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クラスで勇者に転生するはずが一人で置いて行かれました。  作者: NayuTa


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幕間・クラスメイト達

 ルギウスと元老院を悩ませたアルセリア国王は余裕の表情で窓から勇者達のいる城の方を眺めていた。

 育成を任せた騎士団からの報告では弱い者でも新人では抑えられなくなりつつあるとの報告もあり、着実に力をつけてる上にまだ伸び代を感じさせている。

「やはり、陛下の案が効いているようです。」

 個別にではあったが、言う事を聞きやすそうな何人かを『今後の生活訓練』という名目で城外に連れ出し、町を体験させたのだ。

 本人達の話す夢物語のような世界から見れば随分とつまらなくも映るようだったが、見慣れた城での生活しかできていない若者達にとっては代え難い開放感だったらしい。

 城外を体験した者達の話を聞いて訓練に積極的になるものが増えたのだ。

 敵を倒すために世界を旅するのは共通の認識らしく、認められれば城から解放されると思い込んで競うように鍛え始めていた。

 更にその割合が増える事でこれまで訓練に消極的どころか拒絶に近い姿勢を見せていた者達も動き始めるという好循環を生んだ。

 本当に世界へと出てもらう日も近いだろう。

 想定よりもはるかに早い成果に国王は口角が上がるのを抑えられなかった。


「今度またダンジョンで訓練らしいぞ!」

「マジかよ!俺も行きたいよ〜。」

「別行動で町にも行けないかな?」

「あ!それいいね。アタシまだ出た事ないんだよね。そろそろ行かせてくれないかな。」

「順番的にまだでしょ。前から頑張ってた人が先じゃない?」

「そうだけどさ、そろそろ何人か一緒に連れて行ってくれないかなぁ?」

「確かに。自由行動とかもしてみたいよね。お金無いから何も買えないけど……。」

 全員が揃った朝食後、一気に騒がしくなったクラスを静めたのは担任の大畠だった。

「はい!静かに!騎士団長のイルヴァンさんから今後の予定についてお話があるそうです。皆さん、静かに聞いてください!」

 静かになった食堂に騎士団長イルヴァンの声が響く。

 基本は全員訓練なので、日程説明にイルヴァンが現れた時点で特別なメニューがある事はほぼ確実なのだ。

「皆さん、おはようございます。先程もお話が出ていたようですが、二日後に城外での訓練を行います。同日に町へ出てこちらの世界に慣れていただく組と、ダンジョンでの実践訓練を行う組に別れていただきます。町へ出る組はいつも通り、こちらから伺った方、それ以外の方はダンジョンでの訓練、不参加の方は城内で待機をお願いします。」

 これまでは城の外に出るのは一部の指名された生徒だけだった。

 限られた範囲での生活に飽きつつあった生徒は色めき立つ。

「町に行く人が辞退したら代わりに行けますか?」

 挙手しての問いかけに、いつも通りイルヴァンが答える。

「行けません。いつも通り、決められた方だけに選択権があります。」

「ダンジョンには入らないといけませんか?」

 この問いは苛立ったような声で生徒側から否定された。

「訓練に行くんだから当然でしょ。言われた事しないで外には出たいって我儘すぎ。危ないのが嫌な他の子もちゃんとやってるじゃん。」

 彼女の口調は厳しかったが誰もそれを咎めようとはしなかった。

 同じ意見だったというのもあるが、彼女の変化と努力を目の当たりにしていたからだ。最初は怖がって訓練を避ける一人だったが参加し始めてからは一気に成長し、今では男子にも劣らない剣士になったのだ。

 反論された女子もそれ以上何も言えず黙り込しかなかった。


 イルヴァンからの説明が終わり、外出を拒否された小川莉沙は部屋に帰る通路で一人、ため息を吐いた。

 訓練の参加者は食後に訓練場へ向かうため各自の部屋に戻るこの通路を使う者はほとんどいない。

 召喚された当初はクラスの半数が彼女と同じように訓練に参加せず、同じようにこの通路を歩いている者がいたにもかかわらず。

「小川さん。どうかした?」

 背後からの声に振り返ると、そこには井上凛太がいた。

「ううん。大した事じゃないの。私も訓練に参加したほうがいいのかなって考えてただけ。」

「皆と同じ訓練にまで参加しなくてもいいんじゃないかな?とりあえず魔法の練習からやってみない?付き合うよ?」

 莉沙は凛太も自分と同じタイプだと思っていた。少数で集まり、中心的なグループを遠巻きに見ている側の人間だと。

 だが彼は最初から訓練に参加し、魔法を覚えるとその腕をめきめきと上達させあっという間に騎士団とも渡り合えるレベルにまで成長した。

 剣術は苦手のようだが身体強化でそのマイナスを十分に補い、近距離戦をこなしながらでも強力な魔法を織り交ぜて戦う事で複数を相手にしても渡り合うほどで、一気に全員が中心人物と思うほどの存在になっていった。

「いいの?訓練は?」

「今日は不参加って言ってるから。昨日結構頑張ったしね。」

 凛太が訓練に参加しない日が多いことも莉沙は知っていた。

 魔法でクラスメイトの装備をはじめとした色々な物を作っていることも多いが、少し前までは魔法の使い方の相談に乗っていることが多かった。

 魔法のイメージを地球の科学に近い言葉で伝えるためイメージが掴みやすいと高評価で、途中から訓練に参加した者たちも彼のアドバイスで急成長を遂げたからこそ追いついたのだと言われていた。

 騎士団をさらに驚かせたのはその特殊な魔法の使い方だった。

 莉沙達から見ればどこか漫画で見たことがあるような技だが、それを実戦で使えるようにすることで一気に戦力が伸びたのだ。

 模擬戦では初めて見る魔法で一方的に騎士団が負けてしまうことも多々あった。

 何よりも凛太が個々人の適性に合わせた魔法を教えたのが良かったらしく、誰もが特別な得意技を身につけられたのだ。

 そんな彼から声をかけられ、莉沙には急に光が見えた気がした。

「お願いしてもいいかな?」

 その二日後から、莉沙は訓練に参加し始めた。

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