第107話 変な嘘や謎理論や手振り身振り
新年!
明けましておめでとうございます!!
٩(๑'﹏')و
今年も何卒よろしくお願い致します!
ついに、サブタイトルを考えるのが難しくなってきた
(/。\)
考え事をしながら歩いて移動していた為、いつもより少し遅く家に着いた。
晩御飯を食べ終えた今、碧とマノンと一緒にバラエティー番組を観ている。
笑っているのは碧だけという状況に、番組の後半あたりになってようやく気付いた……というよりかは、違和感を覚えたみたいだ。
「チャンネル変える?」
「大丈夫ですよ、碧ちゃん!」
「別に大丈夫だぞ」
心配そうに俺とマノンの顔を交互に見てくる碧。
これは良くない。そう思って俺はマノンに視線を送ってみたが、その意図がちゃんと通じているか判断ができなかった。
「喧嘩してるの?」
「してないぞ」
「してませんよ」
「そう……」
不意の質問ではあったが、予想外という程ではない。滑らか過ぎるくらいに俺もマノンも碧に返事をした。
実際に、喧嘩をしている訳ではないし。
やはり、マノンだって碧に心配を掛けるのは良しとはしないのだな。たとえ俺を嫌っていたとしても。
どうにか仲が悪くないと碧に分かってもらわなければ、碧まで巻き込んでしまうことになる……だが、どうしたらいいのか。
瞬時に喧嘩の理由を考えた。喧嘩してない言い訳ではなく、あえて喧嘩した理由を。
「ごめんな碧。ちょっとお兄ちゃんがマノンのお気に入りのペンを壊しちゃって……」
「なるほど、そういう事だったのね……謝ったの?」
「い、一応?」
「ちゃんと謝って新しいペンをプレゼントしないとでしょ! お兄ちゃん!」
そうだな。そうだけど、そうじゃない。
碧に責められるのは、覚悟の上での嘘ではあったが、俺は見ていた――マノンが小さくガッツポーズをしたのを。
そして今、目の前には碧に何かを耳打ちしているマノンの姿があった。絶対に良くないことだと分かる。
「お兄ちゃん! 碧が、お兄ちゃんの許される姿を見届けるからね! 任せて」
「いや……碧ちゃん? 大丈夫だよ? 勝手にこっちでやっておくから、ね?」
「……うんうん。いいや! お兄ちゃんとマノンちゃんの仲は碧が見届けるからね! ちゃんと、新しいペンを買ってきてよ!」
視線を碧からマノンへと向ける。
感情のない様な無表情をしている。が、俺にもオーラが視える様になったのだろうか、マノンが内心では笑っている気がした。
「じゃあ、お兄ちゃんは部屋に戻るから……。あ、あと明日は弁当要らないから」
俺は逃げるようにリビングを後にして、自分の部屋へと戻っていった。
そして……部屋に入ってから、変な嘘で褒めるタイミングを見失った事を、ちょっと失敗したという気持ちになっていた。
◇◇◇
翌朝、リビングに寝ぼけ眼を擦りながら入ると、俺の分のお弁当箱も当然の様に用意されていた。
「マノン……」
「おはようございます、青さん」
「今日も弁当、ありがとう」
「……っ!? え、あっ、はい。どういたしまして……」
必要ないって伝えた上で、どういう理由で作ってくれたのかは分からない。
だが、せっかく作ってくれたのなら、俺も当然の様にありがたく受け取るし、感謝もする。
驚いた感じを見せたということは、お礼を告げたのはマノンにとっても予想外だったのかもしれない。
食べるタイミングが難しいという問題はあるものの、残して帰るという選択肢は無い。
そして、俺の中の勘が告げていた――褒めるタイミングはここなのでは? と。
「マノンの作る弁当は美味しい」
面と向かって言うのは恥ずかしいから、俺は真向かいに座っていたお父さんに向けてそう言った。
「そうだな」
当然、マノンではなくお父さんから反応が返ってくる。
まぁ、今日のところはそんな感じだろうか……俺の限界値的に。
俺が朝食を食べ終わる頃には、皆は先に家を出ていた。
まだ時間的な余裕はあるが、マノン弁当をお母さんから受け取り、学校へ向けて出発した。
学校に到着して、自分の席に鞄を置いてから向かったのは勝也の所だ。理由はひとつ、暇だから。
「よう、青聞いたぜ? 流石だなと、言わせてもらおうか」
「何のことかは分からないけど、とりあえずおはよう」
ニヤニヤとしながら褒めてくる勝也に、とても褒められてる気はしないまま、挨拶だけ返した。
聞いた……という事は、もしかすると俺に似た誰かが何かをやらかして、それが紆余曲折してる可能性が残っている。
「何を聞いたか知らんけど、それって本当に俺の事か?」
「お前以外の男子で存在するのか? あの灰沢さんに“あーん”できる野郎がよ」
「ハッハッハ! ジョージ、そいつはとんでもなく愉快な噂だな。……命が幾つあっても足りねーぞ」
「安心しろ、一回死んだらそれで終わるさ。骨は拾ってやる」
食堂で、それもひま後輩に食べさせているなんて、当然誰かが見ているに決まっていた。
そして、それがこうして噂として拡散するのは不思議じゃない。
勝也によれば、今の所は食べさせていたという噂が広まっているだけらしいが、それがいつ“付き合ってる”という噂に変わり広まるかは分からない。
たぶん、そう待つことなく広まっていくだろう。ひま後輩に面倒事の矛先が向かわなければ良いのだが……。
「まぁ……俺は気にしないが周囲からのひま後輩への評価がな」
「あー、うちの後輩も言ってたな『なんなんすか、あの人』って」
「おぉ……もう、出歩けないな。出歩くけどさ」
「くくっ、飽きないな。青を見てると……今度ブラックと一日観察して良い?」
そう言った勝也を小突いて、ホームルームが始まる少し前までくだらない話で盛り上がった。
「じゃあ、席に戻るわ」
「おう!」
席に着いて、たまたま目に留まった今日の時間割りを確認しておく。
今日の午後は体育祭関連の時間割り、それに明日は土日と休日になっていて、とても良い感じだ。
やはり、明日が休みというのはデカい。一日頑張れそうな気がするし……やはり金曜日は最高だな。
左ではのののが今日も本を読んでいる。
右では紅亜さんが、チョコレートで糖分補給をしていた。
「おはよう、ののの。今日は自分で髪を結んできたんだな」
「普通です」
「……そっか。でもよく似合ってるぞ」
やはり、反応が悪いがひま後輩にも言われた通り積み重ねを意識して、今は積んでいる時期だと思えば大丈夫だ。
「紅亜さん……えーっと、おはよう」
「はい」
紅亜さんの返事に対する返事が何も思い浮かばず、沈黙してしまった。
見境なく話し掛けるのは、やはり俺には難易度が高いみたいだ。
話し掛ける前に褒めるポイント探し、褒めるタイミング、場所なんかの条件に当て嵌めると……一回誰かを褒めたら、他の人を褒めるには少し間隔が必要そうである。
食べるか分からないけど、一口サイズの包んであるチョコを一個鞄から取り出して紅亜さんの机に乗せてみた。
そこで「食べる?」や「どう?」なんて問い掛けない。
さすがに知らない人から物を受け取る紅亜さんではないけど、チョコなら受け取るとだろうと思っていたからだ。
それが例え、嫌っている俺からでも……だ。
俺がどんなにアレでも、チョコには何の罪も無い。
紅亜さんなら、そこはちゃんと分けて考えると思っていた。信じていたと言っても良い。
現に、チラッとチョコを確認した直後に、パッと取ってサッと鞄に入れていたしな。
それを見て何故か安心感を得た俺は、机に頬杖を突いてホームルームの始まりを待つことにした。
◇◇
三時間目の移動教室の際に、同級生にもチラチラと視線を貰い、もうだいぶ噂が広まっているんだと知った。
暇なのかコイツ等は……と思う気持ちが多少なりあるが、視線が合わない様に、少し目線を下に向けながら移動していた。
もしかすると、ちょこっとくらい顔には出ていたかもしれないが……それはもう仕方ないだろう。無意識のものは防ぎようが無いしな。
そして今、ようやく四時間目の授業が終わるチャイムが鳴り響いた。
待ち合わせの場所は食堂の入り口。俺は弁当を持たずに、教室から出ていく。
廊下を歩き、階段を降りてからは少し駆け足で急ぐ。
スタートダッシュを決めたお陰で人はまだ少ないが、それでも何人かは食堂へと駆け込んでいっていた。
入り口で立っている人は居ない。どうやらまだ、ひま後輩は来てないみたいだ。
「いや、来たか」
「青せんぱーい、お待たせ致ししました」
そう言いながら、手にはお弁当箱を持ったひま後輩が、揺らしながら駆け寄ってくる。
揺れているのはもちろん、ツインドリルだ。弁当箱は揺らしていない。それ以外の部分は、見ないことにしておいた。
「俺も、今来たところだから待ってないぞ」
「あ、それってあれですよね! 待ち合わせあるある」
「いや、お互いチャイムなってから移動してきてこの早さだぞ……残念ながら、気を使ってとかじゃなく普通にだ」
「そんなに急いでくれたんですね! ふふっ……ありがとうございます」
「いや……まぁ、良いんだけど。それより、口調おかしくない?」
俺の言葉にハッと口を手で押さえて、周りをキョロキョロと確認しだした。
誰も聞いておらず、セーフではあるものの……ひま後輩にしては珍しく油断していたな。意外にも。
「……ふぅ。それで青先輩? どこで食べますか?」
「くっくっく……人があまり来ない場所があってな……」
「えぇ、ではさっそく参りましょう。時間が惜しいですので」
「……あっ、はい!」
無邪気なひま後輩に、俺の邪気ある感じの誘い方は冗談とも取られずにスルーされていた。
場所は理科室や音楽室なんかがある方の建物の裏側。少し歩くことになるが、そこにあるベンチは木陰になっているし人通りも少なくて落ち着ける場所だ。
放課後は、どこかの部活動が使っているらしい……勝也がそう言っていた。
「じゃあ……上履き汚れるのもあれだし、靴に履き替えようか。まずは玄関に」
「分かりましたわ。青先輩について行きます」
隣を歩けば? というお誘いを断って、なぜか一歩後ろを歩くひま後輩。
『私は後輩ですので』という謎理論で本人が納得しているのなら……と思って好きにさせているが、これはもしかすると、俺がひま後輩を連れ回してる感じに見えないだろうか? だとしたら、いろいろとヤバい感じが満載である。
……と言うことで、意図して歩くペースを上げてみた。お腹が空いたからではなく、なんとなく逃げたかったくなったからな。
だが仮に、ひま後輩に早く歩いた理由を聞かれたら……そういう風にでも答えておこうか。
早く食べたいという気持ちだって本当だからな。
誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!٩(๑'﹏')و
新作ファンタジーの方も、なにとぞぉ……
(。・_・。)ノ




