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ちっぽけなわたし

作者: SIN

 

たとえみんなより

ちっぽけなわたしでも

ちっぽけな虫たちよりは

わたしの方がとても偉い


春、野山を飛びまわる蝶よりも

夏、土から目覚める蝉よりも

秋、枯葉の中で蠢くダンゴ虫よりも

冬、木からぶら下がる蓑虫よりも


こんな虫たちに比べれば

わたしの方が

とても大きい


大きいからとても偉い



でも……



わたしは自由に空を飛ぶことができないし

命がほんの僅かなわけでもない

真っ暗な中で過ごすこともできないし

寒い中じっと耐えられるわけでもない


わたしより

一生懸命生きる

ちっぽけな虫たち


ちっぽけな虫たちよりも

ちっぽけでちっぽけな

わたし




たとえみんなより

淋しいわたしでも

淋しい木々よりは

わたしの方がとても偉い


春、ピンク色の花びらを咲かす桜の木よりも

夏、オレンジ色の果実を実るみかんの木よりも

秋、黄色の葉を散らすイチョウの木よりも

冬、銀色の雪を乗せるモミの木よりも


こんな木々に比べれば

わたしの方が

とても元気


元気だからとても偉い



でも……



自分の周りで賑やかな宴会が始まることもないし

わたしが作る物を誰かが待っているわけでもない

わたしが落としたものを笑いながら拾ってくれる人もいないし

体を綺麗に着飾っても歓喜の声はあげられない


わたしより

人を楽しませる

淋しい木々


淋しい木々よりも

淋しくて淋しい

わたし 




たとえみんなより

醜いわたしでも

醜い友人よりは

とても偉い


春、入学初日に愛想笑いで仲間を作る友人よりも

夏、友達の好きな人と知ってて告白した友人よりも

秋、転入生をイジメていたた友人よりも

冬、学年末試験でカンニングをした友人よりも


こんな友人に比べたら

わたしの方が

とても善人


善人だからとても偉い



でも……



わたしも愛想笑いを浮かべるし

友人の彼氏だと知ってて手を出したりもする

流れに身をまかせて転入生にバケツの水を掛けたし

友人の悪業をまのあたりにしても目をつぶった


わたしより

偽善者だったはずの

醜い友人


醜い友人より

醜くて醜い

わたし




自分のことを

ちっぽけで

淋しくて

醜いと思っていた

若き頃のわたしよ


さらば




最後まで目を通して頂きありがとうございました!良ければご感想&評価をお願いします(^-^)  ちなみに“わたし”という人物は架空の存在なのであしからず……

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― 新着の感想 ―
[一言] 比喩の方法などが 好きな作品でした。 ただ誤字が 数ヶ所…残念でした… 内容は 前向きになろうと生まれ変わる女性の生き生きとした姿が 目に浮かび 素敵でした。 ありがとうございました。
2007/07/05 01:31 宮薗 きりと
[一言] あかやなゆらなはやたあかなわなはらわやら
[一言]  物語的でわかりやすい内容ですね。  万物の頂点だと驕(おご)り、他人より自分が可愛い私…しかしそれらは傲慢で醜いことだともわかっている。自分を愛しながら自分を恥じる孤独な矛盾。  そんな、…
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