第26話 おや? この後輩……まさか?
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ブラックが深夜帯に放送しているアニメについて語り、それを俺が聞いていると勝也に声を掛けられた。
「青、百メートルと二人三脚の順番どうするよ?」
「百メートルはどこでも余った所で、二人三脚は新山さんにお任せで」
正直、帰宅部である俺の足の速さなら……ポッチャリ系くらいにしか勝てないだろう。そもそも百メートル走なんて速い人しか注目されないから順番は特に気にしてない。
「りょーかい!」
勝也は一言だけ返して、また作業へと戻ってしまった。俺とブラックだけ何もしていないから、申し訳なさを少しだけ感じる。
「ブルー……お前、二人三脚なのか……しかも新山某と?」
「どう思う? 俺と勝也の心理戦による、くじ引きの結果なんだけど?」
心理戦とは言ったが、要はお互いに足を引っ張り合ったに過ぎない。
「正直に言うと……面白みしか無い!! 観る分には最高のエンタメだな」
「そう言うと思ったよ! てか、ブラックと勝也くらいだろうよこの結果で笑うのは」
勝也とブラックには嫉妬心的なモノは無いし、新山さんを俺から引き離さなきゃ的なのも無い。まぁ……笑われるのはアレだが、こういう二人が居るから少しだけ気持ちが楽になる。
そう思っていると、後ろから俺の両肩に誰ぞの体重がのし掛かった。
「青さん! 青さん! 暇なので来ましたよっ!」
「おぉ……そうか」
“おい、ブルー……この人、転入生だろ?”
“そうだぞ、少し鋭い所があるから気を付けろよ?”
ブラックの声が途端に小さくなる。人見知りスキルが発動したらしい。人見知りと本人も言っているが、要は慣れるまで時間が掛かるだけで、会話を何回か重ねると普通に話せるようにはなる。
「青さん、聞こえていますよっ! それで、そちらの……黒いオーラで一人ボッチオーラも漂う人は、どなたですか?」
「カハッ……」
「ブラックっ!!? ……谷園! ボッチにボッチという事実を突き付けるのは止めてくれ! あと、クラスに友達が居ないだけで俺と勝也の友達だから」
谷園から気にしている事を見透かされ、ブラックが地に伏せた。憐れなブラック……骨は拾わずちゃんと埋めてやろう。一本の黒い花とか咲きそうだし。
「そうなんですか? ……というか、青さんって勝也さん以外にも男友達居たんですね?」
「グハッ……」
悪気は全く無いのだろうが、鋭い一言で今度は俺が地に伏せた。埋めてくれ……きっと青い花とか咲くと思う。
“おい、ブルー……いったいこの女子はなんなのだ?”
“な、鋭いって言ったろ?谷園はまぁ、オチャラ系だ。基本的にアホだし、深く考えなくていいぞ”
「青さ~ん、聞こえてるんですけど~? 誰が、アホですかっ! 誰がっ!」
実際の学力がどれ程あるのかは知らないけど、トータルでアホに決まっている。
「そんな事より、暇なのですよっ! 私の順番は紅亜に任せて来ましたし……ほら、ののさんなんか読書してますよ!」
「暇なのは同意だけど、俺達も話してるだけだぞ?」
各学年でクラス代表を中心に、種目毎に順番を決めないといけないから時間はまだまだ掛かりそうである。周りを見渡すと、友達同士で話してる姿がそこかしこに存在している。
“ブルー、俺はお邪魔な様だし退散するぞ”
“ブラック……友達の友達が現れて気まずくなる気持ちは分かるけど、気にする事は無いんだぞ?”
ブラックの今の気持ちは少し分かる。俺も勝也と話している時に勝也の友達が現れたら口数が凄く減る。そして、そっと離れる。だからブラックが行くというなら、俺には強くは引き留める事が出来ない。
“気持ちだけ受け取っておこう……でも! この人はこの人で、なんか俺には難易度が高そうだっ。では、退散っ!!”
「あら? 行っちゃいましたね……もしかして私、嫌われてしまいましたかね?」
「アイツは人見知りなだけで、すぐに人を嫌ったりする奴じゃないから大丈夫だぞ。それで……暇なのは変わらないけど、どうする?」
谷園が俺の横へと移動して座り、うんうん唸っている。何か話す内容でも考えてくれているのだろうか。
「やっぱり、高校生らしい会話と言えば恋バナですねっ!」
あーはいはい。アレね。
「ポケ○ンに居たよね」
「フシ○バナ!」
「あれか、アフリカの方の熱帯草原……」
「サバンナ!」
「木へんに矛とかいてその下に……」
「橘!」
バナ……バナ……あっ、詰まった。こういうのは勢いが止まったら全然出てこないからここで止めておこう。
「それで何だっけ……恋バナ?」
「はい!どういう性格が良いとか~髪型とか~色々と!」
なる程。その程度なら会話でも盛り上がる定番の話題と言っても良いかも知れないけど……普通は同性と話して盛り上がるんじゃないだろうか。ほら、異性とだと言いづらい事もあるしね?
それでもまぁ……暇潰しに話を聞くくらいは良いかな。
「「じゃあ、どうぞ?」」
ハモった。
「「…………。」」
ハモった。……いや、でもさ、こういう時ってやっぱり言い出しっぺが先に言うのが普通じゃないだろうか、常識的に孝えて。
「分かりました。では、“間”を取りましょう」
「おっと……『仕方ないから私が譲った』感を出されても困るが、とりあえずその“間”というのを聞こうじゃないか」
これでお互いに妥協した感を出せたな。別に張り合う様な所じゃ無いが、谷園に譲られるのは何か腑に落ちない。
「例えばですよ、『異性の好きな髪の長さ』という議題を呈しまして、それに私と青さんで話し合うのですよっ! そしたら男性目線、女性目線で言いたい事も言えて……色々と分かる仕組みです! どうです?」
一つの議題について個人の好みから男なら○○という話まで出来るわけか……谷園、中々やるじゃないか。暇も潰せるし、良さそうだ。
「面白そうだな……やってみよう。じゃあ『異性の好きな髪の長さ』からいこうか」
「はい、せーので言いましょう!」
女の子の髪の長さか。長かろうと短かろうと似合ってればどちらでも構わないと思うのだが……それだとちょっと優柔不断が過ぎるし、どっちかに決めよう。長いか……短いか……長いか……短いか……。長短長短。
「「せーのっ!」」
「ロングかな!」
「別に気にしませんねっ!」
なん……だと?
「なるほど~青さんは髪が長い方が良いんですかぁ~」
「いや、待てぇぇぇぇい! その答えってアリなの!? アリならお前と同じ答えだよ!?」
曖昧な答えは駄目かと思ったからちゃんと答えたのに、谷園は普通に日本人らしい曖昧さが満載な答えを出してきた。本当にどちらでも構わないと思っているのかもしれないが、今回はハッキリして貰いたい。
「いや、そもそもですよ? 男性の髪型は女の子くらい長い人は稀ですし、長いとしても清潔感があれば良いんじゃないですか?」
「まぁ……そうか。長さに関して言うなら男の場合だとそんなものか……」
長くてもオシャレな人は居るし、髪型ならともかく、長さならそんなものか。
「はいっ! 強いて言うなら、清潔感ですね! 青さんはその長さで大丈夫だと思いますよ!」
「そ、そう? 谷園は……片方の目が隠れがちだけど、まぁ……その……全体的に見れば、今の長さで良いんじゃない?」
短い人が伸ばしたり、長い人が短くしたら意外と似合う事もあったりするけど、その人が気に入ってる髪の長さっていうのが結局の所、一番良かったりするのだ。
「そうですかね……えへへ。で、では、次の議題に行きましょう!」
――俺と谷園は語り合った。理想の外見から理想の性格……それに、ちょっとした仕草や状況を設定しての再現までも。
俺が言うことに『青さん……理想が入りすぎです。そんな女の子は居ませんよ』……などと言われたが、谷園の方が酷いと思う。『一緒に珍しいオーラ探索したい』とか、『私の好きなオーラであって欲しい』とか、どうする事も出来ないヤツばかりである。
「私達二人だと偏ってしまいますね……」
「谷園の理想が特殊すぎるだけだからな? 俺のはまだ男子の妄想程度だけど」
さりげなく一緒の括りにされてる感じがするが……それは置いておいても、確かに俺達だけだと偏るな。
「なら、暇な時にでも『ちょこライン』のグループトークで聞いてみるか!モテる勝也の意見は男子代表と言っても過言じゃないし」
「ナイスアイデアですよ! 私としては、ののさんや紅亜の好みのタイプとか気になりますかね? 意外性がありそうですっ!」
紅亜さんは……よく考えてみれば、男子の好みとか聞いたことが無いな。好きな仕草や性格も知っておいて損は……コホン。のののはたぶん、イケイケな男子は苦手そうなイメージだが……実際は分からないし気になるな。
「確かに気になるな……」
「じゃあ、今日の夜にでも話してみません?」
勝也と紅亜さんは部活がある。だから、夜の少し遅めの時間で宿題も終えた頃が丁度良いだろうと、勝手に結論付けた。
谷園が話題を振ってくれる事になって計画を練り終えた頃、赤組の団長が声を出した。
「皆、ちょっと良いかな? 種目の順番は決まったので次に進みます! えっと……次は、体育祭最後の種目の組対抗リレーに出る選手を決めていきます!」
まず最初に、組対抗リレーの説明をされた。簡単に言うと……一学年男女二名ずつの足の速い人が選出され、三学年合わせて十二名で結成されたリレーチームで白組と戦う目玉種目だ。もっと言うならば、俺に関係ない種目である。
「青さん、目玉種目ですって! ここで走れば一躍有名人ですよ!」
「そうだな、俺が出たとしたら負けた要因という扱いで、全学年通しての有名人だろうな!」
勿論、俺が参加する事は無い。二年生から出るのは勝也と紅亜さん。あと、一組の男子と女子。この体育祭で勝也と紅亜さんは大人気だな。心の中でお疲れ様ですと言っておこう。
リレーの参加者が決まった後は、この時間の目的の一つである交流だ。特に一年生との関わりは、部活に入ってる者しか持ち合わせていないと言ってもいいだろう。
実際に、俺みたいな帰宅部は後輩の知り合いなんてほとんど居ないからな。
いざ、交流と言っても、一年生が知らない二年生や三年生に声を掛けるのは難しい。その為、部活の先輩が色々と手を焼いて交流させるのが伝統となっている。
勿論、何事にも例外はある――それは、校内の有名人だ。
例えば、勝也。勝也はモテる。だから、男子の後輩っぽいのを連れては居るが、そこに紛れて後輩っぽい女子生徒がちょくちょく話し掛けに行っている。
例えば、紅亜さん。校内じゃ言わずと知れた紅亜さんだ、先輩後輩、男女問わず人が集まっている。逆に大変そう。
例えば、谷園。転入生で目立っているしフランクな性格だ。人が来たから俺が離れるレベルである。
面白い事に、例外にも例外がある。有名人なのに人が集まらないパターン。そう、それは――お嬢様という雰囲気が漂う、ひま後輩である。
「だいたいの周囲を把握したけど……ひま後輩、何故に俺の隣に居るの?」
「そ、それは偶々ですわ! こちらの方が人が来ないと踏んだのでしてよ!」
確かに、帰宅部だし変な目立ち方をしている俺の所には誰も来ない。だが、ひま後輩に話し掛けたい野郎はそこそこ居ると思う。……他の人から見たらどう映るだろうか?俺が、無謀にもひま後輩に話し掛けに行っている様にも見えるのではないだろうか?
「ひま後輩、今は部活の先輩経由で他の赤組の人と知り合う時間なんだけど? チームワークを高める時間なんだけど?」
「青さん……青先輩? 青先輩としましょうか。チームワークでしたわね、そっくりそのままお返し致しましてよ」
……言い返せないなぁ。そうだな、誰かがひま後輩に話し掛けに来るまではこの後輩と交流を深めてみよう。
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