ドクズヒロインが断罪されるだけ
「ナユクロ王国王子ケールフォン・ジェイル=ナユクロの名において告ぐ。チャンディール・メイベルン男爵令嬢、君との婚約は破棄させてもらう」
はあ、ふざけんな!
私はチンケな悪役令嬢じゃねぇ、天下の逆ハーヒロイン様だぞ!
ありきたりな転生トラックで乙女ゲーム世界憑依トリップしてからの苦節3年、やっと隠しキャラの隣国の王子堕として逆ハーがてきたってのに、最後の最後で悪役令嬢と入れ替わるってなんなんだよ!
補正が効きまくってたおかけで、チャンディールが何もしてこなくても悪いことになったし、私の自作自演でもチャンディール株だけが下がったから、最後はお礼にありがたくも私自らが階段から突き落としてやろうとしたら抵抗しやがって!
つーか、チャンディールもチャンディールで頭ぶつけたくらいでいつまでも気絶してんじゃねーよ!か弱い系かよ!それは私の専売特許だっつーの!
「やめて、離してよ!だから私はチャンディールじゃなくてペスティアだって言ってるでしょう?!」
「今までペスティアにあんな事をしたクセに、いざとなったらヘタな猿芝居で同情を買おうとでも?」
「もしかして、ペスティアに頭突きをしたのは物語みたいに入れ替わったとか言って逃れるためだったのかい?チャンディール」
「呆れ果てたよ、チャンディール。まだ君のことを見下げる余地があったとはね」
「これだけの証拠があれば、国外追放もできますね。まあ、あなた個人の犯行らしいのでメイベルン男爵家取り潰しは出来なさそうですが、……実家の援助は期待しないことです」
「ケールフォン、ペスティアの様子はどうだい?」
「わからん。とにかく早く医務室に連れて行こう」
「あ、ボクも行くよ。お姫様を目覚めさせるのは王子様のキス、だなんて言って抜け駆けされちゃたまらないし」
「私が信用出来ないのか?」
「他はともかく、ペスティアに関してだけは信用できないね」
「っ、私が一体、何をしたーっ!」
しまった、王子のSAN値削るの忘れてた。