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第112話 優柔不断で面倒見の良い人は……


お待たせしました!

よろしくお願いします!(´ω`)




 


 次に誰が発言するのか。

 マノン以外のメンバーは自分から進んで前に出るタイプじゃない。

 だからだろうか、お互いに顔を見て、譲り合う空気感を出していた。

 そんな中で、手を上げるというよりは前に伸ばす感じで次は自分がいくとアピールしたのは……意外にものののだった。


「次はののちゃんねぇ? ののちゃんは好きな子とか居るのぉ?」

「秘密」

「あらあら……。その男の子はどんなタイプなのかしらぁ?」


 話の入りがマノンとは少し違ったからか、質問自体もちょっと変わっていた。

 のののに好きな男子がいると決めつけて話す米良先生だが、のののはそれにも動じず、淡々と、いつもの感じで話していく。


「優しい」

「それだけぇ……?」

「面倒見が良い」

「良いわねぇ? もっとある~?」

「ない」

「あらぁ?? 本当にないの?」

「ない」

「そう……」


 米良先生をも困惑させるののの。

 マイペースという(くく)りでは、先生ものののも似たような感じだが、種類がまた別なんだろうな。

 のののは早くアドバイス的なのが欲しいのか、米良先生を見詰めた状態で待っている。


「ののちゃんは~、自分のアピールポイントを把握してる?」

「してる」

「あらぁ、思ったよりハッキリしてるわねぇ……ののちゃんは、物事を二択で考えるタイプなのかな?」

「この世は私か私以外か……と思っていた。前まで」

「なるほどぉ……ね。だいたい分かったけど、一応アピールポイントも教えて貰っても良いかな~?」


 米良先生は楽しそうだが……それ以外の俺を含めるメンバーは楽しめるているのか疑問である。

 先生に自分の好きなタイプを発表して、アドバイスを貰うという……もはや二者面談と変わらない。

 他のメンバーが居る事を考えると、暴露大会と称した方がしっくりくるかもしれない。


「私は……」

「私は?」


 のののが何を言うのか、気持ちは前のめり状態で耳を傾けた。

 他のみんなものののが何を言うのか気になっているのだろう……静かになる。

 のののはアピールポイントで何を言うのか……幾つか考えられる。

 知識が豊富。記憶力が良い。落ち着きがある。裏表が少ない。自分のできる事を把握している。癒しキャラ。家族思いだし、ちゃんと感謝もできる。


 のののにも駄目な部分はたしかにある。

 他のみんなにも言える事でもあるが……駄目な部分を上回る程に良いところも沢山あるのだ。

 その中でのののが何を言うのか――そして、俺はそれに対してどう褒めるのかを瞬時に考えなければいけない。


「私は……モテない」

「モテ……ない? それが~ののちゃんのアピールポイントなのぉ?」

(そうそう! のののはモテない所が良いところだよね! ……なんて言える訳ないじゃん!? どういうことなん!?)


 アピールは自分の中の良い部分を伝えるという事。

 それをのののが間違う筈もない。という事は……だ。

 のののは、本当にそれがアピールになると思っているのだろう。

 モテる人はモテるだけの要素があるからモテる。なのに、自分からモテないというのは……決してプラスなイメージではなく、どちらかと言えば、マイナス的なイメージが強いだろう。


 例えば紅亜さん。めちゃくちゃモテる。

 見た目の良さもあるし、部活を頑張る姿も人気のひとつだ。


 例えばひま後輩。めっちゃモテる。

 孤高の感じが強いが、むしろそれが良いと人気が広がっている。


 例えばマノン。ちょくちょくモテる。

 社交性や周囲にまで及ぼす明るさ。紅亜さんやひま後輩と違い、身近に感じられる可愛さが人気になっているらしい。


 たしかにのののは、この面子(めんつ)の中で唯一と言っても良いのかもしれない――その魅力が周囲に知られていないのは。


 のののは、内向的で人を遠ざけてしまう性格のせいで、どうしても他者との関わりが薄い。

 性格である以上、それは仕方のない事だ。誰しも得手不得手があるみたいに。

 それでも俺というサンプルがある。

 知られてないのは何も、のののだけのせいじゃないのだ。


「私は、週に何度も告白されない」

「うっ……」

「私は、男女問わずむやみやたらに仲良くなれない」

「……うぅ」

「私は、目立つ態度や見た目にならない」

「……っ!!」


 華の女子高生としては、逆の方が嬉しいだろう言葉を、のののにしては頑張って話している。

 米良先生は何でもお見通しと言わんばかりに「なるほどねぇ」と相槌を打っていた。


「言いたい事は分かったわぁ~。たしかに、他の子とはアプローチが違うけどぉ……」

「疑惑が無い」

「そうねぇ。たしかにそれも大事なことだわぁ」

「安心」


 今回は俺に、コメントを求めるつもりは無い様子だ。

 あれば、この辺りで振ってきてもおかしくないのに、米良先生はのののへのアドバイスを考える事に集中しているみたいだ。

 その代わりに――目を閉じて思考中の先生の代わりに、のののが……当人が俺に視線を向けてくる。


(何て言えば良いんだろ……最後に『安心』って言ってたよな?)


 マノンみたいに分かりやすく返しやすい言葉がないのが、難しい。

 その中でも最後の言葉だけは、拾えそうだった。

 ののののアピールポイントは多いが、ののの自身は『安心感』を伝えていきたいらしい。


「うん……ホッとする」

「そう」


 それだけで、すぐに視線は離れる。

 もっと上手く伝える為の言葉はあったと思うが、のののには今ので十分伝わっているはずだ。

 そういう意味でも……たしかにのののは安心すると言える存在だ。


「ののちゃんは恋愛、慣れてないわよねぇ?」

「熟練」

「受け身過ぎるもの~、分かるわよぉ?」

「実は不慣れ」

「うんうん……でも大丈夫よ。面倒見の良い男なんてね……」


 次の言葉を溜める米良先生。その言葉を待つのののの。

 面倒見の良い男について米良先生からのアドバイス……それはつまり、今後ののののの行動指標に関係する可能性がある。

 のののへの言葉だが、米良先生の的確なアドバイスは俺だけじゃなく、他のみんなだって気になっているだろう。


 ――数秒溜めた米良先生の口から出たのは、思ってもみない言葉ただった。


「大半はドMなのよぉ。面倒をみて貰ってたとしても~、強気で押した方が絶対に良いわぁ!」

「ド」

「エ」

「ム」

「納得。参考にする」


 どうしてそこだけを切り取って、紅亜さん、マノン、ひま後輩の順に口に出したのかは分からない。

 のののも、何に納得してどう参考にするのか……てんでピンと来ない。

 俺は心の中で生まれた居たたまれなさを我慢して、微動だにしなかった。

 下手にコメントすれば、事故が起きるだろう。そんなことは想像に(かた)くない。


 妹だって居るし、俺も自分では面倒見が悪い方とは思っていない。

 だからこそ……米良先生の言葉がダイレクトに突き刺さって心がモヤモヤしていた。


「面倒見が良くて優柔不断なタイプって、女の子にも居るでしょ~? それの男バージョンなんだからぁ、攻略法は同じよ~」


「あー、たしかに居ますよね! まるっきり紅亜じゃないですか?」

「わ、私は優柔不断じゃないもん。慎重派なだけよ!」


「貴女もそう」

「私は……否定できませんわ」


 マノンが紅亜さんに、のののがひま後輩に対して指摘している。

 決して直接言葉にして言っていないが、今の会話の中身も、米良先生のせいで相手を『ドM』と指摘している様にしか聞こえなかった。

 マノンは紅亜さんをドMと言い、のののはひま後輩をドMと言った、そんな会話に。


(どうしよう……今後、自分の事を『優柔不断』とか『面倒見が良い』って言ってる人が……ドが付く程の『アレ』としか思えなくなったら)


 ののののターンは終わった筈なのに、女子メンバーはお喋りを続けていた。

 会話の主導権や、雰囲気だけを第三者の位置から観測すると……米良先生の言葉が間違ってない気がしてきた。


 ののの≒マノン

 ののの>ひま後輩

 マノン>紅亜さん

 紅亜さん≧ひま後輩


 たぶん、こんな感じだろう。

 いつの間にか出てきていた優柔不断度がメインとなりそうで、それが基準となって、その人が二つの内どちらの性質か判るだろう。

 それに加えて面倒見が良ければ、片方の性質は弱めるのかもしれないが……もう片方はより性質を強めてしまうだろう。

 ここはあえて、どっちがどっちなのかは言わないでおくけれど……。


 いつの間にか授業の時間が半分くらい過ぎている。

 短い様な長い様な……時間の感覚がおかしくなったのも、きっと米良先生のせいだな。



誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)


『中二病の宇野宮さんはちょっとイタい』

13話分の改稿は終わったでザンス……

宇野宮さんイタ可愛いでザンスよ(^ω^)

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