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第28話 釣り合うとか、そうじゃないでしょ?

深夜のテンションで書くもんじゃないけど、時間の確保が難しいから仕方ない……よね☆


よろしくお願いします!

 


 雨はまだ止んでいない。だが、朝のサーっと降っていた時よりは弱まり、ポツポツ程度になっていた。


 勝也は、雨でもバスケ部だから部活があるらしく……帰宅部の俺は一人で帰宅していた。湿気の気持ち悪さを少しでも忘れようと、自販機で買った炭酸水で、のど越しスッキリ感を味わいながら信号待ちをしていると――。



「お兄ちゃん、どーーん!!」

「ペプシッ!?」



 後ろから……タックルと呼ぶには弱く、手で叩くよりは強い衝撃が襲いかかった。振り向かなくても声で分かるが、間違ってたら怖いし振り返らざるを得ないだろう……。はぁ、やっぱり碧だ。



「みーどーりーちゃーん~? 今の衝撃でジュース溢しちゃったんだけどっ! 制服の袖に掛かっちゃったんですけどぉ!?」



 口元に持っていこうと少し傾けていたのが悪かった……いや、俺は悪くないんだが。



「ごめんね、お兄ちゃん!」

「こ、こんにちは。お兄さん」



 振り返った先には、謝ってはいるが悪びれた様子もない碧と、先週の火曜日ぶりだろうか……碧の友達の白亜ちゃんが居た。そういえば……碧の通っている小学校からだと、この道は通らない筈なんだけど?



「お兄さん、ハンカチどうぞ……」


「いいよいいよ、白亜ちゃん。女の子のハンカチは可愛いのが多いでしょ? だから相手が好きな人じゃないと貸しちゃ駄目なんだよ! 特に男子相手だとね! という事で、お兄ちゃんには碧のポケットティッシュをあげる!」



 まぁ、たしかにハンカチを渡されるよりはティッシュの方が使い易いから良いけどさ。碧ちゃん……いつの間にそんな駆け引き的な事を覚えたのやら。



「家族なんだから碧はハンカチでも良くない? まぁ、ティッシュで良いんだけどさ……それより、何でこっちから帰ってんの? 遊び?」


「違うよーって言いたいけど、今から家で少し遊ぶんだぁ。さっきまでは、文房具を買いに行ってたんだよ!」



 なるほど。確かに文房具を買うならこの辺に良い店があるからな、そこに行っていたんだろう。


 信号が赤から青に変わって、俺達は三人で歩きだした。



「そう言えば白亜ちゃん、この前の話は上手く言ったのかい?」



 白亜ちゃんが、前に遊びに来た時に『お姉さんの話』という呈で相談してきたアレだ。



「あーはい。お姉ちゃんの話でしたね! 最近は明るくなってましたから……きっと新しい恋に出会ったんですよ! ふふっ!」



 そうか。何だか嬉しそうだし、良かったね……白亜ちゃん。失恋は新しい恋で忘れるって話もあるし、是非とも頑張って欲しいものだ。



「出会っちゃったかぁ~。それはそれは……良かったね!」

「お兄さんのアドバイスのお陰ですよ! 助かりました」



 まだ、新しい恋に出会っただけらしいから、成就するように願っておきますかね。うちの碧にもそんな話があれば……いや、このまま雑誌を読み漁るだけの子でいいかな。うん。まだ小学生だからな。



「お兄ちゃんも頑張らないとね! でも、女の子は秘密が多いから気を付けないとだよっ!」


「はいはい、学校での姿が全てじゃないって事だろ? 分かってるよ」



 また雑誌の知識だろうが、せっかくだし覚えておこう。……っと、そうだ! せっかくならお菓子でも買って帰ろうかな。白亜ちゃんも家に寄っていくみたいだし。



「碧、お兄ちゃんがお菓子でも買ってくるから先に帰っておいて。雨だから気を付けてな」

「やったぁ! 碧はチョコ系ね!」



 白亜ちゃんは遠慮していたが、最終的には碧と同じチョコ系という事で話が纏まった。寄り道はしない予定だったけど……こういう事の為なら全然オッケーである。



「ここからなら駅前のコンビニが近いかな」



 俺は来た道を少し引き返して、お菓子を買いに向かった。



 ◇◇◇



 はぁ……。誰だったのかしら? あの、青くんと巳良乃さんと一緒に居た女の子は。たしか、青くんが後輩がなんたらって数日前に言ってた気がするけど……もしかしてその子なのかしら?


 それにしても特出しているのはスタイルね……同性だけど少し目を奪われてしまったのよね。



「……という事で、体育祭もあるが総体も忘れないように! 三年は特に気を引き締めてけよ」


「「「はい!!」」」



 今日は雨という事で、部活はミーティングに変更……それで、もうそろそろ終わりみたいだ。たまには早く帰れる日があってもいいわよね。



「じゃあ、今日は解散だ。風邪引くなよー?」



 先生の話も終わり、それぞれ帰路に着く。まだ雨は止まないみたい……私も早く帰りますか。



 ◇



「おーい、新山! 途中まで一緒に行こうぜっ!」


「伊藤先輩? はぁ……まぁ、いいですよ?」



 学校を出て歩いていると、後ろから声を掛けられた。陸上部は一応、男子と女子に別れている。練習場所は同じだし、部活内の男女で壁があるわけでも無いから、一つに纏めてもいい気はしているのよね……多分、皆が思ってる事だろう。


 声を掛けてきた伊藤先輩は男子陸上部の部長で、頼りになる人だが特に親しいという訳じゃない。ただの先輩と後輩だ。



「いやぁ、それにしても今日はラッキーだったな?」


「ですね。でも、先輩達は練習したかったんじゃありませんか?」



 不毛な……でも、後輩として先輩を邪険にするわけにもいかない。一緒に帰るのは、きっと駅前ぐらいだろうし……付き合いますか。



「まぁ、な? 今年で最後だと思うとなぁ~やっぱり色々とな? 後輩に新山もいるし、来年からの事は何も心配して無いんだけどな! ははっ!」


「大会で勝ち残ればまだ、部活を辞めなくてすみますよ、先輩。みんなで頑張りましょ? ね?」



 確かに先輩が居ないと寂しくなるわね。愛生(あき)先輩とか莉菜(りな)先輩とかは良くしてくれたもの。少しでも長く練習を出来るように応援とかサポートは後輩みんなでしてあげなきゃね。


 それから、色々と話ながら駅付近までようやく到着した。流石に人も増えて、横に並ぶのは通行の邪魔になりそうだったから私は後ろに下がってついて行く。


 ――伊藤先輩の後ろを一歩どころか、二歩三歩くらい下がっていたのが功を奏す事になった。



「うぶっ!? ……ちっくしょう。水が!! もっとゆっくり走れよ!!」



 運の悪い事に、後ろから抜き去る様に走ってきた車が水溜まりを踏み、そこから跳ねた水が先輩の顔にかかってしまった。



「制服も濡れちまったな……最悪だぜ……」



 流石に顔にまで濡れたのは可哀想ね。先生も風邪には注意する様に言っていたし……拭くもの何かあったかしら?



「……あった。先輩、大丈夫ですか? どうぞ……“ハンカチ”使ってくださ……」


「ありがとう新山、ありがたく……ん? どうかした……アイツは」



 先輩にハンカチを渡そうと……いや、取られたけど。そんな事はどうでも良くて……。



「あ、どうも……ははは……」



 あ……あ……あ…………青くん!?



「あ、あの! これはね…………って、先輩?」


「下がってて、新山。今の君にとってこいつは、ただのクラスメイトに過ぎないだろ?」



「あっ……そういう……」



 そ、そんな訳無いでしょ!? 私と青くんの間に立たれても困るのですけど……。



「じゃあ……また?」



 あっ、走って行っちゃう……。まだ、まだ私なら追い付ける!



「神戸君! ちょ、……先輩!?」


「まぁ……待て。君とアイツが別れたのは皆が知ってる……同じクラスで新山が気を使ってあげてる事も話に聞いている。これは男目線で言うけど……結構キツいもんだぞ? フラれた相手に話し掛けられるというのは。だから……ちょっと待て! な?」



 ――――私は!! 私は……気を使ってる訳じゃない。でも……確かに、青くんがどう思ってるかって事を考えていなかった。


 話しかけても迷惑そうな顔をしないで聞いてくれる青くんに、甘えていたのかも……しれない。



「それにあいつ……神戸とか言ったか? 二年じゃどういう風に言われてるか知らないけど、三年の男子からだと女誑(おんなたら)しって評判が広まっているぞ? そんな奴に、だ……大事な後輩を近寄らせたがる先輩は居ないっての!」


「えっ? 女誑し……神戸君が?」



 どういう事だろう? 私の知らない所で青くんがそんな風に思われている? 青くんと女誑し……まったく結び付かないのだけど?



「新山も体育館で見ただろ? お前等が別れたって噂が出たのが先週で……今日、アレだぞ? 女誑しって思われても仕方ないんじゃないか?」


「体育館の……あれは……」



 巳良乃さんは青くんにベッタリだ。そこに、恋愛感情があるのかは分からない。座っていたもう一人の女の子に関しては、それ以外も分からない……。


 確かに青くんの近くに女の子は多い……と思う。マノンや例のアノ日の女の子も居る……訳だし。


 全員友達なら、逆に少ないと言ってもいいくらいだけど、全員がもしも青くんを好きだと仮定するなら……やはりちょっと、多いかな。


 ――――でも、やっぱり……青くんがソレは違うだろう。



「先輩達から見れば、神戸君が女誑しに見えているかも知れませんね。ですが、神戸君はそんなに器用な人じゃないんです。それに……」



 青くんが(たら)しなのでは無くて、女の子が青くんを(たぶらか)そうとしているのだもの……。



「……いえ、何でも無いです。とにかく、話してみればそんな人じゃないと分かるはずですよ」


「……どうかな? 新山、今のお前は少しだけ盲目的になりすぎてないか? 一度、距離を取って離れた位置からアイツを見てみると良い。そしたら……新山に釣り合ってない事が良く分かる筈だ。お前はもっと……」



 釣り合い。……またなの? 私と青くんは釣り合ってない……皆がそう言うけど、基準は何なの? 見た目? 成績? 家柄? 違うでしょ? きっと、そうじゃないでしょ?


 私は青くんが大好き。でも、青くんは私を好きじゃ無い。これだと、釣り合いが取れていない。逆も然り。


 私は青くんが大好き。そして、青くんも私が大好き。これは釣り合いが取れている。つまりはこういう事じゃないの……かしら?


 恋愛における釣り合いって、何よりもまずは気持ちの事でしょ? だから、皆も好きな人には好きになって欲しいんじゃ……ないの?



「先輩!! ……釣り合っているかは当人どうしで決める事だと、私は思います。では、私はこの辺で失礼します」


「お、おい! 新山……」



 私は会釈をして話を断ち切り、心に少しのモヤモヤを抱えながらも家へと向けて歩きだした。心做(こころな)しか、雨がまた強く降りだした気がする。



「帰ったら連絡しないとなぁ……」

 


改稿という名の少しでも読みやすくする作業は大雑把にやりましたけど、そのせいで、繋がりがおかしいとか、何かがおかしい?みたいな所があったら教えてください。


あと、誤字脱字がありましたら報告お願いします!(´ω`)


紅亜さん……やっちまってますねぇ~(読者様の中でおそらく、ヘイト上昇中)


※追記(1/15) 良さげな展開が降ってきたので考察はしてもらって構わないのですが、当てにくるのは止めてくださいね?お願いしますよ?当てられたら変えなきゃと思うので(´ω`)

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