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クラスで勇者に転生するはずが一人で置いて行かれました。  作者: NayuTa


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3章・目立つらしくてー15

 シャミに連れられミナと共に協会の馬車へと乗り込んだ。

「あの、アイラは?」

 宗絃は気になっていたことを尋ねた。

「安心してください。元気ですよ。貴方のおかげで怪我人はいません。こちらは増員が来るまで野営になりますし、最小限の人員しか残しませんでしたから彼女は先に行ってもらいました。帝都に着けば会えますよ。」

「無事ならよかったです。」

 先行組を言い渡された時、彼女は会いたそうな態度を見せていたが宗絃はそれだけだった。

「では宗絃さん、先程の魔法についてご説明をお願いします。ワイバーンからの攻撃を防いだ魔法と、二頭を倒した魔法はどちらも貴方が放ったもので違いありませんか?」

「まあ、そうですね。」

「どのような魔法なのか、伺えますか?」

(どのような、と言われると難しいんだよな。透明な氷を作って壁にしたり飛ばして首を切りました、とかで通るのか?)

 説明を頭の中で考える宗絃の横からミナが会話に入って来た。

「ソウシ、答えなくていいんだよ。冒険者なら切り札を隠すのは当たり前だし。それに魔法は個人の発露なんだから詮索されたくないのは当然でしょ?」

「ミナ、後半はエルフの教えでしょう?とはいえ、答える義務がないのは彼女の言う通りです。報告する身の私としても知りたいのは山々なので、ご協力を願います。」

 二人の言葉に宗絃は、

「なるほど。」

と言って、答えを語った。


 報告書の作成にとりかかったシャミを残して馬車を降りると、ミナは心配そうに声をかけた。

「ソウシ、本当によかったの?私が言うのもなんだけど、あんまり何も言わないと協会から目をつけられるよ?」

「そんな理由なんていくらでも作れるだろ。好きにしてもらうしかないって。」

 宗絃の答えにシャミは笑った。

「その諦観の念は何?エルフじゃないのに見た目と中身がかけ離れ過ぎでしょ。それにしても、『水魔法は攻撃にも防御にも使えます』って答えには笑いそうになったわ。火も風も土もそうでしょ。」

 続けて耳元に口を近づけ、囁いた。

「三属性使えますって言うよりは目立たないけどね。」

 驚いて振り返った宗絃の眼前に皆の顔があった。

 息がかかるほどの近さに慌てて宗絃が離れると、ミナは声を上げて笑った。

「驚いた?」

 氷の壁はウィルの前でも使っており水属性のためにいずれ分かるだろうと思っていたがもう一つが看破されたのは予想外だった。

 ワイバーンの首を切った攻撃は兜割に風属性の魔法で刃を生成した『風刃』である。

 特徴は不可視であることと伸縮のし易さだが、同時に長さをコントロールしづらいため周囲に人がいる状況では使いづらいと思っていた。

 今回は相手から空中にいたため躊躇いなく使えたのだ。

「属性まで分かるのはあんまり言ってないから、話さないでね。」

 再び囁いたミナに合わせて宗絃も声を落とし、

「三属性っていうのは?」

と聞いた。

「初めて協会で会った時、土属性使ってたでしょ?」

 確かにウィルと模擬戦をした後、地面を整備するために使っていたと思い出す。

「あれだけで分かるのか?」

「ソウシの魔力って独特なのよ?エルフの森に溢れてる精霊様の力に近いの。だから近くにいるとすっごい居心地がいい。魔力そのものは漏れないように綺麗にコントロールできてるから生命力そのものって言った方がいいかもしれないけどね。上手く言えないけど、普通の人間とは別世界にいる感じ。エルフはみんなくっついてたいと思うよ。」

 魔法を使った痕跡が残るというのも、そこから使用者と属性まで把握できる者がいるのも完全に想定外だった。

 その上『別世界』という言葉にどきりとした宗絃の様子に気付かずミナは言葉を続けた。

「土属性の魔法使いだと思ってたのに武闘大会では水も使ったでしょ?」

 あの時宗絃は、ミナが着地する時に一瞬だけ彼女の足元に氷を張ることで場外へと追いやったのだ。

「複数属性使えるなんて人、滅多にいないからびっくりしたわ。」

 確かに場外で立ち上がってこちらを見る顔は驚きに満ちていた。

 自身が負けた事に対するものかと思っていたが、こちらが本音だったようだ。

「今日の風で三つ目。水だけでもあそこまで高いレベルで使えるなら引く手数多だろうし、普通は大手のクランに売り込むところだろうけどね。」

「……今度から見つからないように気をつける。」

 宗絃は気付かれた相手がミナほど理解のある相手で良かったと思うと同時に、この事実を隠すのが思っていた以上に難しい事を実感した。

(迂闊にバレて実験動物扱い受ける可能性もあるんだよな。ロクなもんじゃねぇ。)

 内緒話を切り上げて顔を離すとミナは残念そうな顔をしたが、二人の近さに改めて気づいた宗絃は慌てて顔を離した。

「この後は、ワイバーンの解体待ちかな?」

 宗絃が聞くと、ウィルが近づいて来て答えた。

「俺のは解体だが、お前の倒した二頭はこのまま運ぶらしい。傷も少ないから国の研究施設に売れるかもしれないらしいぞ。」

「高値で買ってくれるならどこでもいいかな。」

「名誉には無頓着だけど、そういうとこはしっかりしてるよな、お前。」

 笑ったウィルの言う通り、先行組が呼んだ町からの助けを得てワイバーンは帝都まで運ばれた。

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