第23話 ゴチなり~
明けましておめでとうございます!!
賀正!賀正!!o(^-^o)(o^-^)o
昨年は素人である私の作品を盛り上げてくださりありがとうございました!
今年も頑張りますが、第一に読者の皆様に楽しんで頂ければと思います(媚びる)
短めですが、どうぞ!
失礼しまーす……と、先程より気軽に入った生徒会室の中には麗奈さん以外にも人が居た。……居たのかぁ。
「青、お帰り」
「あ、はい! あの、その……お邪魔します」
「良いのよ、気にしないで……麗奈からさっき聞いたし、他の子達はもう帰ってるの。後は私達だけだから楽にしてね」
しっかりしてキリッとした雰囲気の麗奈さんとは対称的な、おっとりしてフワッとした雰囲気のこの人はたしか……副会長。名前は……うん。たった今、ど忘れした。
「そ、そうですか。……麗奈先輩、とりあえずサインを貰って来ましたけど全部じゃないです。休みの所も少しありましたから」
「そうか、ありがとう。実友里、ファイルに綴じて棚に入れておいてくれ」
そうそう、何とか実友里さん。たしか……いやそもそもの話、よく考えたらこの人と会話なんてしたこと無いし、知らないや。
その何とか実友里さんに、書類の入ったクリアファイルを渡して俺の仕事は完了だ。
「はい、ご苦労様。手伝ってくれて助かるわ~! ね、麗奈」
「そうだな。青、今度クッキーでも焼いてきてあげよう。特別だぞ?」
「それは楽しみですね! 砂糖多め……いや、適当な分量でお願いしますね!」
危ない……自爆する所だった。砂糖を多めなんて言おうもんなら、塩辛いクッキーが完成するだろう。自分でも言ってて引っ掛かるが、これが事実だ。
「ちょ、ちょっと君! 耳かして!」
「あ、はい。何でしょうか?」
“何でしょうか、じゃないわよ! 貴方、麗奈のクッキー食べた事無いの!? たしか、幼なじみなのよね?”
“ありますよ? 最近は少しずつですが、美味しくなってますし……後は時間の問題ですかね。年単位ですが”
年単位とは言ってみたが、下手するど数十年単位の可能性がある。
“貴方……まさかアレを食べて平気だと言うの!? 私、家で食べて腹壊したのよ?”
“あ、僕も昔は意識までもがヤバかったですね! ははっ”
凄いな……あんなにおっとりしてた副会長が、麗奈さんのクッキーに関しては凄い勢いで心配してくれている。犠牲者だったんだな、この人も。なんだか親近感が湧いてくる。
「おーい、実友里……青に変な事吹き込んでるんじゃないだろうな?」
「だ、大丈夫よ……。苦労しているのね、君も」
副会長も色々と苦労しているんだろうな。仕事面ではなく、生活面で……。
「いえ……まぁ、慣れましたよ。副会長さん、これからも何か手伝える事があったら呼んでください。麗奈先輩だと気を使って呼んでくれなさそうなので」
「あら~? それだと私は気を使えない人みたいじゃないかしら~?」
いや、そんなつもりで言った訳じゃないんだけど……。
「ははっ、青……中々に鋭いじゃないか。たしかに実友里はな~」
「もう~やめてよ麗奈まで~」
そこから麗奈さんと実友里さんのいちゃつきを少しだけ見せられ、麗奈さんの知らない学校での一面を見れた気がして……なんだか少しだけ楽しかった。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか。青、実友里を駅まで送っていこう」
「了解です」
「あら、せっかくの所を邪魔しちゃって悪いわね~」
俺は置いておいた鞄を肩に掛け、生徒会室を後にした。麗奈さんと実友里さんは鍵を返しに職員室に行くらしいので、俺は先に玄関に向かって待っている事にした。
先輩達はすぐに来てくれたからそこまで待つことは無く、薄暗くなった空の下を麗奈さんを真ん中に、三人で並び……どこかに立ち寄るでもなく、真っ直ぐ駅まで歩いて行った。
「じゃあ、ありがとうね~麗奈、青君~」
「実友里、また明日」
俺は軽く会釈した程度で挨拶をすませ、実友里さんを見送った後は、麗奈さんと二人で家まで帰る。一応……近所ではあるのだが、麗奈さんを家まで送り届けるという紳士っぷりを発揮してみる。
「じゃあ、青。今日は助かったよ! 送ってくれてありがとう」
「いえいえ、では、また明日です」
これと言って会話する訳でも無しに、俺達は家へと帰っていく。小学校から何回も一緒に帰った事があれば、もはやこんな感じだ。
◇◇◇
「お兄ちゃん、明日は雨だって~」
「そうか、少しずつ梅雨入りかもなぁ~。それはともかく、お兄ちゃんが風呂に入ってる間にお兄ちゃんの部屋で寛いでいるのはどうかと思うよ?碧ちゃん」
晩飯も食べ終え、風呂から上がってみれば……俺の部屋の俺のベッドの上で漫画を読む妹の姿がある。
碧は、自分の部屋を綺麗にしたいという理由から、漫画を俺の部屋に置きに来る。確かに俺の部屋は、漫画や必要な物以外には特に物もないし、スペースの確保は可能だ。でも、それってなんかズルいよね?
「碧の漫画くらいは自分の部屋に置いたらどうだ? わざわざこっちに来なくて済むだろ?」
「ちっちっち! だよ、お兄ちゃん。碧がお兄ちゃんの部屋に来る理由をもっと考えてよっ!」
碧がワザワザ俺の部屋に来る理由……って、まさか。
俺は急いで机の一番大きい引き出しを開けて、中を確認してみる。
「やっぱり!! 碧……俺のお菓子食べるなよなっ! あぁ……よく見れば食べ終えた跡が布団にっ! ちょっ、おま……せめて、せめて布団に溢すなよ」
「ゴチなり~」
なり~じゃない。前に俺が碧のお菓子を食べてしまった時は同じ商品を買いに行かされたと言うのに……はぁ。お菓子の場所変えようかな。
「碧、漫画は読んでても良いけど……戻る時はちゃんと片付けてな。お兄ちゃんは今から音楽聞きながら宿題するから」
「了解、了解」
宿題をやり終えた頃には碧も既に部屋には居なくて、イヤホンを外すと窓に雨粒があたる音が鳴っていた。いつの間にか降り出していたみたいだ。
「明日は体育も無い筈だし、五時間目からは体育祭関連で授業は無かったな」
雨なら徒歩で行くため、寝坊は避けたい。……あと一時間くらいしたら寝ようと決めた、俺のスマホにチャットが届いた。
『青、明日は学食行かね? 特に理由はねーけど』
「勝也からか。学食ね……別にそれでも良いか」
俺は了解の返事を送り、お母さんに俺の分の弁当を作らなくて良いことを伝えに行った。ついでに五百円を頂いたので、これが明日のお昼ご飯代という事だろう。
俺はうどんにする事だけを決めて、忘れ物が無いかの確認をして布団に潜り込んだ。すぐに寝る訳ではないけど……寝る為の前準備的な事だ。
一時間後に最高の眠りにつく為に潜り込んだ布団の中だが、一時間も待たずして……俺の意識は眠りに落ちていった。また明日だな俺。
◇◇◇
特に寝坊する訳でも無く普通に目覚めた俺は、雨のせいで少し低くなった気温に負け……中々布団から出れなかった。
寒い訳では無かったのだが、布団の中が絶妙に気持ち良い最適な温度になっていて……これは、出られないし、布団の魔力の恐ろしさを再認識した。
それでも何とか起き上がって朝食を食べに動いた。
「おはよう青、お父さんは先に行っちゃったわよ?」
「おはようお兄ちゃん!」
「おはよ~」
朝食をよく見ると……卵焼き、スクランブルエッグ、オムレツとお米と味噌汁。俺の好物だらけで朝からテンションが少し上がる。
「いただきまーす」
「ごちそうさまでした! お兄ちゃん、ゆっくりしてると遅刻しちゃうよ!」
そうだなぁ、雨だし今からでも早めに動くか。俺は寝起きの胃がビックリしないくらいのスピードで朝食を食べ、朝の支度を急ぎ目に終わらせて傘を片手に家を出た。
「うーん、そこそこ降ってるな。靴と裾が濡れそうだ……」
とはいっても、碧みたいに長靴を履くわけじゃない……と言うか、いつの間にか子供の時に使っていたのは無くなってるしな。
とりあえず俺は、車から跳ねてくる水にだけ気を付けて登校した。
ローファンタジーで短編も書きましたので、お暇でしたらマイページからどうぞ!(だから投稿遅れて説)
誤字脱字がありましたら報告お願いします!
(´ω`)