第123話 やっぱりアウトですか……
お待たせしました!
シナリオゲーでボロ泣きしてましたよ……もう、歳ですかね……(年齢不詳)
よろしくお願いします!(´ω`)
「青さん、お先いただきました」
「お兄ちゃん、次いいよー」
風呂上がりでポカポカした二人と入れ替わりに、着替えを持って風呂へと向かう。
ふと、部屋を出る前に言っておかねばならない事があるのを思い出して、振り返った。
「碧、マノン覗くなよ?」
「……」
「……」
「いや、せめて何か言って!? 心配になっちゃうから!」
冗談……というか、碧が言った事に対して被せたつもりが、まさかの無言が返ってきた。
ただの戯れ言として無視してくれるのならまだ良いのだが、マノンにはわざとじゃないにしろ前科がある為、無言はとても心がざわつく反応だった。
「冗談だよ、お兄ちゃん。なんでお兄ちゃんの裸とか覗かないといけないの! ね、マノンちゃん?」
「あ……う、うん! そうだね。ま、まったく青さんはイヤらしい」
一人だけ反応がおかしいが……大丈夫と信じるしかない。
サッと入ってサッと上がってしまおうと、風呂場へと急いだ。
「あぁ~……」
入浴剤の香りが今日の疲れを癒してくれる。
身体を洗って湯船に浸かる時、だいたいの人は同じ声を出すだろう。
疲れが一番抜けていく声が「あぁ」なのかもしれないな。
「筋肉痛にならない様に揉んでおかないと……」
勝也と行ったバッティングセンター。普段使っていない筋肉へのダメージが、きっと明日にやって来る。
今、湯船の中で揉んだとしてもきっと筋肉痛は避けられないだろうが、少しでもという気持ちで腕を中心に揉んでいく。
(後で碧にマッサージでもしてもらうか……)
部屋を貸し出している賃金代わりに、それくらいして貰ってもバチは当たるまい。
そして、湯あたりにならない程度にお風呂を楽しんだところで、いつもより少し早いが出る事にした。
浴室の外で物音は聞こえなかったし、当然と言えば当然なのだが、誰も来る事はなかった。
身体を拭いて、髪を乾かして、お母さんに上がった事を伝えてから部屋に戻る。
自分の部屋だが、念のためにノックをしてから入る。
「お兄ちゃんお帰り!」
「おう」
パジャマに着替えた二人は、ただ座って喋っていた。特に荒らされた形跡は無い。
流石に疑い過ぎだろうか? だが、せっかくのサプライズはギリギリまで隠しておきたい気持ちがある。
「それで……何するか決めた? とりあえず碧、マッサージしてくれ」
俺はベッドにうつ伏せになって、自分の肩を叩いて碧に疲れてますアピールをした。
「いや、とりあえずの意味が分からないし! これと言って……する事を決めてる訳じゃないけどさ」
「青さん、私がマッサージしますよ! 日頃のお礼ですっ」
「お、おう……じゃあ碧が何か考え付くまで頼む」
マノンが動き出して「失礼しますよ」という声と共に腰へ重みが乗っかった。
やや硬い気もするが、どちらかと言えばやはり柔らかいと表現した方が適切なお尻の感触を腰で感じた。
ベッドに横たわっている俺へのマッサージをするならば、たしかに今のマノンの体勢が一番効率的なのかもしれないが、密着具合でちょっと落ち着けない。
変に体を動かす訳にもいかず、ただジッとするしかない。
「では、肩からいきますよ~」
マノンの軽い声で、マッサージが始まった。
「オ客サン、肩コッテルヨ」
「何故に、胡散臭い中国人風に!?」
「こ、こういうのは形から入るんですっ!」
「そ……そか。とりあえず強めにお願い」
「カシコマリヨ!」
ギュッギュッギュッ……と良い具合の力加減で肩が揉まれ、気持ちが良い。
「次は指圧マッサージです!」
「あら、エセ中国人は?」
「フォッフォッフォ……それは終わりじゃよ」
老師みたいな話し方にチェンジしたマノンが、背中を親指で押し始めた。
自分の手じゃ届かない凝っている部分を、集中的に押して貰った。
「あぁ……そこ、気持ちいい……。マノン、マッサージ上手だな?」
「まぁ、よく誰かの肩とか揉んでますからね!」
「ほー……じゃあ、交代してあげようか? たまにはされる側も良いものだぞ?」
「えっ、良いん……ハッ! さ、さては然り気無く私の胸を揉むつもりですね!?」
「善意を返して欲しい」
合意なくして揉むなんて事はしない。例えば無防備にお昼寝をしている女の子が居たとしても、俺は何もしない鋼のメンタルを持っている。
ただ、うっかり床に何かが落ちて、たまたまスカートの中が見えてしまったとするなら……その時はソッと両手を合わせて拝むくらいはして、感謝の意を示す事もあるかもしれないが、基本的には合意が無いのに触れたりはしない人間だ。
発育がほどほどなマノンの胸だとしても、胸には変わらない。やはり、触れるには合意がいる。
逆にもし合意があったとしたら……ごくり、だ。
「あーっ! やっぱり、卑猥な事を考えていますね!?」
「おい、やっぱりとか言うな! 何も考えてないって」
「なんで何も考えて無いんですか!! 私の胸に魅力が無いとでも!?」
「情緒不あ……イタッ! 背中をグーで叩くっ……痛いからっ!」
あっ……でも、どんどんとリズミカルに叩かれる背中が気持ちよくなってきた。
やはり、女の子に胸の話題はやはりタブーなのだと思い知らされる。
別にマノンの胸が悪い訳ではない……知らないけどおそらく、魅力的なのだろうとも思う。でも、面と向かって「君の胸について考えていた」とは、言えないしなぁ。
「よしっ! 思い付いた、みんなでゲームでも……って、何してんの!?」
「えっ? マッサージだけど?」
「怒りのパンチですっ!」
「二人だけで遊んでる! ズルい!!」
ずっと考えさせていた碧がおもむろに動き出して、俺の腰に座っているマノンのさらに後ろに乗っ掛かる。そして――。
「どーん!」
「うグッ……お、重い……」
「み、碧ちゃん!?」
マノンを前に押し倒し、更にその上に乗ったのか、上からの圧力でベッドに沈みそうになる。
一番上の碧は楽で良いだろうが、その下のマノン。更に下の俺はもっとキツい状況になっている。
「う……うぉぉぉぉ!!」
「おぉ! お兄ちゃん凄い! 浮いた!」
「あわ、あわわわ……み、碧ちゃん降りて! 胸が……胸が当たってるんですよぉ!! ぎみゃああぁぁぁー!!」
そう。これは俺から触った訳ではないからセーフな案件。
何故、急に腕立てをしたのかと言うと、碧を楽しませると見せ掛けて、ちょっと縦の動きを入れてみたかっただけである。
フニッとした感触を背中では十全に体感出来ていないのかもしれないが、チャンスは掴まないと勿体ない。
俺は、ここぞとばかりに腕立て伏せを繰り返した。
「青さん、わざとですね! わざと動いているんですねぇ!?」
「凄い凄い! お兄ちゃん、意外と力持ち?」
「くっ……もうダメだ……いや!! 頑張れ俺! 碧の為に背中に神経を集めろっ」
「腕じゃない時点で確信犯ですぅー!!」
気合いを入れたは良いが、数回やった後に力が尽きた。
せっかくのマッサージも無駄になっが、それでも良いと今は思っている。
なんせ、碧が楽しんでくれたのだしな。
碧は満足して降りてくれたが、マノンの方は……怒っているというか、やや呆れている顔をしていた。
「なんで、上……着けてないの?」
「ね、寝る時は着けない派なんです! 変態変態! 青さんのスケベ!!」
「いや……その、ゴメン。つい」
「ついで触って良いものじゃないんですよ! 反省してください!」
「はい……」
俺が怒られているのを不思議そうに碧が見ているが、悪いのは碧なのに……そう思いながら、反省した。いや、してないけど。
そこからは普通に、碧がゲームしたいと言えばゲームをして、飽きたらまた別の何かをして夜を過ごしていった。
あまり大きな声を出さない様に気を付けようとするものの、いつの間にか普通に笑っていたりするそんな時間だった。
「マノンちゃーん?」
「あらら……碧ちゃんもう限界っぽそうですね。部屋に戻りますか?」
「……今日もここで寝るぅ。お兄ちゃん……布団」
「はいはい、持ってくるよ」
碧の頼みならば……と、碧の部屋まで行き布団を一つ運んでくる。
マノンが机を動かしてくれて出来たスペースに、布団を敷く。
「碧、用意できたぞ?」
「お兄ちゃんがそっちだよー……」
本当に眠さが限界なのか、ニコニコというかニヘラニヘラしながら、ゆっくり俺のベッドへと潜り込んでいった。
「じゃあ、今日はお開きですかね?」
「そうだな。じゃあとりあえず部屋の明かりも消そうか」
「そですね。じゃあ……寝ますか」
部屋を暗くして、布団の中へと入る。
「…………」
「…………」
「いや……」
「何も言わないでください!」
「お、おう。でも……」
「良いんですっ……今日は、最終日なんですから」
「そうか」
「そうです!」
「おやすみ、マノン」
「おやすみなさい……兄さん」
お兄ちゃんから兄さんへの変化……そっちの方が本人的にしっくりくるのだろうか?
まぁ、今はそれよりも問題がひとつ。おやすみとは言ったけど、今夜は寝れるかどうか微妙だ。
どこかのタイミングで寝はするのだろうが……長い夜になりそうである。
(これは……試されてるんだなきっと。頑張れ、俺!)
――いつ寝落ちしたのかは分からないけど、朝、碧に無慈悲にも叩き起こされた。マノンは既に朝食の準備に行ってるらしい。
朝の光に照らされながら俺は、めちゃくちゃ眠い寝起きにはなってしまったものの、己を律した自分をひたすら褒めていた。
ただ、二度寝の誘惑には絶賛負けそうなのだが……な。
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