第135話 面白ジョーク
お待たせしました!
前回、17000字オーバーですし、少しくらい遅れても許してください(´ω`)
サブタイとか考えるの大変ですから、もう……良いですよねぇ
よろしくお願いします!
「やぁ~っぱり寝てた! お兄ちゃん、朝だってば! もう、碧は学校に行くからね! 本当に行くからね!」
碧の声が部屋に響く。さすがに目が覚めた……二度寝したとて、眠気が無くなる訳ではないのだと。むしろ、眠くなるだけだと。
これで何度目かは分からない、二度寝は良くないな……という意識の覚醒。目が覚めた。決して、眠気が覚めた訳じゃない。むしろ眠い。
「はいはい、起きますよー……」
ヌルッと動き出す。碧の足音は遠くなって、もう行ってしまったようだ。
重たい体を動かして、まずは洗面所に行き顔を洗った。そして、リビングに行き、お母さん以外はもう居ないけど朝食にする。
「青、ゆったりしてて良いの?」
「……まだ大丈夫」
「早く片付けたいから、早く出てって。って意味よ」
「ひぃ~」
急かされて、急かされて、五分後にはもう玄関で靴を履いていた。
弁当を鞄に入れ、忘れずに日記も入れて、家を出て足早に学校へと向かった。
いつも通りの時間に学校に到着する。教室で、先に来てた勝也と軽く挨拶を交わして自分の席に着く。
「ののの」
「…………」
チラッと目線だけはくれたが、こっちを向くまでは無い。
俺もちゃんとのののの方をちゃんと見ている訳ではないから強くは言えないけれども。
「借りてた本。全部読んだ」
「……っ」
「この本は……返すよ。のののの物だからな」
「うん」
「新しいページにちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、書かせて貰ったから。それだけ」
「……どう、思った?」
「驚いた。一番知ってると思っていたけど、何も知らなかったって」
一晩経っても、去年ののののについては何も思い出せない。
それほど印象が薄かったのか、それとも俺が気にもして無かったのか。どちらにせよ『知らない』という酷いことをしてしまっていた。無知は罪なり――本当にそうたと思った。
知らない事で不幸になるのは自分じゃなく、他の誰かなのだと気付いた。
「ううん。私も、言わないから」
「それは……そうだな」
「む。今のは謙遜。神戸が悪い」
「何をぉ~、この日記、音読してやろうか?」
「ダメージは一緒」
「……おぉう」
日記の最後の方を思い出して、何も言えなくなってしまった。
とりあえず、日記をのののに返す。
その時、なんだか初めてのののの顔を正面から見た気がした。今まで何度も見たことがある筈なのに、今までとは違って見えた。
「神戸」
「ん?」
「……なんでもない」
「もう、何でも言って良いんだぞ?」
「うん。あのね……次は、神戸の事を教えて欲しい」
「そうだな。いつでも何でも聞いてくれ」
俺がのののについて何も知らなかった様に、のののも俺について知らない事は多くあるだろう。
「それと、またのののの本も読ませてくれ」
「恥ずかしい」
そう言ったのののだが、嫌と言わず、そういった雰囲気も伝わってこなかった。
◇◇◇
四時間の授業を終えて、昼休み。弁当を片手に廊下へ出ると、後ろから呼び止められた。
「青さん、青さん! 私もついて行くです?」
「いや、知らんけども!? 行き先……わかってんの?」
「向日葵ちゃんの所ですよね? 私もマノンちゃん先輩として、後輩ちゃんの面倒を見なければですし!」
「そ、そう。いつの間にそこまで仲良く?」
同じくお弁当を片手にしたマノンが、仲間に加わった。
この、女子の『いつの間にか仲良くなってる』という現象に名前とかないのだろうか。まぁ、その逆の『いつの間にか仲悪くなってる』現象も名前があって良いような気がするけど。
「青さん、何か良いことありました?」
「どした、いきなり?」
「オーラの霞みがですね、いつもより無いんですよ。心が充実してるか、何かハッキリした時にあるやつですよね」
心が充実……そうなのかどうかは分からないが、最近はハッキリしてきた事が増えたと思う。のののについてやマノンについてなんかがそれに当たるかもしれない。
マノンの言うところである俺のオーラの霞み。それが無くなってきているというのは、自分の進む方向が見えてきているという事なのかもしれない。マノンに言われなきゃ、そんなこと分からないんだけどな。
「おいおい、隣にこんな可愛いハニーが居て充実しない訳ないだろ?」
「やんっ! まったく、ダーリンてば調子良いんだからっ!」
「うへ……慣れない事はするもんじゃないな」
「私的には抱き付く所までがセットのジョークでしたけど、学校なので自重です!」
話を逸らす為にも言ってみたジョークは、思ったよりも失敗したと後から気付いた。
ハニーとか言った後のやっちまった感が凄くキツい。マノンに対して、ちょっとばかし無神経だった。
それにノータイムで合わせてくれたマノンには助かった……それが無ければ、より悲惨な空気が流れていたはずだ。
「そりゃ、どうも。そうだ、次はいつ家に来るとか予定があれば家の誰かに知らせてやってくれ。きっと喜ぶ」
「はいです! そうですねぇ……休みには行きますかね」
そんな話をしながら、一人待ってるだろう後輩の所へと向かった。
食堂に着くと、今まさに料理を――うどんを受け取っているひま後輩が見えた。
マノンと一緒にひま後輩の近くまで行く。何だか目の下にうっすらと隈が出来ていた。
「ひま後輩、寝不足?」
「まぁ……青先輩のせいでですよ?」
「むぅぇ!? 青さん! いったい、向日葵ちゃんに何をしたんですか!?」
何もしていない……とは言えないかもしれない。
ひま後輩にはいろいろと相談して、それで悩ませしまっている。
一昨日、昨日でのののとの関係を話して、それでいろいろと考えさせてしまった。もしかして、それで寝不足になったのだろうか。だとしたら、日々の疲れもあるだろうし……何かケアを考えないとさすがに申し訳ない。
「何したか……か。(相談内容は)ちょっとそれは言えないかな」
「い、言えない様な事をしたんですか!?」
「私の(青さんの為の)計画が狂って仕方ないですわ……」
「人生計画にも影響が!? ま、まま、まさか……」
三人で座れる席を探して、四人掛けのいつもの席へとやって来た。
ひま後輩が座って、俺がその正面に座ると、マノンはひま後輩の隣へと腰掛けた。そして、ただならぬ表情で俺を見てくる。
いかにもひま後輩を心配している雰囲気を出している……。
「マノン、いつまでも変なリアクションを取る必要は無いぞ?」
「そうですねぇ……多少は面白くなるかと思ったのに、二人とも冷静でつまんないです。紅亜ならもっとアタフタしてくれるのに」
「そう言われましても……」
ひま後輩はうどんを食べ始め、俺も弁当を広げて、マノンもブツブツ言いながら弁当を広げた。
「あれ、マノンが弁当なのは珍しくない? いつも何か買って来てただろ?」
「ふふーん! やっと気付きましたか!!」
「とても美味しそうですわね」
料理が出来ることは知っていたが、学校に持ってくるお昼ご飯はサンドイッチとかが多かった気がする。
こうして弁当を持って来ているのは前にあったかなかったか……曖昧になるくらいの回数しか無かった筈だ。泊まっていた時にはお母さんと作っていたけど、あれはノーカンだしな。
「これぞ、女子力ってやつですよ。良い女は何かと出来ないフリをしなくちゃいけないですけど……本当に出来ないとヤバイですからね!」
「なるほど、さすがはマノン先輩ですわ。参考になります」
「向日葵ちゃんも、隙を見せてかなくちゃダメですよ! ね、青さん!」
「俺に振るのか。そうだな……まぁ、ひま後輩の好きにしたら良いんじゃない? 隙だけに」
――ごめんなさいでした。
空気が冷えてしまったけど、ご飯は美味しかった。
「あっ、青さんのオーラが霞みました! いつも通りです!」
「ちょ、言うなよ恥ずかしい。あと、いつも通りとか言ったらさ! 俺がいつもスベってるって、ひま後輩が勘違いするだろ?」
「だ、大丈夫ですよ青先輩。私は味方ですから……」
「うん。せめて、目を見て言ってね。ひま後輩」
まさか、こんな駄洒落ひとつでひま後輩との仲にヒビが入るとは思わなかった。
マノンはもう、我関せずといった感じでご飯の続きにしていた。こういう時こそ、いつものマノンなら盛り上げてくれるのに。まさか、マノンでも救えないレベルとかじゃ、ないよね?
(そこまでつまらなかったのか……? 面白くは無いだろうけどさ!)
自分ではそこまで悪いとは思っていないけど、間違いなく俺が悪いのだろう。だから……もうしばらくは、黙っておくことにした。
せめて、空気がまた温まってくるまでは。
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