モブ君
翌日の学園は休校。
爆発事故の事情聴取で私たちは集められたけど、デイビス様もエドワード様もフィリップ様ももちろんイカロス君も、目を合わせてくれなかった。
いつも通りなのは気を失っていた殿下だけ。
高位貴族だったら、変なのに引っかからないよう、何かしらの対策をしていてもおかしくないのに。
「お家の方では… そっちの教育していないんですか?‥ 後々まずいのでは」
「これから早急に行うだろうね」
こっそり殿下にたずねるたが、どこもまだだったらしい。
まあ、まだだから私にも逆ハーレムを形成できたのだろう。
「それで、操られるきっかけは分かったのかな」
「はい、屋台で購入した魔石らしいです」
ああ夢でも見たわ。
「僕が黒いのを見ていたら、銀貨一枚で売ってくれて」
相場の三分の一か、四分の一だ
浄化が済んだ今ではただの灰色の小石だけど。
「まずそれで間違いないだろう」
「闇魔法の持ち主を選んで渡していたんですね」
私だって買っていたかもしれない。
「おそらく他にも持っている生徒がいる、至急回収させよう。魔力をたどれば黒幕にたどり着けるかもしれない」
まあそこから先は学園と王家の仕事。
私が出る幕じゃない。
「アルコバレーノさんにも、申し訳が立たなくて」
イカロス君は私にも平身低頭だ。
「アンジェでいいです、そんなに気にしなくてもいいと思いますよ」
「無理です! だって‥ アルコバレーノさんは僕と同じ夢を‥」
「はい、三日連続で見ました」
「うわああああああ~」
イカロス君は真っ青になって逃亡した。
「可憐な少女かと思ったが、とんだ悪女だったようだな」
殿下にクスクス笑われてしまう。
「かわいそうに‥」
メガネはなぜかイカロス君に同情している。
まあ自分の夢が他人に分かったら、気持ち悪いだろうし。
ここにいるメンバーの夢は‥ 墓まで持って行こう‥
私は宙を見つめた。
銀貨一枚は‥18世紀の1シリングくらいです。
(説明になっているかな?)