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別れさせ屋ですか?

ポイント、ブクマ、ありがとうございます!


 グレイス様が婚約者を見下ろしていた。


「では、融資は打ち切りで。慰謝料の支払いもよろしいかしら?」

「え、グレイス、ぎゃ‥」


 急な展開に、ガブリエルは蒼白になる。


「まさか考えていなかったんですか? 浮気していたら絶対請求されますよね」


   


「彼、勘当されたらしいわ」

 後日のお茶会で、グレイス様は晴れ晴れとしながら婚約解消を教えてくれた。



「その可能性は考えていなかったんですかね?」

 私の問いに令嬢は首を振る。


「バカですねー」

「ええ、次の縁談は性格重視でってお父様にお願いしましたの」


 グレイス様が目線で合図をすると、侍女がじゃらっと重そうな小袋をテーブルに置く。

「今回は本当にお世話になったわ。これお礼よ」



 もちろん遠慮なくいただいた。


 

 しかし‥




   ****




「恋人が浮気していまして、どうしましょう」

「どうしたらお相手をあきらめさせられるか、ご教示願えますか」


 何か私、別れさせ屋になっとる。



 お礼につられて解決していたら、ついには「みっともない婚約者と別れたいんだけど」なんて依頼まで。



 それはちょっと、とにごしてその場を立ち去ったけれど、昼食時はキャロル様にプンスカとチクった。



「何なんですか、本当に婚約解消したいなら親に話せばいいのに! 姉が嫌だからって妹に乗り換えるのも胸糞悪い‥ですわ」


 いけない、言葉遣いが悪くなってしまってよ、おほほ。



「言葉にはお気をつけて、アンジェ。ところで、その令息の名前はお分かり?」

「顔は覚えましたけど」



 私は食堂を見渡す。


「ほら、あそこで並んでいる列の、一番右にいる」

「ああ、ライトネス家のハンス様ね。やっぱり」


「やっぱりって有名なんですか? クズで」


 質問には答えないまま、キャロル様はフッとほほ笑む。



「どうしました?」

「そのね、アンジェは彼のことを調べられないかしら」


 私は難しい顔になる。

「やったことないですしね。厳しいかな‥」


「報酬は弾むわよ」

「‥一晩考えさせてください」




~~~~ (-_-)zzz ~~~~




『助けて』


 わたくしは大声で助けを求めたいのに、のどからはかすれ声しか出て来ません。

 苦しい。息がうまくできませんわ。



 お父様、跡継ぎのわたくしがお茶会にも夜会にも行けないのはなぜなのでしょう。

 社交界で義妹に悪い噂を流されるのはなぜなのでしょう。


 婚約者のハンス様も最初は優しくしてくれたのに、最近では義妹とばかりお話していて‥辛いのです。



『私が家を継げばいいじゃない。お仕事はお姉さまがやればいいし』

『それは名案ね』



 わたくしがこの家にいる意味って‥もう消えてしまいたい。




~~~~~°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°~~~~~




 気持ち悪い。

(何なのよ、ハンスも妹も父親も。ふざけるんじゃない)


 ぼっこぼこにしてやる、とこぶしを握りしめてから夢だったことに気づく。


(ってか夢のハンスって‥こないだ会ったあれ? まさか)


 さすがに迷ったけれど、私は条件付きで公爵令嬢の依頼を受けることにした。



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