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第111話 無難か、チャンスか。


お待たせしました!

『宇野宮』さんも順次改稿中ですよ!

(作者名から跳べますね?)


よろしくお願いします!٩(๑'﹏')و

 


 米良先生によって恋バナが始まって、最初のお題が先生の一存により『好きな人のタイプ』というド直球なものになった。

 たしか前に『ちょこライン』で恋バナ的なのをした時は、勝也だけ真面目に答えて、他のみんなは優しい人と答えていた記憶がある。


 それが今、変わっているのかどうなのかは分からない。

 だから先生がいきなりその話題にいった事に驚きつつも、同時に感謝もしていた。

 知りたいと思っていた事を知れるからだ。


「好きな人……のタイプですか?」


 そう、口に出したのはひま後輩だ。

 やはり、この状況で一番焦っているのはひま後輩なのだろう。緊張感からか、顔が少し強張っている。


「そうそう、顔を第一条件にする人もいれば、内面を優先させる人もいるし……みんな違ってくるでしょ?」

「そ、そうですね。違って……」

「たしかに……皆さんがどこを見て決めているのか気にはなりますかねぇ」

「条件……」

「ど、どうしましょうか……」


 女子陣の四人が顔を合わせて、どこかぎこちない様子で会話をしている。

 米良先生はその反応すら楽しんでいるみたいで、顔が綻んでいた。


「みんな迷っているみたいねぇ。若いわぁ……ちなみに、神戸君のタイプは?」

「そうですね……好きになった人がタイプです」

「神戸君~、今そういうの求めてないわよぉ? 十点ねぇ」


 米良先生の何気ない問い掛けに、少し溜めて答えた。

 もしかしたら俺にも来る可能性があると、一応の為に準備していた答えだが、結果的に何点中かは分からないけど、十点だった。

 先生のお気に召さなければ点数が低くなると言う事例を作ってしまい、この恋バナに緊張感を含めてしまったかもしれない。


 まぁ、しかし……逆に考えれば俺みたいな答えだと点数が低いという参考例を出せたと考えれば、誰かのアシストにはなったかもしれない。

 たぶんだが、少し表情が変わったのののは俺と同じ答えを用意してたに違いない。

 無難な答えであるが故に、事なかれ主義であるのののは選択してしまったのだろう。


「安心して大丈夫よぉ。神戸君があまりにもな答えだったから点数を付けただけだから、ね? みんなの話はちゃんと聞くからねぇ」

「いや、俺の答えってそんなに駄目でした? 無難なのを選んだ自覚はありますけど……」

「それってつまり、自分の意見じゃないでしょ~? 神戸君が本当にそう思って答えたなら先生も謝るわよぉ?」

「あぁ、そういう……。たしかに自分の意見じゃ無かったです」


 先生の言葉をそのまま解釈するならば、それこそ優しい人が好きだと思っていれば『優しい』という答えでも良いと言う訳だ。

 ただ、米良先生はその経験からか、それが本心かを見抜けるみたいだ。

 俺の答えが借り物だったのをすぐに見抜いていたし……何故か、暇潰しにしては本気過ぎる。そんなに好きなんだろうか、恋バナが。


「誰か、私はコレ! ってのがある人から聞くわ。今なら、絶対とは言えないけどぉ……そういうタイプの相手を攻略するアドバイスも教えるわよぉ?」


 その言葉に触発されたのか、ただ答えが決まっていたのか。

 やはりというか、先陣を切ったのはマノンだった。


「えっと、私はですねぇ……『何でも一緒に楽しめる人』が()……タイプですね!」

「たしかにねぇ。常にクールにするのが格好いいと勘違いしてしまう男性も少なくないものねぇ」

「ですです! 何でも一緒にわぁ~って感じで、楽しめれば嬉しいですね」

「マノンちゃんは、何か自分のアピールポイントはあるかしらぁ?」


 本当にカウンセリングというか、恋愛相談しているみたいに見えてくる。

 先生が聞き上手なのか、大人の女性という感じがあるからか、マノンも遠慮せずに話している様に見えた。

 少し間は空いているものの、米良先生の横に座っている俺である……。やはり、場違い感が凄い。

 聞いていたいけど、この話をここで聞いていて良いのか戸惑ってしまう。

 今更、動こうとは思わないのだが……心情としてやはり別の問題があった。


「アピールですかぁ……料理、は普通ですし。頭も良くは無い……」

「……ん?」


 ほんの少しだけ、目があった気がした。

 下や上を向いて悩んでいる素振りを見せているし、偶々(たまたま)なんだろうけど。


「難しいですけど、相手の機微に気付いてあげられる事ですかね? 何て言うんでしょ……嫁力? はっ……これです! 私は嫁力が高いです!」

「ず、ずいぶん飛躍したわねぇ……でも良いと思うわ。ただ……何でもお世話してあげると男を駄目にしちゃうから……そこは気をつけるのよ?」

「なるほど……着替えとかは自分で用意させた方が良いんですね、分かりました!」

「なんか……やけに具体的ねぇ? まぁ、マノンちゃんは優秀な部類だから問題ないと思うわ」


 マノンに嫁力……。ちょっと納得している自分がいる。

 具体例は何個かある。家事炊事もやっているし、洗濯した俺の服もマノンが片付けているらしいし。

 気付いたら、俺も勝手に部屋に入ってくるマノンに対しては何も言わなくなっていた。

 今はただ、話し掛けづらいという気持ちがあるのだが……とりあえず、マノンにしては珍しく納得できる話だった。


「優秀ですか!? やはり、最後にものを言うのは嫁力なんですねっ」

「うーん……そうねぇ、相手がマノンちゃんの魅力をちゃんと理解してくれる人ならそれでも良いんだけどねぇ? 若い男の子は……そうねぇ、神戸君はどう思う?」

(えぇ!? ここで俺に振るのか!?)


 もしかしたら、この先も何かある度に『若い男の子代表』みたいに扱われるのではないかと思った。

 だが、話を振られた以上……沈黙は許されていない。

 米良先生も見てるし、他の四人だって見てくる。

 どこかで見た記憶のある『考える人』に近いポーズを取って「うーん……」と唸っているが、シンキングタイムは十秒程度しかない。


(無難な答え……いや、それで良いのか?)


 さっき米良先生に無難な答えを十点と言われたばかりで、また無難な答えを出すのに躊躇(ためら)いが生じていた。


(ちょっと待てよ? これは……チャンスなのでは?)


 ひま後輩が居る手前……やって良いのか迷うところだが、例の件――『褒める』という事に関して言えば、これは凄いチャンスタイムだ。


 無難か、チャンスか。

 残る時間は少ない。

 考える素振りをしながら、チラッと俺はひま後輩に視線を送った。

 ひま後輩と目が合っても、言いたい事がちゃんと伝わったとは思えないし、理解してくれたとも思えない。

 それなのに……それなのにも関わらず、ひま後輩は静かに口を開いて、たった二文字を口パクで伝えてくれた。


『――はい』と。


 残念ながら、そこにどんな思いを込めたかは伝わらない。

 ただ、許可を出してくれた。

 少し微笑んだひま後輩……いつもみたいに「仕方ないですわね」と思っているのだろうか。

 ひま後輩の番になったら一番褒めよう。そう思いながらも、急いで褒める言葉を探しだした。


「小さな機微に気付いてくれるのは良いと思いますよ。落ち込んでいる時はソッとして欲しい時もありますし」

「うんうん、そうよねぇ……」

「甘やかされると駄目になるのは……あるかもしれないですけど、世話を焼いてくれるのは素直に嬉しいですし、男子代表という意見をすると……たしかに嫁力って強いって思いますよ」

「……なんだか、急にやる気ねぇ? まぁ、先生としてはそれで良いけどぉ~、という事らしいわよ、マノンちゃん」


 言い切ってホッとしたと同時に、妙な恥ずかしさが両頬へと集中していた。

 これを後三回……もしかしたらお試しでマノンだけという可能性はあるが、期待はできないと思っている。

 米良先生の事だから、きっとまた振ってくるだろうしな。


「あっ……ぅ。そ、そうですか。男子の意見のひとつとして……一応は覚えて、その……おきますけども」

「マノン?」

「な、何ですか紅亜? 全然、大丈夫ですけど!?」

「そ、そう……なら、良いんだけど」


 先生に話を振られて褒めるタイミングの時以外は、なるべく自分の足元か、皆が入らない遠くに視線を向けていた。

 今のマノンのターンで、恥ずかしさから直視が難しくなったからだ。


「じゃあ、次は誰が言ってくれるのかしらぁ?」


 まだ一人目。米良先生の退屈しのぎはまだ……始まったばかりである。




誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)


感想欄でif話のお題をいただいたので、アイデアだけは沸きました(゜ω゜)

アイデアだけはあるんですよ……

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