クリスマス特別番外編 『アオタクロース』の贈り物
番外編というか、クリスマスだからノリで書いてみたやーつです。
本編と関係無いので読み飛ばしても構わないです!
微妙なネタバレも含む可能性は秘めてます。
キャラがおかしい場合もございます!
※別にいちゃラブはしませんよ?
※本当にifでもない、ギャグコメディー作品ですよ?
23、24、25は普通なら学校は休みだと思いますが、そこは気にしないでください。
十二月二十四日、二十五日。――それはクリスマスと呼ばれる、世間では恋人達にとって重大なイベントである。
では、恋人の居ない人達にとってのクリスマスにはたして意味はあるのだろうか?
「無いと思うんだけど、勝也はどう思う?」
「いや、何の話?」
やはり、モテる男はこの十二月二十三日、という日が訪れても慌てる事は無いのだろうな。
俺こと神戸青は内心、人並みにはソワソワしているがどこか毎年の事だと諦めの気持ちも持っていた。
◇◇◇
「神戸、寒いね」
「確かに、もう寒いな~。外で防寒具は欠かせないよね」
教室は暖房が効いているからまだ暖かいが、外は驚くほど寒い。指は動かしづらくて固まるし、鼻水も出そうになる。
「おはよう青くん」
「おそようですね、青さん!」
「おはよう、紅亜さん、マノン」
二人と挨拶をしたが、やはり寒いのか、のののもだけど防寒具を身に付けている。流石に授業中は外さないと怒られるが、ギリギリまではセーフだ。席について鞄から教科書を机に仕舞っていると、マノンがクリスマスについての話題を出してきた。
「私、子供の頃に一度だけサンタクロース的な人に会ったことあるんですよ!」
でたっ!マノンお得意な不思議な出来事。コイツと出会ってから不思議な事はちょくちょく起きている気はするけど、サンタクロースは流石に嘘だろう。どうせ親戚のおじさん、従兄弟のお兄さん辺りのなりすましだろう。
「あ、私もあるわよ!」
「私も、ある」
「え、嘘っ!?どうしたの、紅亜さんとのののがマノンの冗談に付き合うなんて珍しいね」
まさか、二人もクリスマスを目前に浮かれているのだろうか。
「いや、それが本当なんですよ!目の前でパッと消えたんですから……もう一度会いたいですねぇ~」
「私の時は窓から飛び降りて……そのまま消えたわよ?」
「うちはお鍋を一緒した」
「のののだけおかしくない!?でも、皆が子供の頃でしょ?」
俺なんて父親が着替えているのを目にしてから一時期、世界の全てが嘘だと思っていた。あれは衝撃的だったからな。
「ですから、この時期になるとお返しにプレゼントを用意するんですが……結局、あれから会えてないんですよね」
「私も何か用意してみようかしら?」
「それは良い案」
「そ、そうなんだ……」
会えるか分からないサンタに用意するなら俺にプレゼントを用意して欲しいというのは……我が儘が過ぎるかな。
……おっ、そうだ!なら、明日は俺から皆にプレゼントを用意してみようかな?貰う事ばかり考えていたが、あげる側をやってみるのも良いかも知れない。恋人が居なくてもイベントに参加出来るし、楽しんでもバチは当たるまい。
さっそく、今日の帰りにでもプレゼントを買いに行くか!なんだよ、貰うワクワクよりあげるワクワクも案外悪くないじゃないか!
「あー、今年は何を用意しようかなー。どんなのが良いか分からないなー」
「そ、そうねーサンタさんが男性だとしたら何が良いかしらねー?」
「気になる」
うんうん。やっぱり、皆も贈る相手の事を考えると悩むみたいだな!分かるぞ、今ならその気持ちも分かるぞ!街に買いに行った時にバッタリ合わない様に気を付けないとな。バイト代もあるし、お金の心配はしないくても大丈夫だし。
それから放課後までとても長く感じたが、休み時間の度に『女性に贈るクリスマスプレゼント』をスマホで調べていたからある程度の目星は付けられた。
途中、紅亜さんやマノンやのののにスマホを覗かれていた気もするが……たぶん、気のせいだろう。
「青~帰ろうぜ?」
「すまん、勝也。俺は今日忙しいから……またなっ!」
まずはお金を引き出して、それからそれから……なんだか楽しい!
◇◇◇
街へと行き、皆の為にプレゼントを買って来た。
それをワクワクしながら鞄に詰め込み、明日を待ち遠しく思っているといつの間にか日を跨ぎそうな時間となっていた。
日頃の感謝と共に渡そうかな?喜んで貰えるかな?なんて、考えていたらこんな時間である。早く寝て、明日を成功させるために万全の体調で望まなきゃな!
――そして、十二月二十四日。日付が変わった瞬間、部屋にサンタクロースと名乗る者が現れ……俺は連れさられた。
◇◇◇
『ふぉっふぉっふぉっ……すまん』
「いや、そこは“すまんね”とかでしょうよ!何をいきなりマジトーンになってるんですか」
『いや、ワシも大概だけど空飛んでるのにソコに突っ込まない君も中々じゃな?』
そう。俺とこのサンタクロースは空を飛んでいた。トナカイさんの力で。
『ま、それは置いておいて……説明をさせてくれ。まずは、サンタクロースという役割について』
サンタクロース――それは、時空を越え子供の笑顔を産み出すもの。過去から未来、未来から過去。様々な時間の中で子供達にプレゼントを配る者。その役割を担う者……それがサンタクロースらしい。
要するに、一日二日じゃ無理だから奇跡を信じる子供の元へ、過去さえ使ってプレゼントを贈りに行く職業だな。ご苦労様です。
それ故、サンタクロースがその時代に何人も出現する。が、それは同一人物みたいだ。サンタ同士、スレ違っても『あぁ、ワシじゃな……』くらいにしか思っていないらしく混乱は起きない様だ。世界の不思議を解き明かしてしまった……。
『じゃがの、贈る筈の子供へのプレゼントを落としてしもうた。それでサンタネットワークを使って、その子供達に関わりのある君を頼りにしたわけじゃ……』
「はぁ、サンタネットワーク……。それで、その子供達というのは?あいにく、サンタを心から信じている子供の知り合いなんて、居ませんよ?」
今日から俺は信じる事にするけど。
『大丈夫じゃ、過去へと飛ぶからの。じゃが、注意点がある。何、簡単な事じゃ……必要以上に関わらない事。それだけじゃ』
「やはり、何かマズイ事でも?」
「……大人にチクられたらその街で不審者が出たと騒ぎになる」
現実的問題!!世知辛いなっ!……でも、実際に知らない人が家に居たらヤバイか。……っと、待てよ?
「それで結局、なんで俺は連れて来られたのですか?」
『その鞄、プレゼントじゃろ?』
良く見れば、雪車の片隅にプレゼントを詰め込んだ俺の鞄が置いてある。
『それの贈り先は知っておる。そして、これから行く子供は君の知り合いじゃ。ここまで言えば繋がるじゃろ?無理を承知でいう。そのプレゼントを過去の彼女達へと渡してやってくれまいか』
そうか、今から行くのは皆の子供時代か……。うん。早いというか若いけど、プレゼントの贈り先に違いはない。行くか!
「分かりました。でも、俺が渡すんですか?」
『悪いの~ワシは自分が用意した以外のプレゼントを誰かに渡せぬのじゃよ。ほら、サンタなりきりセットをやろう。着替えておくと良い』
例の衣装を貰い、付け髭もセットして……プレゼントを鞄から真っ白な袋へと移し替える。さて、準備は万端!いざっ!
謎のゲートを通過して、俺とサンタさんは十年前へとやって来た。
◇◇◇
『まずはここじゃ』
うん。麗奈さん家だな。完全に。だって、近くに俺の家があるんだもの……あぁ~懐かしい!!あの店、無くなっちゃったんだよなぁ!!
「あ、でも……どうやって入るんですか?煙突なんて銭湯くらいにしか無いですよ?」
『大丈夫じゃよ、このサンタにお任せじゃ!』
か、貫禄が凄い!サンタとしての経歴がそうさせるのだろうな。さっそく、頼りにしてみよう!
俺達は麗奈さんの部屋がある、二階の部屋の窓辺へと降り立った。
「お願いします」
『うむ、任せるのじゃ』
一応、小声に変えて俺とサンタさんは話をしている。サンタさんが窓の鍵部分を軽く撫でた。
『ほら、開いたわい。時間は手短に頼むのじゃ』
「はい、渡してきますね!」
悪いけど靴のままお邪魔しますよっと。……麗奈さんの部屋、懐かしいなぁ~あっ、このぬいぐるみ!あったあったー!
『だ、誰!?あっ、もしかしてしゃ、シャンタシャン!?』
お、起きてるぅぅぅぅぅぅぅぅ!?
ダメだろ!?良い子は寝ていないと!
あっ、でも子供の頃の麗奈さんってこんな感じだったなぁー。この頃はまだ泣き虫で……ってそれは良いか。プレゼント、プレゼント。
「そ、そうだよ!サンタク……『アオタクロース』だよ!今日は普段、良い子の麗奈ちゃんにプレゼントを持って来たんだよ!」
『ホント!?やった!やったぁ!』
ごめんね、ちょっとサイズが大きいかもしれないけど。大事にしておくれ。
「うん。でも、出来れば十年後くらいに使って欲しいかな?あと、早く寝ないと駄目だよ?あと、料理は……頑張ってね!うん!」
『分かった!……あれ、何だか眠たく……』
お休みと伝えて、ベッドへと運んであげた。
「また明日、麗奈さん」
『ふぉっふぉっふぉっ、次に行くかの?』
ソリに乗って、次の目的地へと飛び立った。
◇◇◇
「サンタさん、麗奈さん喜んでました。凄いですねサンタクロースって」
『そうじゃろ?じゃが、喜ばせたのは君じゃ。次も頼むぞ』
えぇ、頑張って来ます!サンタさんの代わりに笑顔を産み出すものとどける為に。
空の旅は快適だ。不思議と寒くはなく街の景色もとても綺麗、そのまましばらく飛んでいると目的地へと辿り着いた。
「ここは?」
『新山紅亜という子じゃな。近い順に行くぞえ。さ、さっきと同じじゃ……頼むぞ』
あれ?近いと行ってもだいぶ移動した様な……?ここなら学区どころか中学校も別の筈で……中学に入る前に引っ越しでもしたのかな?
しかし、ここの窓は足場が無いな……仕方ない、直接窓から……お邪魔しますっと!
「はえ~ここが紅亜さんの部屋か。なんか不法侵入してるみたいな……というか、してるから無駄にキョロキョロしちゃうな」
『……うにゅ?サンタさん……サンタさん!?』
だから、なんで起きてるのー!?サンタクロースとは寝静まった頃にそっと贈る物じゃないのか!
「初めまして、紅亜さん。『アオタクロース』ですよ!プレゼントをお持ちしました」
『プレゼント!?ホントに?マ、ママ……むぐっ!?』
あっぶね、あっぶねー!?お母さんを呼ばれるとか通報以外の未来が見えない。
「ご、ごめんね。でも、お母さんに僕の姿は見えないんだ……。紅亜ちゃん!とりあえずプレゼントをあげるね。十年後くらいに使っておくれ!」
『うぅん……分かった。サンタさん、また会える?』
会えるというか、まぁ……なんというか。
「きっと、会えるよ。その時もそれからも良い子で頑張るんだよ!あと……頑張るからね。待っててね紅亜さん」
『やっぱり、ママに紹介したい!ママー!ママー!』
や、やべぇ!?に、逃げないと!
「じゃ、じゃあまた明日!って、落ちるぅぅぅ!?」
『サンタさーん!?』
「ふぅ……ありがとう。本物のサンタさん」
『構わないのじゃよ。じゃあ次じゃの!』
サンタクロースって、意外と子供達には見つかってるのかもな。
◇◇◇
『サンタ、美味しい?』
「あ、うん。美味しいよ」
『まだまだ、ありますから。サンタクロースも大変でしょう?休んでいってくださいね』
美味い。温まる。美味い。やっぱり、冬は鍋だよなぁ~。
ののののお宅へお邪魔した。どうやら、お母様のお仕事が遅くなったらしい。それでリビングに居たのののにプレゼントを渡したついでに食事をご一緒していた。
『サンタ、この後も?』
「まぁね、待ってる子供が居るから……行かないと」
のののは昔からあまり変わっていないみたいだ。でも、興味津々な年頃なのか、よく話しかけてくる。
『サンタ、来年?』
「ごめんね、沢山の人が待ってるから。でも、また会えるよ」
『あらあら、ののったらサンタさんに懐いちゃって……』
お鍋美味しかったな。何か他にプレゼントになる様な物無かったか調べてみたらポケットにチョコレート菓子が入っていた。これで良いか。
「あっ、お母様にも……チョコレートしか無くてすいません。メリークリスマスです」
『あら、ありがとうございます』
『お母さん嬉しそう』
よし、普通に長居してしまったけど次に行かないとな。まだプレゼントが残ってるし!
『サンタ、バイバイ』
「またな、ののの。風邪引かない様に」
俺は玄関から外へ出て、雪車へと飛び乗った。
「すいません、普通に見つかりました」
『あの家族なら大丈夫じゃろうて。君の行動は間違っておらぬよ。二人共、幸せそうじゃったからの!ふぉっふぉっふぉっ』
待たせてしまったのにこの器の大きさ。これがサンタクロース。見習っていこう。過去が、俺の介入で変わってしまったのかは分からないけど、一つ確かな事は……人を笑顔にするという事を知れた俺は、確実に変わったという事だ。
◇◇◇
『全然眠れないよ!サンタさんまだかなー?むむっ?気配を感じるぅ!』
次のお宅へとやって来た。全く入りたく無いんだが?
「サンタさん、ここは大丈夫そうですね。次、行きましょう?」
『いや、ダメじゃよ?楽しみにしている子を見過ごす訳には……』
バリバリ起きてるし、めちゃくちゃ楽しそうに窓際にやって来たし、うん。バッチリ目が合ってるね!
『わ!わ!何か、凄いオーラがあると思えば……サンタさんだ!ん?変だな……霞んだオーラもあるけど?』
「またか!?マノン、お前は人の事を霞んだとかなんだ言いやがって!」
子供と今とで成長してないんじゃないか!?実際に言ってる事は変わってないぞ?昔から変な子だったんだな……きっと。
『あ、あなたもサンタさんなの!?』
「今日だけな!『アオタクロース』だ!とりあえずほら、プレゼント。マノン、オーラの話も良いが……この前奢ったジュース代がまだ返ってきて無いからな?覚えておくんだぞ?」
十年後まで覚えているかは分からんが、面白そうだしつたえておくか。
『サンタさん!サンタさん!今度はどこに行くの?』
「決まってるだろ?サンタを信じる子供の元へ。メリークリスマス、マノン!また、明日な」
『また来てね!プレゼント用意しておくからぁー!』
俺は手を振って、最後のプレゼントを渡しに向かった。
◇◇◇
『寒いです……』
サンタクロースなんて存在するのかしら?居るというのならこの凍えた体を暖かくして欲しい。
シャンシャンシャーン!シャンシャンシャーン!ふふふんふふーん!
「サンタだけど!!」
『ひっ!?だ、誰!?』
おっと、逆に普通の反応過ぎて困るな。失敗した。ここはすぐ渡して帰った方が良いかも知れないな。
「向日葵ちゃん、メリークリスマス。サンタからの贈り物だよ」
『え……?サンタ……さん?プレゼント?』
急にこんな格好の奴が現れて、プレゼントとか言われても困惑するよな?もっと、いつもみたいに高飛車であって欲しいが……普通だな。小学生に上がる前だろうし、これが普通か。
「そう、これは『アオタクロース』より、向日葵ちゃんへのプレゼントだ。少し大きいかもしれないけど大事に使ってね?あと、十年後くらいの話だけど、無理しないで疲れた時はいつでも頼ってくれ。じゃあ、また明日な!」
『あ、ありがとっ!大切にするからっ!』
よし、これでミッションコンプリートだな!
「サンタさん、渡し終えましたよ」
『ご苦労じゃった。これでまた、子供達の笑顔を作れたわい!』
毎年毎年、本当にご苦労様です。幸せを産み出してくれて、一時の思い出だとしても宝物には違いありませんから。
『じゃ、帰るかの?』
「はい!」
こうして、俺の最初で最後のサンタクロース体験は幕を降ろした。
家に贈り届けて貰うと、時間は経っていなかった。つまりは、二十四日になったばかり。
この、一夜限りの不思議な体験はきっと忘れないだろう。
『ふぉっふぉっふぉっ。此度は助かったのじゃ、礼を言うぞ』
「いえ、こちらこそありがとうございまし……あれ?眠気……が」
俺はそのまま夢の中へと旅立ってしまった。
『ふぉっふぉっふぉっ。まだ君にプレゼントを贈って無かったの。どれ……ふむ。少し面白く因果でも操るかの?……メリークリスマス、『アオタクロース』』
◇◇◇
十二月二十四日、二十五日。――それはクリスマスと呼ばれる、世間では恋人達にとって重大なイベントである。
では、恋人の居ない人達にとってのクリスマスにはたして意味はあるのだろうか?
「クリスマス最高だと思うんだけど、勝也はどう思う?」
「いや、昨日と言ってる事違くない!?」
当たり前だ。クリスマスは最高。ただ、それだけだ。
目が覚めるとサンタクロースの姿は当然無く、夢だったのかと少し落胆したが、鞄の中身が消えていて確信した……サンタクロースは居るんだと。
「おはよ~」
「神戸、メリクリ」
のののと挨拶を交わす。俺の昨日は皆の十年前、だがそれで構わない。自己満足だが、俺はしっかり覚えているから。
「寒いな、ののの」
「うん。だからこれ被る」
「ののの、それは……」
「昔、サンタから貰ったイヤーマフニット帽。今日は持ってきた。理由は分からないけど」
そっか、ちゃんと持っててくれたんだな。
「おはようございます、青くん!」
「おはよですっ!青さん!」
紅亜さんとマノンは今日も仲良く話していたらしい。
「おは……ふ、二人共、そのマフラーと膝掛けは……」
「これ?ほら、昨日……サンタクロースに会ったって話したじゃない?その時の贈り物なのよ。何故か、持ってこなくちゃって!」
「私もですよっ!記憶は薄れてしまってますが……また会いたいですねぇ~」
そうだったのか。昨日の話していたサンタは……。
「会えると思うよ、いつか」
「青さんもそう思いますか!?ですよねっ!」
昨日ぶりだが、十年ぶりだな。なんだかな?変な気分だ。
「失礼するよ。青!」
「失礼しますわ!青さん、やっと登校なされたのですわね!」
「麗奈先輩、その、カーディガン!向日葵ちゃんも、その手袋!」
皆大事にしていてくれたんだな。良かった。贈った側としてこれ以上の名誉な事は無いな。
「今日は青にクリスマスプレゼントを用意してたんだ!ほら、これだ!」
「わ、私もでしてよ!日頃のお礼です、勘違いなさらないでくださいましね!」
「あ、ああ青くん!実は……私も」
「私も持ってきたっすよ!サンタさんにあげる用ですが、特別に差し上げげます!」
「神戸、これ」
そこには五つの袋、俺が皆に渡した様なサイズの袋がある。プレゼントを贈った側を体験したからこそ、渡される側の気持ちがより深く感じられる。とても……嬉しい。
「ありがとうみんな!このプレゼントは大事にするから。例え十年経っても必ず!」
「大げさだな、青は」
「私からのプレゼントなのですわよ?大切にするのは当然ですわ!」
「大切に使ってね?」
「特別なんですからねっ!」
「神戸、これはお返し」
……ののの。いや、気のせいだな。日頃のお返しという意味だろうし。
「今年は良い日になったよ!メリークリスマス!」
「「「「「メリークリスマス!」」」」」
『ふぉっふぉっふぉっ、メリークリスマスじゃよ~』
「『アオタクロース』の贈り物 完」
誰かにプレゼントを贈った事の無い人は、せっかくなので贈ってみるのも良いかもですね!
では、良いクリスマスを!