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第22話 百円の男は見た……白を

年の瀬っ!


月曜日火曜日で五話六話かけてすいません……ストーリーが進むの遅いし……テンプレご都合主義ですしけど、よろしくお願いします!


(と、前置きしていればハードルが下がるっと!)



 


 麗奈さんからのメールを見た俺は、生徒会室の扉の前までやって来た……のだが緊張する。生徒会のメンバーってたしか二年生も居る筈なんだけど……誰だったか、記憶にないな。そして緊張する。


 扉をノックして自分の名前を伝えると、麗奈さんから入室を許可する返事が扉の奥から聞こえてきた。俺は扉を横に引いて恐る恐る生徒会室へと入る。



「し、失礼します! ……って、あれ? 麗奈さん一人なんですか? 良かったぁ……他の人も居ると思って少し緊張しましたよ」


「いらっしゃい青、待っていたよ。他のメンバーも色々と動いているからね、居る時と居ない時でまちまちさ」



 麗奈さんは部屋の奥で書類と睨めっこをしていたのだろうか、机には書類があるし、手にも書類を持っている。なんというか、アレだ……格好いい。



「あっ、麗奈先輩……似合いますね眼鏡姿も」


「そうかな? まぁ、パソコンを使う時に掛けるブルーライトをカットしてくれるヤツで、度は入っていないのだけどね。そうかそうか……ふふっ」



 眼鏡が無くても頼り甲斐に溢れる麗奈さんだけど、あればあるで、より出来る人って感じがしている。



「それで早速ですが、俺にも出来る仕事はありました?」


「あ、あぁ! あったよ、あったとも。えっと、たしかこの辺に……これだ。青、この紙にサインを貰って来てくれ」



 麗奈さんに渡された紙には、何やら説明文が記載され、その下に部長のサインを書く部分がある。



「それは、簡単に言ってしまえば『体育祭の時には部活単位での協力をしますよ』という書類だ。準備期間中に運動部には設営等の準備の協力を、文化部には装飾等の準備の協力を要請しているからね。まぁ、毎年恒例となっているし、各部活動も自主的に協力をしてくれるから必要は無いのだけど一応な」



 なるほど、良く見ればプリントの部長サインの横に部活名が記載されている。これは……文化部のだな。



「文化部は毎日部活を行ってるとは限らないから、部室を回ってみて居なかったらそれで構わないよ。居たら部長にそれを読んで貰った上でサインを貰って来てくれ。あと、部活の邪魔にはならない様に動く事を守ってくれ。タイミングが合わなければ後回しでも構わないからな」


「分かりました。なら、とりあえず吹奏楽部は後回し決定ですね……タイミングが難しそうですし。何時までに戻って来れば良いですか?」



 プリントをざっと数えるだけで、二十枚近くはあると思う。文化部は部活を作りやすいって聞いたことあるけど……多くないか?

  それとも少ない方なのかな?


 スムーズに事が運べれば今日中には終わりそうだけど、部活自体が休みなら持ち越しだな。



「そうだね、今が四時を回っているから……だいたい六時頃には一度戻って来て欲しい。文化部は運動部と違ってその時間くらいには片付けに入る頃だろうし」


「六時ですね……了解です! とりあえず行ってきますね」



 鞄を生徒会室に置かせて貰い、ペンとバインダーとクリアファイルを借りていざ出発! ……と思った矢先に、麗奈先輩から待ったをかけられた。



「青がいきなり行ってもな……。とりあえずこの生徒会と書いてある名札を胸に付けてくれ。有るのと無いのじゃ変わってくるだろうから」


「なるほど、ありがとうございます麗奈先輩。……では、今度こそ行ってきますね」



 麗奈さんに見送られ、俺は文化部の部室が多くある場所へと向かって出発した。



 ◇◇◇



「どれどれ……あーはいはい、これね! たしか、去年の部長も書いていたわね」


「ご一読の上、よろしければサインをお願いします」



 事前にクリアファイルから取り出した紙をバインダーに挟んでおいて、そのまま渡す。四つ目の部室訪問ともなれば、少しくらいは手際も良くなるというもんだ。



「はい、これでいいかな?」

「……大丈夫です、ご協力に感謝します!」



 皆……前の三つの部長さんもそうだったけど、あまり本文を読んでいない様に思える。毎年の事で内容もだいたいは解っているのだろうけど……いつか何かしらに騙されそうだなと心配になるな。



「お手数お掛けしました。では、失礼します」

「はいよ~頑張ってね~」



 手を振って貰ったから軽く頭を下げ、次の部室へと向かう。


 一番近くの文化部の部室の前に移動したら、バインダーから書類を外してクリアファイルにしまい、書類を準備する。ここは手芸部だから……これだ。



「すいません! 生徒会ですが……部長さんはいらっしゃいますか?」



 返事がない。ただの無人の部屋のようだ……。部活が休みなのはこれが二つ目で、二つとも同じ台詞を思い浮かべた。返事が無いと少し寂しいから仕方ないよな。



「手芸部は休みだから空白……っと。じゃあ次だな」



 サインを貰った書類はクリアファイルの一番上に重ね、空白の書類は一番下へ入れていく。最後に部室への行き忘れが無いか、漏れが無いか確認するけど自分の中では分かり易くなる……という工夫だ。



「三階の部室は手芸部までか……までだよな?他に部室は~……無い、よし。次から二階だな」



 三階の廊下の中央辺りから左右を見渡して、大丈夫だと踏んだ俺は階段を降りていた。たしか二階が一番、部活をやってる部屋数が多かった筈だ。


 どこから行こうかと考えている時に、どこからか声が聞こえて来る……少し言い争っている雰囲気だ。



 “ですから、(わたくし)にも用事がありますの!”

 “でも、コンクールも近いのよ!?”


 “帰宅してから練習はしておりますわ!”

 “でも、最近は全然納得のいくモノが出来て無いんでしょ!?”


 “それは……”

 “まぁまぁ、二人共落ち着いて……”


 “……部長、申し訳ありませんが、お先に失礼させて頂きますわ”




 ……一応は終わったのかな? 終わったで良いんだよね? 言い争いが終わらなければこの曲がり角から出るに出られないし、先に一階へと行こうかと思い始めた所だ。まずは、奥の書道部から行くかな。書道部用の書類はこの辺に……。



「きゃあっ!」

「あっ、すいません! って、あぁ! 書類がバラけたっ! じゃなくて……だいじょ……う」



 白! ……じゃなくて、今のはここにボサッと立っていた俺が悪いな。早歩きとはいえ、曲がって来た女の子とぶつかって、その女の子に尻餅までつかせてしまった訳だし。


 それにこの子……灰色のツインドリルにお嬢様の様な雰囲気、そしてキツそうな瞳。たしか前に、体育館の近くで会った子だ。



「痛いですわ……いったい何なんですの……?」

「ご、ごめんね。とりあえず立てる? ほら、手」



 差し伸べた手を掴んで貰い、そのまま立ち上がらせる。その時になってようやく俺の顔を見たのだろう、その子の目が少し大きく開かれた。



「あ、貴方は……『百円の男』!」

「やっぱり、そんな覚えられ方になりますよね!?」



 この子はたしか、灰沢向日葵。勝也に教えて貰った名前はそんな感じだった筈。



「こんな所でぼーっと立っているとは何事ですの!? 危ないとは思わなかったのかしら?」


「いや、その件はごめん。ちょっと生徒会の仕事の手伝いで文化部を回ってるんだけど……出るに出られなかったと言いますか」



 あっ、そろそろ手を離しますね。手を……あの。手を離して!



「なるほど……そうでしたか、それは少しだけこちらにも非がありますわね。まぁ、それは置いておきましょう。それより……『百円の男』、貴方に頂いた百円はもう無いですわよ! 返せと言われても返せませんわよ?」


「いや、それは別に良いんだけど……。とりあえず怪我は無いよね?」



 一度上げた百円をお嬢様に返せとは言えないだろう。『十倍か百倍返しで!』となら冗談で言う場合はあるかもしれないけど。



「えぇ、少しお尻が痛いですが……筆を握れない訳ではありませんので、大丈夫ですわ」


「そっか、ごめんね。じゃあ、手を離しても大丈夫かな?」



 手助けしたつもりで差し出しただけなのに、手を離して貰えないと……なんだか変に緊張してくるし、手汗がね。



「っと、失礼しましたわ。あぁ……書類も集めないとですわよね」

「だ、大丈夫ですよ! ほら、何か用事が在るんでしょ?」



 さっきの会話を聞く限りでは、何か予定があるから部活を早退しているみたいだったし? お嬢様の予定が何かは分からないけど、書類拾いで遅れさせるのは申し訳無い。



「そ、そうでしたわ! では、申し訳ありませんが……」

「はいよ、行ってらっしゃいませ!」



 見た目から高飛車というか上から来る……というイメージを持っていたが、意外と良い子だったな。それにしてもスタイルが良いと言うか……視線を顔から下げないようにする事が大変だった。危ない危ない。


 こっちだけ名前を知ってるってのもアレだし、教えといた方が良かったかな?……いや、でも聞いてもないのに名前を伝えてくる人ってどうだろうか……危ないか。


 まぁ、過ぎたことは置いといて書類を拾っていきますか。



 ◇◇◇



 二階の部室も何ヵ所か回り、サインも順調に集まっていた。



「では、ありがとうございました」

「はいよ。それにしてもたしか君でしょ? あの噂の二年生男子」



 おっと、名前はまだ言っていない筈だけど……どなたかの紹介でもあったのですかね?それに、あの噂の……とかやめて欲しい。




「いや、多分、違いますよ。はい、違いますね」

「またまた~ねぇねぇ、原因ってなんなの? 先輩に教えてみ? ん?」



 ぐいぐい来るなぁ……女子の先輩って。茶道部の人なら大和撫子感がもう少しあってもいいと思うんだよね、イメージ的には。さて、切り抜けましょうか。



「……あっ、そろそろ六時だなー。すいません、麗奈先輩に呼ばれているのでまた今度という事で……失礼しますっ!!」


「あっ、ちょっと! 走るのは危ないぞー!?」



 実際に六時になりそうだし、嘘は吐いていない。よし、このまま生徒会室まで戻るか。


 今日で七割近くの部長さんからはサインを貰えた。残りは部活が休みかボランティア部の様にたまにしか活動をしないから部室自体が無いパターンや、演劇部みたいに部室の場所がここじゃないパターンだ。



「六時なのに思ったほど暗くは無いな」



 最近、明るい時間帯が伸びた空を一瞥(いちべつ)し、生徒会室で待ってる麗奈さんの所へ急ぎ足で戻って行った。



のののの出番が少ない気がしますけど、まだ火曜日まだ火曜日。


誤字脱字がありましたら報告お願いします!

(´ω`)


では、よいお年を!!

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転移物のハイファンタジーですよ!息抜きです(´ω`) どうぞ、よろしくです! 『アイテムチートな錬金術師』

2020/1/11~。新作ラブコメです! 『非公式交流クラブ~潜むギャップと恋心~』
― 新着の感想 ―
[良い点] ホワイトパ〇ツインドリルとの再会 [気になる点] ののの少ない許さん [一言] 返事がない、ただの屍のようだ…。
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