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第106話 はい、はい。私、分かりましたよ


お待たせしました!

短めですが、よろしくです٩(๑'﹏')و


たぶん、年末最後の更新になるでしょうか。

皆さん、今年はどうでしたか? 作者は特にこれと言って何かがあった訳じゃない年でした。


では、平成30年にノシ


 


「こんにちは~」

「おや……青くん。隅に置けないねぇ?」


 喫茶店ハチミツにひま後輩と入店するやいなやである。

 昨日の今日でまた来ておいて、その上ひま後輩と一緒に来ているとなると、言われても仕方ないのかもしれないけれど。


「いえいえ、まぁ……事情がいろいろありまして。しばらくお邪魔しますよ、珈琲一杯で」

「たしか私の記憶だと……ケーキを頼んでくれるとか」

「あー……言いましたねぇ。“今日”はケーキを頼みます」

「向日葵ちゃん。お客様が来店だよ」

「いらっしゃいませ、お客様!」


 なんというチームワーク。それと、綺麗な営業スマイルだろうか。

 気が付けばいつもの席に案内され、珈琲とケーキのセットを注文させられていた。

 しばらく珈琲を飲みながら待っていると、いつもの働く向日葵さんスタイルになって、モンブランを運んでくれた。


「お待たせしました」

「ありがとう……って、座って良いの?」

「はい、店長には許可をいただいてますから。混んできたらさすがにですけど」

「……ありがたお節介? こういうのって何て言うの?」

「それは……アレですよアレ! (いき)(はか)らい?」


 それだ。何だろうか、ありがたお節介って……。ありがたいのかお節介なのか。

 ともあれ、向日葵さんとの時間を確保できたのは良かった。言いたいことも幾つかあったし。


「マスターには後でお礼をするとして、向日葵さん大変だ。どうやら、人を褒めるのは難しいみたいです」

「失敗したんですか? えぇ……」

「いや、引かないで? これでも、勝也にアドバイスとか貰ってやってみたんだけどな。結果的には微妙な空気になった感じだ」

「ちょっと私で、どんな感じだったのかテキトーに試してみてくださいよ」


 向日葵さんであの感じをやるのか。

 まずは、向日葵さんの良いところ探し。だが、これはそれほど難しくはない。

 ここでの問題は、正面に居る人を褒めるという照れ臭さとの戦いだろうか。褒める時はどうしても真顔になってしまう分、言った後の恥ずかしさが半端じゃない。


「じゃあ、ちょっと俺を嫌いな感じでいて」

「それはちょっと難しいですね……」

「ありがとう……じゃなくて雰囲気だけでいいから」

「なるほど、なるほど。では、コホン……あまり見ないで欲しいのだけど?」

「いや、似合うなぁ~。というか、最初はそんな感じだったよね? 慣れてない人とかの前だとそうなっちゃうの?」


 自分でも言ってて間違いだと気づいた。

 ひま後輩の時は“そうなっちゃう”のではなく“そうしてる”だけなんだと。

 でも、ツンとしているのがとてもお似合いだった。むしろ、ツンとしている方がしっくりくるレベルで。


「似合うとか言われると、普段から高飛車と思われてる感じがしますね……」

「まぁ、向日葵さんを知らない人はそう思ってるかもね」

「はぁ……まだ一年生ですよ、私。これから先も長いのに」

「捉え方次第だろ? まだ一年なんだから挽回のチャンスは何回もあるよ」

「そうでしょうか?」

「自分を変えれる時期やタイムリミット的なのはあるかもしれないけどさ、向日葵さんならまだ大丈夫。俺が、保証する」


 向日葵さんが学校で演じているというか、期待に沿って行動しているのを辞めたいのなら、方法はある。

 時間を掛けてゆっくり溶け込んでいく方法もあるし、長期休暇を利用して変わる方法だってある。

 ただ、今現在というかここ数日。俺とお昼を一緒している事で、向日葵さんの評判が少しずつ落ちているのではないかと思っている。心配もしている。


 周囲が、ヤバい二年生に絡まれている可哀想な一年生と認識してくれていれば良いのだが、向日葵さんも俺と同じヤバい人と思われだしたら最悪である。

 態度を普通に戻しても、友達ができずに毎日時間だけが過ぎていってしまう事になるだろう。


「そう、ですか。なら安心ですね!」


 意外と安心できない状況かもしれないのだが、俺は冷静な態度を維持しつつモンブランを一口食べた。口に広がる栗の甘さを味わって落ち着く。


「……向日葵さんって、クラスメイトと話すことはあるの?」

「まぁ、少ないですけど話し掛けられれば返しますよ。自分から話し掛けることは……あまり無いですかね」

「それは残念だな」

「やはり無理してでも話し掛けた方が良いんですか?」

「違う違う。クラスメイト達を残念って思ったんよ。だって、クラスに向日葵さんが居るんだぜ? 普通、仲良くなりたいって思うだろ?」


 例えば教室に向日葵さんがいる。ツインドリルだ。俺ならその時点で話し掛けに行くだろう。

 冷たい態度や高飛車な感じで来られても、少し話せば向日葵さんの良い所なんて簡単に見えてくる。

 最初の高い壁さえ越えてしまえば、そこに居るのは普通の女の子なのだ。


「いえ、私なんて……全然ですよ」

「たしかに流行りの話はできないし、放課後に遊んだりもできない。でも、こんなに優しく頑張り屋な女の子だぞ。仲良くならない方がもったいないだろ」

「あ…………あ、あ、危ない!! 青さんに騙される所でした。ふぅ……危ない危ない。これ、お試しで褒めるやつでしたね!」

「あっ、そっか! 話が脱線してたな。じゃあ、話を戻そうか」

「えっ?」

「ん?」


 困惑した顔とでも言うのだろうか、首を少し傾けて向日葵さんがポカンとしている。

 たしかに、最初は褒めるという話だったのにいつの間にかクラスに向日葵さんが居たら……なんて話になれば、困惑もするかもしれない。

 それとも……急に話を戻そうとして、どこまで(さかのぼ)ればいいか迷っているのだろうか。


「俺がどんな感じで褒めようとして失敗したか、って話だよね?」

「え、えぇ……。ですから、それで試しにテキトーに褒めてみて貰おうかと……今のでは?」

「今のって? まだ、始めてないだろ? 変な向日葵さん」

「いえ、分かりました。はい。私、分かりましたよ」


 何度か頷いて見せて、それから自分の頬をペチペチと触って何かを確かめだした。

 何が分かったのかは分からないが、向日葵さんは何かを分かったらしい。


「青さんはですね、無理に褒めなくて良いと思いますっ!」

「今回の主旨を全否定ですか!? なんで急に!?」

「いえ、部分否定ですよ。無理に良い所を探して褒めようと思わなくて良いんです! 素直に思ったことを言えばそれで……」

「それ、勝也にも言われた気がするなぁ」


 素直に褒めるのが難しいから頑張ろうと思ったんだが、やはり無理してる感が出てしまっているのだろうか。だから、向日葵さんも勝也も素直にと言うのかね。

 だが、素直って何だろう……。ありきたりな言葉になりすぎて、あまり嬉しくないのではないだろうか。


「例えば、ここにののさんが居るとして、なんて褒めますか?」

「いや……どうだろ? 何もしてないなら褒めないけど」

「正解ですよ、青さん。何もしてないのに急に褒められても、褒められた側が困惑しますから。ですから、無理せずです」

「何かアクションを起こした時にそれを褒めていけってこと?」

「はい! 誰かが何かをした時に、それを素直に褒めてあげるのが一番かと」


 たしかに一理ある。というか、よく考えてみれば普通の事を言われてる気がしないでもないが、実際にその通りではある。

 俺は、向日葵さんの力説(りきせつ)に頷くことしかできなかった。


「なんとなく、理解できた」

「まぁ、結局は無反応に近い反応が返ってくるんでしょうけど……そこは地道にやってくしかないですね」

「地道に、か」

「地道に、です」


 それから向日葵さんからのアドバイスを幾つか受けた。

 少しずつお客さんが増えてきて、向日葵さんは仕事へと戻ってしまった。

 今日は宿題をしようかと、机に道具を広げ、残り少しのケーキをお供に時間を潰し始めた。

 途中、何度か向日葵さんが様子を見に来てくれてはいたが、これと言って話すことがあった訳じゃなく、黙々とでもスローペースで宿題を終わらせていった。


 そして……空も暗くなり、ぼちぼち帰宅の時間が迫っていた。

 お会計も済ませて、店の入り口まで向日葵さんに送ってもらった。


「もう、帰ってしまうんですか?」

「門限がある訳じゃないけど、遅すぎると心配されるからね」

「そうですか。ごめんなさい、毎日こんな感じで」

「ううん。頑張ってる向日葵さんを見てるのも楽しいよ。明日も昼は食堂に?」

「入り口で待っててくれますか?」

「待たせないようにするつもりではあるけど……どうして?」

「あ、その……ご迷惑でなければ明日は私が、その……お弁当を作っていこうかと。彼女……らしく……」


 語尾がどんどん小さくなっていったが、それでもちゃんと最後まで聞こえた。

 向日葵さんのお弁当。絶対に美味しいに決まっている。

 それに、なんか照れる気持ちと嬉しい気持ちがごちゃ混ぜになって体温が少し上がった気がする。


「じゃあ、二人で食べれる場所は探しておくよ。えー……彼氏らしく、お腹を空かせて楽しみにしておくから」

「はい、楽しみにしておいてください!」

「またね、向日葵さん」

「また明日……青さん!」


 今日はいつもより長く向日葵さんと居れたのだが、まだちゃんと向日葵さんのお願いを叶えられているかは自分でも微妙って感じだ。

 これだけ手助けして貰ってるのに俺からしてやれる事の少なさに、申し訳ない気持ちだけが増えていく。


 何かもっとしてやれる事はないかと考えながら、今日も店から家までの帰路についた。



ずっと向日葵さんのターン!やったぜ!

(……という読者様の声が聞こえてきますね)


誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)


下記リンクから新しく投稿したファンタジーに跳べます!

お暇でしょ……でしたら、どうぞ読んでやってください!


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