解呪法発見か?
「あの、言いにくいんだけど‥ボクも闇魔法の解呪法見つけた」
フィリップ様が、気の進まない様子で手を上げた。
「まあ良かった、それでどういたしますの」
食い気味につめ寄るキャロル様にフィリップは本をさし出す。
「‥ここ」
「えーと、闇魔法に心を汚されたものを開放するには、聖なる乙女の口づけを‥」
みんな黙ってしまった。
「聖なる乙女って‥アンジェのことか? 光魔法持っているし」
エドワード様がゆっくり周りを見まわす。
誰かに違うって言って欲しいんだな。
「あ、あはははは。つまり私は、希望者全員とキスをすればいいと…」
脳内に映像が流れる。
私が無駄にほれさせちゃった大量の男子生徒が、ずらっと一列に並んで、順番にキスしていく映像がね!
それって、もう聖なる乙女じゃないと思うぞ☆
エドワードが真っ赤になる。
殿下は口元を押さえた。
「ありえませんわ!」
グレイス嬢が叫び、
「まさかアンジェ嬢がそんな目に!」
ヘレン様も真っ青になる。
「さすがにない」
デイビス様も首を振り、
「だよねー」
フィリップ君も本を閉じる。
キャロル様とダイアナ様は顔をうつむけてプルプルしている。
「他の手を探しましょう」
イブリン様がまとめてくれた。
みんな目を皿のようにして本を読み漁っている。
助かった。
ありがとう友情。
「そうだわ! 生徒全員を神殿に連れて行って浄化してもらえば」
おお、キャロル様が大規模な解決法を提案した。
さすが権力者、スケールが違うね!
「さすがにそれは準備と根回しが必要でしょう、時間がたりませんよ。義姉さん」
ああフィリップ君につっこまれてしまった。
「候補さえ絞れれば、キャロルの案はすばらしい」
ブライアン殿下がつぶやく。
あ、これ義弟に対する牽制だ。
その時ガタっと立ち上がるデイビス様。
もっと余韻に浸りたいのに、空気が読めないメガネめ。
「ありました、夢魔法の項」
ん?
「闇魔法の適合者同士は夢がつながりやすい! アンジェ嬢が三日連続で同じ人間の夢を見たならば‥ その男子生徒は闇魔法の適合者のはず!」
おお! 確かに!
すまないデイビス様のメガネ。君は役に立つメガネだったんだね!
見知らぬ相手を特定するヒントが、やっと見つかった。