表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/29

アンジェの決意

「いやあああああ!」


 キャロル様の絶叫と同時に私の両腕が自由になる。

 つかんでいたフィリップ様とデイビス様が、殿下に向って駆けだしたから。



『第二王子派か』

 左腕からも影がのび、二人を投げ飛ばす。



 私の前が開けた。

(今だ)


 私はキャロル様をふり切って、()に接近し手をのばす、が。



 『ふむ、聖なる口づけ、か』



 影の腕はそれをさえぎった。

 殿下を投げ捨てて。



 一本は口元を覆い隠し、もう一本で私のことをひきはがす。


 しかし、縛り付けられただけで攻撃は特にされない。



 私はふふふと笑った。


「やっぱり‥」



「やっぱり、私がいるから爆炎魔法が使えないんだ」

 

 ()の顔が歪む。



 奴には護衛を吹っ飛ばした爆炎魔法がある。

 何で使わないのかとさっきから不思議に思っていた。



「お前は私を殺せない」



 おそらく私を殺したら、宿主の支配を失う。

 私は宿主に与えられるべき生餌。

 だから私が近くにいては、殺傷能力が高い呪文は使えない。



『小娘が、小ざかしい』



 はい、私は小ざかしいですよ。




「ねえ、君、私とキスしない?」


 さっきの言葉をくり返す。


 希望的観測に過ぎないけれど、まだ彼の意識が残っているなら。


(あれを追い出せば良いだけじゃない)



『「な、何を」』



「私を手に入れたいんじゃなかったの?」

 たった一言で、拘束がゆるんだ。



『は? 「アンジェさん何を」



 引きぬいた右手で、上着のボタンを外す。

 一つ外しただけで、影の腕は私を解放した。



 『まさか‥その程度で 「待って」



 私はブレザーを脱ぎ棄てる。


 影の腕は消え、彼の周りを漂うだけになった。



 私はゆっくり彼に近づく。

「今なら大サービスしちゃうけど♡」



 ファサッと髪を跳ね上げながら、リボンをシュッと引きぬく。



『ヤメロ‥我ガ‥保テヌ‥‥あああアンジェさん待ってください」



 彼を守る不穏な影はどんどん薄くなり、消えた。




(ここだ)


 私は光魔法を拳にこめると彼のあごを目がけ、


 一気に突き上げた!




 グワンと揺れる頭にタラっと流れる鼻血。

 

 少年は気を失う。



 倒れる彼を、私は優しく受け止めた。


「あなたはあなたのままで良いの」

 聞こえているかは分からないけれど、彼の耳元でそっとささやく。


 チューにしようかとも思いましたが、せっかく体を鍛えるエピソードを書いたので、拳に語らせることにしました。o(^▽^)o

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ