿題をやり始めたが後悔は無い。なんせ、神アニメに出会えたのだからな。
◇◇◇
翌朝、寝る前には早く起きて行動しようと思う気持ちがあったが、無理だった。結局はいつも通りの時間に起きて、いつも通りの時間に朝飯を食べ初めて、いつも通りに登校していた。
なんだか、昨日と同じだな……なんて不安が頭を過ったが、それでも登校するしか無いと腹を括って歩いて行く。
「青さん! 青さーん! おはようございます~」
「おはよう谷園……朝から元気だな?」
学校が見えて来た所で後ろから谷園が小走りでやって来た。元気だからこそ谷園って感じはするが……何がそんなに谷園を明るくさせるのだろうか?
「ふふっ、青さんは今日も霞んでますね! ぷぷぷ、それだけで笑っちゃいますよ~」
「そうですかい……」
谷園の言葉に相槌を打ちながら校門を通り、靴を履き替え、教室へと向かった。自分の席に到着した訳だが……明るいのはどうやら谷園だけでは無いらしく……。
「神戸、早く早く」
「おはよう神戸君!」
「二人共おはよう……ののの、髪はちょっと待ってな」
俺は谷園に目で合図して、廊下に連れ出した。谷園も違和感には気が付いているのだろう、話す内容は分かっているみたいだ。
「谷園、何て言うか……女の子ってどうなってんの? 俺がアニメを観てた間に何があったの? のののは表情こそ変わらないがテンション高いぞ? 新山さんもニコニコしてたし……」
「はぁ……まったく、青さんは。女の子は色々あるんですから、その変化を見逃してると駄目ですよっ? まぁ、昨日はちょっとイライラする日だった、ぐらいに思っておけば良いと思いますね」
なるほど、谷園も原因は分からない……と。谷園が分からないなら勝也に聞いてみても分からないかな? ダメ元で聞いてみるか。
「分かった、とりあえず気にしない方向でいくか。ピリついて無いだけマシと思おう……」
「ですよ! あっ……」
何だよ、その『あっ……』って言うやつ。美容師と谷園みたいな奴が言うその言葉は怖い。
「いや、何だよ……」
「一昨日の恋バナで『ギャップ萌え』というヤツが出たじゃ無いですか? もしかすると……」
……はっ!? まさか、二日に渡ってのギャップ萌え……だと。そんな事がありえ……無いな。うん、無い無い。二人でやる意味はもっと無い。流石は谷園だな。冷静になれた気がする。
あれこれ考え出した谷園を廊下に置いて、先に教室へと戻った。
◇◇
「神戸……今日はおさげ」
のののからリクエストがあるなんて珍しいな。しかも、おさげとは。おさげなら……しっかり縛らないで耳より下、肩より上くらいの間で髪を留めるぐらいにして、結び目の上にふんわり感が出来るようにするのが一番だと思っている。もちろん三つ編みにするのも良いだろう。だが、軽く結んで……簡単に言うならツインテールの結び目を耳より下から肩より上くらいに下げた感じだろうか、それが至高である。
「よし! 雑に思うかもだけど、これが良いだろう」
「神戸が言うなら……ありがとう」
ゆったりとしたおさげが、ゆったりとしたのののにマッチしてるな。
「神戸君、今日は二人三脚……頑張ろうね!」
のののの髪を仕上げ、自己満足に浸っていると紅亜さんからお声が懸かった。体育は週に二回はあるもんな。そうか、気にしない様にしていたが男子の視線はそういう意味か。
大丈夫だ、安心して欲しい。二人三脚といっても横に並んで立って、足が結ばれているに過ぎない……それが駄目なのか。でも、肩か腰に手を回すだけ……って、それも駄目ですね。
この結果はクジですし……勝也も恨みっこ無しって言ってた気がしますし……悪いのは俺じゃない……と、思いたい。
「こ、転ばない様に頑張りますね?」
言い訳を並べて、何とか自分を肯定しておこう。今日が終れば休みなのだから、それだけを考えて一日をやり過ごしますかね。
――それから授業が始まり、消化され、四時間目の体育の時間がやって来た。
◇◇◇
「よしっ! 準備運動もし終わった事だ、競技の練習に入って良いぞ!」
さて……各々が練習の為に散らばった後で、足に巻くようのハチマキを取りに行って、ニコニコ顔で戻って来ている紅亜さんをどうしようか? ……おや?
「に、新山さん! 今回もバトンの練習……」
「あっ……えっと、ごめんなさい!」
「勝也、お前もこっちでバトンの……」
「悪い、前にこっちの練習しただろ? 次は二人三脚って約束もしたからな……すまんっ!」
勝也に声を掛けた方はまだしも……紅亜さんの方に声を掛けた男子が見るからに凹んでいる。そうか……告白とは違うけど、あれも一応はお断りされた訳だから、ダメージがデカいんだろう。
「神戸君、お待たせっ!」
「何だか楽しそう……ですね?」
こちらの心境としては、ちょっと複雑過ぎて、『一度、全ての悩みを切り捨てようかな……』っていう状態の一歩手前まで来ているんですけどね。
「うん、楽しいよ。ペアが神戸君だから……かな?」
喉まで声が、言葉が出かかっているというのに……『俺も』の一言が返せなかった。頬に熱があるのは風が吹く度に感じられる……そんな台詞は卑怯じゃないかな? 紅亜さん。
「と、とりあえず……私がハチマキ結んじゃうからね!」
「あっ、ありがとうございます」
谷園と勝也のペアはもう練習を始めていた。俺達はあんなに息を合わせて走れるだろうか? やってみなければ分からないけど、前途多難な気がする。それも最初からだとそんな気がする。何故なら――。
「さ、神戸君! 私の腰に手を回して」
「アッ、ハイ!」
こんなに密着するとは思っていませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!
近い近い近い! 余計な考え事をしている場合じゃないぞ! 谷園と勝也は身長差が十センチ以上はあるだろう。俺と紅亜さんには十センチあるか無いかくらいだ。だから顔が近い! それに、俺が思っていたより密着しているのではないだろうか!?
「に、にに新山さん!?」
「は、はひ! な、なな何でしょうか!? 神戸君!」
あ、あれ? 紅亜さんも落ち着きがない?
「そ、その……二人三脚って小中高を通して初めてするんですけど! こ、こんなに近いものなのでしょうか!?」
「わ、分かりませんけど! でも、この距離が良いのでそうしてみました!」
のののの髪を結ぶ時よりも近い。それが近距離というなら、これは密着である。イチとゼロには差があるという事だな。ヤバい……頭が働かなくなって来てる気がする。紅亜さんの分からないと言った所までは理解出来たが、その後の言葉が上手く処理されずに薄れていった。
「お、落ち着きませんが! とりあえず歩きませんか!?」
「そそそそうですね! 慣れるまで! 慣れるまで歩きましょう! 左からで! せーのっ!」
紅亜さんの掛け声に合わせて、俺達は自分の左足を踏み出した。
「「あっ……」」
――俺達は息を合わせたかの様に転んだ。そりゃそうだよな……紅亜さんが右に立って俺が左。紅亜さんは結ばれた足から、という意味で左と言ったのだろうけど……俺にとっての左とはフリーである方の足だ。
せめてもの救いは、まだ歩きであった事。それと、紅亜さんがこちら側に倒れてくれた事で潰さずに済んだくらいですかね。まぁ……今、現在進行形で俺が潰されているんですけど……ね!
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