第3話 難しい相談だな……
書き終わったから、すかさず投稿だ!
せい!(ノ-o-)ノ
※後半で指摘があった所に少し付け加えました
「ありゃりゃっしやぁ~」
俺は夜にでも食べようと思い、学校から我が家への帰り道の途中にあるコンビニでお菓子とジュースを買っていた。
学校から自宅までは徒歩で通っている。寝坊して遅刻しそうな時は自転車を利用しているが、帰宅部だし少しは歩こうという考えの元に徒歩通学を選んでいた。
「はぁ……」
何度目のため息だろうか……何に対するため息なのかも既に分からなくなってきていた。フラれた事、連絡も拒否られている事、直接話し掛けられない自分自身だろうか……。いや、でもあの空気の中で話し掛けに行く勇気は流石に無いわ……。
「そもそも何で付き合ってくれたのかなぁ……。勝也が嘘を言ってる可能性の方が高いけど、俺のアピールが空回ってたらしいし……。」
そもそも俺が紅亜さんにアピールをし始めたのは……たしかあれは、中学三年生の時のクラス替えでたまたま同じクラスになった四月頃の話だ。一人で読書をしていた紅亜さんの笑った顔を偶然に見た事があった。……その時は横顔だけど。
そしてその時に思った、思わされたと言った方が適切かもしれない。純粋に単純に、『綺麗だ……』って。思わず見蕩れたその瞬間に……と、何の変哲もないが良くある理由が始まりで、仲良くなりたい、お近づきになりたいって気持ちで……アピールをし始めていた。
話し掛けに行ったり、重そうな荷物を運んであげようとしたり……地道に頑張って、高校に入って更に約一年経ってからようやく告白したのだ。
「この一ヶ月は幸せだったな~。紅亜さんは部活もしているから中々遊びにも出掛けられなかったけど、それでも楽しかったな」
ダメだ……思い出が未練となっている。ちゃんと現状を見つめないとな。はぁ……でも、やっぱり一言だけでも誤解って伝えたい。もう一度付き合うなんて周りが、空気が、許してくれないんだろうな……。
「っと、独り言を行ってたらもうすぐ家か……。流石にこの辺でブツブツと言ってたら噂されかねないから止めておくか」
俺は黙々と歩いて自宅の玄関の扉を開けた。
「ただいま~っと、あれ? 知らない靴が?」
「あ、お兄ちゃんお帰り」
玄関を開けた先を偶々、碧が通りかかった。
「ただいま、碧の友達でも来てるの?」
「うん! 家も自転車で行ける距離の子だから、宿題を一緒にやろうって!」
ほうほう。俺も小学生の頃はよく麗奈さんと宿題をした事がある。……まぁ、教えて貰ってばかりだったけど。
「そうか……あ、ならこれ。お菓子買ってきたから食べて良いぞ! 家に何も無かっただろ?」
「いいの!? ありがとうお兄ちゃん、助かるよ」
せっかくのお友達なんだし、安いお菓子だが無いよりはマシだろう。
「じゃあ、俺は部屋に居るから」
「うん!」
俺は自分の部屋に入って、とりあえず着替えてベットの上に横になった。寝るわけでも無いけど、疲れを取るのにはこれが一番休まるからな。
「あ~宿題やんなきゃなぁ~ご飯前にやるか? いや、寝る前でいいか。漫画でも読も……」
しばらくの間、何度も読んでいる漫画を一巻から読み返していると、碧がやって来た。
「お兄ちゃん、今ちょっと大丈夫?」
「ん? 特に何もしてないからな。勉強か?」
小学生の問題だし、忘れてそうな理科系じゃなければ大丈夫なはずだ!
「ん~、そういう訳じゃないけど……私じゃ分からない問題だから手伝って!」
「分かったよ」
勉強じゃない? 答えられるか分からないが、とりあえず聞くだけ聞いてみるか……。
「じゃあ私の部屋にちょっと来て!」
碧の後を追って、よく漫画の貸し借りをする理由で割と頻繁に訪れる為、目新しさも何も無い妹の部屋にまでやって来た――見慣れ無いとすれば、勉強するために来ているこの女の子ぐらいだな。
「あ、碧ちゃんのお兄さん……ですよね。初めまして」
「ど、どうも」
小学生とはいえ、初対面の相手にはどうも緊張する。
「どう、お兄ちゃん? 可愛いでしょ!? 私の友達で白亜ちゃんって名前だよ!」
身長は多分、碧と同じくらいかな。髪は茶色のショートカットで大きな瞳だが、どこか大人しい雰囲気がある。活発な碧とはちょっと反対な性格っぽそうだ。
「は、白亜です」
「えっと、碧の兄の青って言います……。それで分からない問題があるって聞いたんだけど?」
自己紹介はあっさりと終わらせ、さっそく本題へと入っていく。
「そうなんです! ちょっと聞いて頂けますか!?」
「お、おぅ……」
グイッて来た、可愛い子がグイッて……。一瞬驚いたが、相手は小学生だ。大丈夫。ふぅ……大丈夫。
「あのですね、私のお姉ちゃんの話なんですが……」
……あー、はいはい! アレね。自分の事だけどあえて近しい人の事って言うアレね。俺もよくやるよくやる。おそらく、白亜さんの体験談なんだろうな。でも、設定には従って話を聞いていくか。
「私のお姉ちゃん、最近……彼氏と別れたそうなんです」
「ブフーッ! そ、そうなんだ……」
なんてタイムリーな話題なんだろ……だから、碧は俺を呼んだのか? と言うか……最近の小学生は進んでるなぁ。
「お兄ちゃん、男目線の意見が大事だよ!」
「お、おう。頑張ってみるよ」
碧、お兄ちゃんが小学生の頃は女の子も友達程度にしか思ってなかったし、今時の男子小学生の気持ちは分からんよ……。
「その、私のお姉ちゃんって……思い込みが激しいというか、そそっかしい部分がありまして、先日から家でブツブツブツブツ何かを言ってるんですよ……ね」
「そ、そうなんだ……」
白亜ちゃん、意外と自分の事を客観的に見れるんだなぁ……。それだけで結構凄いと思うけど。
「はい……。その小声で言ってるのを聞いてみたら、私の勘違いかも……とか、どうしよう……とか、怒ってるかな……とか言ってるみたいで。これ、どうすれば元気になってくれますかね?」
「その……別れた原因とかって分かってたりする?」
白亜ちゃんはその男の子と本当は別れたく無かったんじゃないのかな?
「いえ、流石にそこまでは知らないですけど、まぁ……そもそも彼氏と別れたかも定かでは無いんです。前まで幸せそうだったのに急に落ち込んでるので、私の憶測で考えてます」
そう……か。話を纏めると、白亜ちゃんのお姉さん(仮)が彼氏と別れたっぽい(憶測)。小声を拾って纏めると、どうやら勘違いで相手を怒らせたと危惧している。そして、別れを告げてしまったっぽい(多分)。だから、白亜ちゃんはお姉さんに元気になって欲しい(願望)。……という事だな。
それを白亜さんの事に当て嵌めて、簡潔にすると……白亜さんは彼氏に一方的に別れを告げたが、本当は嫌っていない。という事かな?
「じゃあ、お姉さんが彼氏さんと別れたって事で話をするとして……。どうしたらいいの? 碧」
「お、お兄ちゃん……そこは頑張って考えてよ」
いや、お題が難しすぎる……。正直に言って良いなら、『白亜ちゃん大人~』くらいの感想しか出ない。
「いや、碧……お兄ちゃんもフラれたばっかで分かんないんだけど! この手の問題は一番分からないんだけど!」
「じゃ、じゃあ……お兄ちゃんは男の人の気持ちになってみて!」
男側の気持ちか……。付き合ってる彼女に勘違い的な何かで一方的に別れを告げられたと……。うん、ツラい……非常にツラい。これはスッと理解できた。
「あれだな、お姉さん? には悪いけど、ツラすぎてツラい……かな。お姉さんには謝る事をオススメするけど、何日も経ってて相手からの連絡も無いなら……もう、ダメかもしれないかも知れないかな? 子供で居られる時間は短いですし、次に行きましょうか! 次に!」
まさか、麗奈さんの次にいこうという言葉がこんな所で役に立つとは……流石だ。本当に頼りになる。というか、本人を目の前にこんな陽気な回答で良かったのだろうか……。
「そう……ですよね。やっぱり新しい恋しか無いですよね! お姉ちゃんにはその方向で話してみますね! お兄さんありがとうございました!」
「こんなんで良かったのかな? それと今後も……碧と仲良くしてあげてくれ。家にもいつでも遊びに来てくれていいからね」
まぁ、少しでも気持ちが楽になって、前を向けたならそれで俺の役目は十分だろう。
「はい!」
「お兄ちゃん、中々の解決だったよ! 流石、フラれた男は違うね!」
いや、碧……その褒め方だとお兄ちゃんは素直に喜べないんだけど……?
それから夕方には白亜ちゃんは帰っていった。その後は晩御飯を食べて、やる事をやって、ちゃんと宿題も終わらせてから零時前に眠りについた。
◇◇◇
「お姉ちゃん! 部屋に入るね!」
「ん? こんな時間にどうしたの白亜?」
宿題で分からない所でもあったのかな?
「お姉ちゃんが最近、悩んでる事って……ズバリ! 恋……だよね?」
「え、えぇ!? な、なんで分かったの? い、いや……全然分かってないわよっ! 全然ね!」
ど、ど、どうしてその事を!? 顔に出さない様には気を付けていた筈なのに!
「私はお姉ちゃんの妹だよ? お姉ちゃんが悩んでいるなら分かっちゃうんだから!」
「そ、そうなの? あのね、本当はね……」
うん、この際だから白亜に話を聞いて貰うのも悪く無いかもね……。
「あれでしょ! 何かしら勘違いして、そそっかしいお姉ちゃんから別れを告げちゃった……的な?」
「白亜……お姉ちゃん分かり易い? でも、その通りよ」
……凄い。白亜は悩んでる私の事を考えてくれていたのね。私は自分の事だけでいっぱいいっぱいなのに……。良い妹ね、白亜は。
「今日ね、友達の家に行った時にその友達のお兄さんにも話を聞いてみたの! 男目線としての意見が欲しくて!」
「なっ!? お、男の人に話しちゃったの!? 恥ずかしいじゃない……。それは、一旦置いておくとしても……ね、それでも、あれは勘違いなんかじゃないのよ……多分!! 白亜、もし白亜に彼氏が居たとして、女の子と腕を組んでいたらどう思う?」
白亜も私の妹なのだし……きっと、私と同じ行動を取るはず。……愚問だったかしら?
「え? そんなの事情を聞くに決まってるでしょ? お姉ちゃんが過剰に反応する理由は分かるけどね。ま、それこそ置いておいて……そのお兄さんはね、彼氏側も連絡してる筈で、それが無かったらもう次の恋にいった方が良いって! ……次だよ! 次! 私はお姉ちゃんの味方だからね?」
「え? あ、うん。え? 連絡……あっ! あぅ……どうしよう。でも、あれは絶対に浮気なんだから~! "青"君が謝って来るまで許してあげないんだから!!」
浮気だけはダメ! うぅ~でも、青くんは……うぅ~!!
「許すも何も別れちゃったんでしょ? "紅亜"お姉ちゃん」
「う……うん。ど、どうしよう……白亜ぁ~」
頭がパニックで真っ白になる前に……一度落ち着くべきだったわね……。
「お姉ちゃん! 次だよ! 次! 新しい恋をしよ? じゃあ、頑張ってね!」
「あ、白亜……。出て行っちゃった……」
頑張ってね……か。白亜なりに励ましてくれようとしたのかな? でもね、そう簡単には……ね。
「あぁ……青君。何で、何で浮気なんてしたのよぉ……。私も勉強を頑張ったり、お洒落にも気を使って来たのに……うぅ~……青君のばかぁ~!」
クラス……学校も変な空気になっちゃったし……。どうしよう……本当は青くんの事が……うなぁ~……どうしよう~。
遅くまで悩んでいたせいで翌日、鏡を見ると目の下にうっすらと隈が出来ていた。うぅ~……あれもこれも全部、青くんのせいなんだから!
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