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花さんと僕の日常   作者: 灰猫と雲
第一部
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羽生の章 「第四走者」

桜の心臓の病気の話を聞いたのは付き合う前だった。

「お前、待ち合わせに遅れるくらいで走ってきたりしたらダメだろ?」

デートの待ち合わせ場所に走ってきた桜に病気の事が心配でそう言った時、普段はポワッとしてのんびり屋の桜が猛烈に怒ったっけ?

「私は普通に生活しちゃダメなの?なんでコースケまで私に制限するの?」

桜は家族に大切にされていた分、色々な事を我慢させられていた。もちろんそれは桜に長生きをして欲しいからだ。そしてそれは俺も同じで、この事で桜とはよくケンカをした。

「長生きできて、死ぬ直前に後悔だらけの人生って…怖いよね。生きるって長さじゃないんだよ。ねぇコースケ、今死んで幸せだったってホントに思える?やり残したことはないって言える?タカ、明日から鳥かごの中で80年生きたとして、それでホントに生きたって思える?いい人生だったって思える?私はね、ちゃんと今を全力で生きたいの!後悔なんてしたくないの!」

桜は13歳ですでに俺たちよりも真剣に今を生きていた。

桜より俺らの方が長生きできるなんて断言することは出来ない。今日阿子は帰り道に通り魔に襲われるかもしれない。明日俺は事故にあうかもしれない。明後日タカは可愛がっていた後輩に殺されるかもしれない。予定や計画なんてなんの意味もないなんてことは数年前の震災でわかったじゃないか。

平穏な明日が迎えられるとは限らない。俺は今を生きる。今できる事を全力でやる。いろんな事を考えて最良の結果を得られるような選択が出来るほど俺はタカのように賢くはない。けど、俺も今を生きるぞ。懸命に、今この瞬間を生きてやるぞ。

あ〜、心臓が痛ぇ!なんで今俺こんな必死に走ってるんだっけ?

ああそうだ、桜とタカと阿子、そんで可愛い後輩のためか。

俺何人抜いたっけ?あ〜ダメだ、もうダメ、限界。目がチカチカする。あれ?俺誰にバトン渡すんだっけ?

あれ?誰か俺の名前呼んでる?

桜、じゃないな?声がデカい。

「羽生さん!こっち!こっちだってば!」

あぁ、おっかない後輩か笑

「行け!」

あ〜、もうダメだ。布団入って寝たい。

けど俺、今死んでも後悔しない…いや、するな笑。

また桜と屋上で花火が見たいや。

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