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第10話 恋敵? お友だち?

お待たせ致しました!

ちょっとリアルが忙しくて…

 


 保健室のドアに貼ってある紙には養護教諭の不在の欄にマグネットが付けられてある。という事は、保健室の中には青くんと円城寺君とマノンさん……他にも誰かは居るかも知れないが、女の子一人というのは転校生じゃなくても心細いに違いないはず。



「よし、私も中に……ん? 何か話し声が……」



 ドアの向こう側から話し声が聞こえてくるけど……上手く聞き取れない。ドアに耳を近づければ聞こえるかしら?



「えっと、なになに……『大好き』……『嬉しい』……? ……ん? んん!?」



 全部を聞き取れた訳じゃないけど……ぜ、絶対に良くない会話に違いないわ! ……早く入って行かないと。


 私は保健室へ入る為にスライド式のドアを勢い良く開けて言った。



「ちょっと! その会話待ちなさい!!」



 ◇◇◇



 俺が谷園を背負って、勝也は隣を走って何とか保健室前まで逃げることが出来た。完璧な演技を発揮した俺と勝也と谷園は三人でハイタッチをしていた。



「やりましたね! 完全に事故で頭をぶつけた感を出せましたよっ!」


「あぁ、中々に演技が上手かったぞ。俺と勝也の偶然を装って助けた流れも完璧だったな」


「これで、後は俺がクラスの皆に“何やかんやで言語中枢に変化が生じて流暢に話せるようになった”と言えば――――完璧だな!」



 今回の、のののの『転ぶ』の一言で思い付いた作戦の概要は、転ぶ→頭をぶつける→連れ去る→衝撃で流暢になった。という何とも言えない、勢いだけで乗り切るという作戦だ。


 勿論、いきなり谷園が流暢に話してもクラスメイト達はついていけないと思う。だから、その事を考慮してメンバーに加えたのがイケイケ男子の勝也だ。


 勝也のコミュニケーション能力やクラスでの立ち位置……それを全力で使わせて貰う事にした。勝也からの説明でクラスの皆を納得させる。……悲しい事に俺やのののじゃ出来ない事だからな。



「よし、とりあえず保健室で少し擦りむいちゃった谷園の(すね)の消毒をしてもら……」


「あら~? 用事かしら? ごめんなさいね、ちょっと出ないといけないのよぉ~。消毒と絆創膏は使って良いから自分達でやってくれるかしらぁ?」



 保健室へと入ろうとしたら逆に、養護教諭の米良(めら)あけみ先生が出て来た。米良先生という人物を一言で言うとするならば『セクシーの権化(ごんげ)』……だ。服装はしっかりとしているのに、顔から立ち姿から仕草まで、全てがセクシーだ。



「あ、はい! 足を擦りむいただけなので自分達でやっておきます!」


「よろしく頼むわねぇ~」



 先生と入れ替わる様に保健室へ入り、とりあえず谷園の傷の処置をする事にした。



「とりあえず、お前のオチャラケで始まった『カタコト』の尻拭いは大丈夫だろ?」


「はい! 本当にありがとうございました~! はぁ~……良かったです、これで楽に話せますよぉ……」


「何て言うか……谷園さんの言うオーラ? っていうヤツもあまりよろしく無いんじゃねーか?」



 たしかに勝也の言う通りかも知れないな。万人受けする話とも思えないし、出さない方が良いのかもしれないけど……。



「でもさ、谷園がオーラの話をするのは好きだからだろ?」


「はい、『大好き』です!! オーラも人それぞれで面白いんですよ? 温かいオーラに優しいオーラ、冷たいオーラとか様々でして……視るのも好きだし話をするのも好きなんです」



 勝也は、よく分からないといった顔していた。俺もオーラが視えると言われてもピンと来ないからその気持ちはよく分かる。


 多分、女子でさえも占いが得意ならともかく、オーラが視えるという設定まで行くと……ついて行けないんじゃないだろうか?



「はい、とりあえずこれで怪我は大丈夫だな。……んー、あとさ、オーラの話だけど……。話ならしばらくは俺が聞いてやるからさ、クラスの皆と仲良くなるまでは控える事って出来ないか?」



 最初からオーラの話は引かれる可能性があるが、ある程度、クラスの人達と親密さがあれば……多分、ちょっと不思議な子と思われるくらいに留まれるんじゃないかと思っての提案だ。



「良いんですか!? 青さんは聞いてくれるんですかぁ!?」


「あ、あぁ。谷園がクラスの人達と仲良くなるまではな?」



 それまでの間なら、聞き手になるくらい何も問題ない。そう……友達の少ない俺ならな。



「本当ですか!? 『嬉しい』ですぅ~! 今まで親身になって私の話を聞いてくれる、そう言ってくれた人なんて居なくて、うぅ……」



 いや、親身になるとまでは言ってないんだけど……まぁ、いいか。別にそれでも。



「じゃあ、俺と勝也は先に着替えてクラスに戻るからな? 少し遅れて戻ってくるんだぞ?」


「はい!」



 俺と勝也は保健室から出ようと入り口付近にまで近付いたその時――。



「ちょっと! その会話待ちなさい!!」



 俺が保健室の扉に手を掛けようとしたその時、扉が開かれた。



「「え?」」



 重なる声が二つ。



「わっ!?」

「きゃっ!?」



 いきなりドアが開いた事で、戸惑いが先に来たが一瞬で、その後に普通に驚いた。肩がビクッとなって、両手を顔の前に……。ちょっと情けないポーズだな……これ。



「くれ……新山さん、大丈夫ですか?」

「え? あ……はい」



 良かった……ぶつかった訳じゃないけど二人して驚いたからな。



「良かったです。では、谷園さんの事お願いしますね! 行こう、勝也」


「おう。じゃあ、後はお願いしゃす」


「あ、うん……じゃなくて! ちょっと! あの! あっ、行っちゃった……」



 俺と勝也は最後の仕上げの為に急いで着替えて教室へと向かった。



 ◇◇◇



「……行っちゃった」



 さっきの会話について少し聞きたい事があったのだけど……。



「えっと、たしか新山紅亜さんですよね?」

「そうだけど……って! え!? な、な、何でそんなに流暢に話せてるの!?」



 保健室に残っていたマノンさんは私の知ってるマノンさんじゃなくて、とても日本語が上手なマノンさんだった。



「あー……、頭をぶつけたら日本語が流暢になりましたよぉ~?」

「ごめんなさい、全く分からないんだけど……?」



 そんな事ってありえるのかしら……?



「まぁ、難しい事は置いておいて……これからもよろしくお願いしますね!」


「あ、はい……。あ、あの! 先程、外まで『大好き』とか『嬉しい』とか、聞こえて来たのですけど……まさか、(青くんが)好きなんですか?」


 ◇


 おや? まさか、この人もオーラについて話すのが好きな人なんですかね? さっきは、青さんが話を聞いてくれると言っていましたが……向こうから来る分には構わないですよね!


「勿論、(オーラの話は)大好きですよ! まさか、紅亜さんもですか!?」


 ◇


 そ、そんな……。青くんの事が好きな人が現れるなんて……確かに優しくて隣に居たくなる温かい人だけど……ま、負けてられない!


「私の方が! (青くんの事が)大好きだと思います!」


 ◇


 マ、マジですかー!? 私よりオーラの事が好きだと豪語する人なんて初めて出会いましたよ!? これは、是非とも仲良くしなければですね!


「なら、(オーラが)好きな者同士、私達は仲良くなれるかも知れませんね?」


 ◇


 え? え!? 二人とも青くんの事が好きなのに仲良くなれるの!? た、たしか……マノンさんはフランクとご自分で言っていましたが……そこまで寛容な方なのでしょうか……。


「私には、(青くんが好きな者同士で)仲良くなれるとは思えませんが……」


 ◇


 あー、そうですよね。好みのオーラによっては意見の対立があって、それはまるで水と油の様ですからね……。


「ちなみにですが、紅亜さんは(オーラの)どこが好きなんですか?」


 ◇


 青くんの……好きな所は沢山あるけど、一番好きな所は――。


「やっぱり、(青くんが私を)優しさで包んでくれる所……でしょうか?」


 ◇


 分かります!! 優しいオーラを持ってる人は傍に居るだけで落ち着きますものね! なんだ、同じ所が好きなら私達は――。


「仲良くなれますよ。だって、(オーラの)同じ所が好きなんですから! でも、(オーラに関しては)負けませんよ! それは勝負です!」


 ◇


 そっか。マノンさんも青くんのそういう所を知ったんだね。嬉しいような少し複雑な感じがするけど……でも、青くんの良い所に気付いてくれる人が居るのは……やっぱり嬉しいが勝つかな。負けない! 負けたくない!! けど、マノンさんとは仲良くなれるの……かな?


「私も負けません! でも、それとこれとは少し別ですね。マノンさんはマノンさんとして考えないと……ですね! これからよろしくお願いしますね」



 キーンコーンカーンコ~ン~



「っと、早く着替えないと行けませんね。歩けますか? マノンさん」


「マノンで構わないですよ? その代わり、私も紅亜……と、呼ばせて頂きます!」



 マノン、マノン……。恋敵(ライバル)だけどお友達。



「分かったわ。行きましょう、マノン」


「はい! 紅亜」



 ◇◇◇



 体育の後の休み時間に、谷園の事についての説明を勝也がしてくれた。それに加えて、谷園自体のあのフランクさも相まって、割りとすぐに受け入れられていた。


 それは良い。予定通りに事が進んだということであるから。だが……。



「紅亜!」


「マノン、私の所に来るのもいいけど、他の人達とも話した方がいいわよ?」



 これは……いったい?



「では、青さんと……」

「わ、分かったわ! 私とお話しましょうか!!」



 何が……起きたんだ?



「良かったです~それででして~……」



 ……うん。めちゃくちゃ仲良くなってるぅ!!? あの後、保健室で何があったんだ!? 女の子のこういう所ってホント謎だよなぁ……。



 その後の三時間目の休み時間も谷園が紅亜さんの元にやって来て話をしていた。転校初日で人気者の紅亜さんと仲良くなっておくとは……こいつ、出来る……。



 その後の四時間目の授業もようやく終わって、やっと昼休みに入った。今日は遅刻してきたから……仕方ない、また食堂にでも行こうかな?




すいません嘘です。(´ω`)

忙しいと言うほど、リアルは充実していません!


誤字脱字がありましたら報告お願いします!

(´ω`)



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《更新中の作品です!!!》

転移物のハイファンタジーですよ!息抜きです(´ω`) どうぞ、よろしくです! 『アイテムチートな錬金術師』

2020/1/11~。新作ラブコメです! 『非公式交流クラブ~潜むギャップと恋心~』
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