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第15話 いらっしゃい麗奈さん

よろしくお願いします!

 


『神戸君、今晩は。もう、夕食は食べ終えましたか? 今日の種目決めの時間で、私と神戸君がペアとなりましたね。勿論、目指すのは一位の座ですけど楽しむ事も大切ですよ! 神戸君はどちらのスタンスでしょうか? 私はどちらでも構いませんよ? それで今後の練習についてですが…………という事です!』



「とりあえず携帯を置いてご飯を食べに行こ」



 俺は開いた『ちょこライン』の画面をそっと閉じた。二割くらいよんだけど……うん。ちょっと置いておこう、落ち着く時間が必要だ。あと、見間違いじゃなければグループの方に送られてたような……。



「お兄ちゃ~ん、ご飯の準備が出来てるよ~」

「今行くー!」



 ◇◇



 ご飯も食べ終えて、明日からの休日をどう過ごすか考える前に返信をしないとな……。



「あぁ……やっぱり、グループトークに送ってるな。紅亜さん」



『神戸君、今晩は。もう、夕食は食べ終えましたか? 今日の種目決めの時間で、私と神戸君がペアとなりましたね。勿論、目指すのは一位の座ですけど楽しむ事も大切ですよ! 神戸君はどちらのスタンスでしょうか? 私はどちらでも構いませんよ? それで今後の練習についてですが………………という事です!』


『紅亜、ここはグループトークですよ! あと、長いです』


『えっ……!? 今のは無しでお願いします!』


『新山さんでもそんな凡ミスするんだな。あと、流石に長いかと……』


『神戸、まだ? グループトークの最初の会話が長いんだけど。』


『ごめんなさい……。ちょっとだけ、聞きたいことが多くてですね、もうちょっと分けるべきでした』



 皆からも突っ込まれているが確かに長い。今後のペアとしての方針とか言われても、申し訳ないがそこまでの熱意を体育祭に込めては無いんだよな……迷惑を掛けない程度には頑張るけどさ。



「『晩飯の時間だった。とりあえず無事に走りきる方針で』……っと。悪いけどこのくらいの熱意でやらせて貰おう」



 ピロン!

 っと、返信が。漫画の続きを読もうと棚から取り出した所でメッセージが返って来ていた。



『そうですね。まずはゴールする事が大事ですものね! (つまず)いても止まっても転んでしまっても、ゴールを目指して二人で走る事がこの競技の醍醐味(だいごみ)ですものね………………。』


『紅亜! 貴女はまた……。ここでトークするのは良いですけど、量を考えてくださいよ!』


『谷園さんの言うとおりかもな。『ちょこライン』のちょこ部分ではねーな~って感じ』


『す、すいません……またやってしまいました……つい』



 つい……で、あの文章量は凄いと思う。と、とりあえずは返信をしておこう。



 ◇◇◇



 は、恥ずかしい失敗をしちゃった。グループトークの画像にある青くんをアップで見ていたら、それが青くん個人のヤツといつの間にか思っていて……。


 聞きたい事、言いたい事が多くて、長くなってしまった事はうっかりだった。久し振りに学校以外で連絡が取れると舞い上がっちゃって……って、それは私の軽率な行動がいけなかったのだけど……。



「しかも、二回も長い文章を送っちゃうなんて……」



 ピロン!

 へ、返信! ……お、お、落ち着いて、落ち着くのよ紅亜!



『そうですね。手を合わせて……というか足を合わせて頑張りましょう!』



 あっ、なるほど! 流石は青くん、中々に上手な事を言うのね!

 私も、何か上手い返しを送らなきゃ……よね。まずは青くんが上手い事を言った件を褒めてからかしら!



「えっと……『今のは二人三脚での発言として凄く上手な表現ですね! 手を合わせるではなく、あえて足を合わせるという表現は………………です!』っと、送信。あっ! 」



 も、もう少し短くするべきだったかな? でも、さっきより短いし大丈夫……よね?



『長い! あと、ちょっと可哀想っすね!』

『長すぎっすね。恥ずかしいだろうな~青は!』

『神戸、どんまい』



 うぅ……やはり長かったですか。褒めるだけで良かったのかも知れませんね。


 褒めた筈なのに、どうして青くんが擁護されているのでしょうか……?



『紅亜さん、ありがとうございます……』



 ほらっ! やっぱり褒めるのは正解じゃないですか! 上手な事を言ったんですから当然の事ですよね! うんうん。


 っと、そろそろ勉強してお風呂に入って、部活の為の準備をしないとですね……名残惜しいですが、また次の機会ですね。



「『すいません、そろそろ明日の準備をしますので先に失礼します!』……これでよし!ふふっ、何だか楽しいわね」



 皆からの返信も読んだし、さて……宿題からやりますかっと!



 ◇◇◇



 自分が考えた台詞について説明をされるという、ギャグを説明するくらいの恥ずかしさを受けたが……紅亜さんは真面目に褒めてくれたんだろうな。多分、優しさで。


 その紅亜さんが抜けた事で、俺達も今日の『ちょこライン』は終了して各自の時間を過ごす事になった。もちろん俺は、この休日を自堕落に過ごす予定だ。だって休みだもの!


 自堕落に過ごす最初として、金曜日の夜は宿題もせずもう寝ることにしよう。



 ◇



 自堕落に! ――そう思った翌日、土曜日の朝にその人はやって来た。



「お邪魔するよ、青」

「れ、麗奈先輩!? ……お、おはようございます」



 普通に挨拶をしたが、落ち着いて考えるとここは俺の部屋である。



「おはよう。あれだぞ? もちろん皐月さんに挨拶はしてるし、『青は部屋に居るからついでに起こして』と、頼まれたのだが……起きてはいたようだな? そ、れ、と! ここは学校じゃないんだ、先輩は止めてくれ」



 母さんにも既に会ってたか……。今は朝の九時……か。うん、まだ早い。ちょっと早いかな? 土曜日なら何となく十時以降だと思うんだよね。



「まぁ、起きたのはついさっきですが……。麗奈さん、朝からどうしたんです?」


「理由が無いと来ちゃダメだったのか……青?」



 俺は何回この申し訳無さそうというか、泣きそうとも取れる顔に騙されるのだろうか。既に何回も経験しているのに、分かってるのに騙されるんだよな……。むしろ、自ら騙されに行ってる感あるな。



「……大丈夫ですよ。麗奈さん、今後もいつでも来てくださって」


「うむ! 何回も取ってる言質をまた取った所で……さっそくやるぞ!」



 何をやるのかは分からないが、麗奈さんが持ってきたカバンから色んな紙やら何やらを取り出して机の上に広げていく。



「何ですか? それ……」


「体育祭での借り物競争や障害物競争について……それ以外にも色々とあるけど、とりあえず種目は決まってるが細かな内容は決まっていなくてな」



 体育祭に関する書類か……。生徒会長は忙しいな、やっぱり。



「昨年の使い回し……じゃ、麗奈さんは納得しないですね。でも、どうして俺の所に?」


「私が生徒会長として、とりあえず色んな案をだして生徒会のメンバーと話し合うのだが……言いづらいのか、ほとんど反対意見など無くてな。私も出来るだけ最初から良いと思うモノを提案してるのだが絶対では無いし……と、言う理由(わけ)で青の所に来たのだ!」



 そう語ってみせたけど……俺も多分、生徒会メンバーと同じだと思う。


 麗奈さんとは付き合いもあるし、他の人よりは言い易さはあると思う。が、麗奈さんが提案するモノが良すぎてそれで決定と思ってしまうのは一緒だ。



「まぁ、午前中と午後も少しは借り物競争の内容について考えたい。例えば『数学科の先生』というお題を出すとしたら、数学担当の教諭に話を通さねばならないかな。なるべく早めに決めておきたいのだ」


「……大変なんですね、生徒会長って」



 各所への確認やら何やらで、忙しさ倍増なんだろうな。



「生徒会の皆がサポートしてくれるから何とかなってるさ」


「生徒会のメンバーでは無いですから、俺は個人的に麗奈さんを……手伝える事があれば手伝いますよ」



 まぁ、俺が出来ること……というか、手伝える事なんて微々たる事だろうが、微力を尽くすくらいはやってみよう。



「青! ……あと一ヶ月ちょっとしか時間が無いから助かるよ! ふふっ、何か頼む事があればお願いするからな」



 少し安請け合いをしてしまったかも知れないが、どうせ部活もしていない身だし、いつも頑張っている麗奈さんを手伝ってあげたい気持ちはあるから……頼まれたらその時は頑張ろう。


 とりあえずは、借り物競争の内容決めからだな!




誤字脱字がありましたら報告お願いします!

(´ω`)

質問等は感想欄でも活動報告でも受け付けてますよ!

ちなみに紅亜さんの誕生は7/12日です

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