みんなでレッツ考察
せめて、あれが誰か分かれば。
「アンジェのことが好きでチラチラ見ている男子を探したのですが、」
みんなでお昼を食べながら、キャロル様は報告する。
「多すぎて分からないことが分かりました」
そうなんですよ。
容疑者がぜんぜん定まってくれない!
「人間の精神を乗っ取る術は、闇魔法に属している」
殿下が口を開く。
「放課後は魔導書を調べよう」
図書館では話し合いができないから、本はサロンに持ち込まれた。闇魔法関連が多い。
みんなで必死に積み上げられた本を読みこむ。
「おそらくアンジェ嬢の夢も、闇魔法の一種だろう」
「なるほど、私全属性に適合しますから」
エドワード様だけは‥本を運んだ後、襲撃が来ないか護衛の人と一緒に警戒してくれている。
その代わり、ダイアナ様にイブリン様、グレイス嬢にヘレン嬢が加わった。
図書館で必死に本を探していた時に声をかけてくれて、事情を話したら手伝ってくれることになった。
「闇魔法は光魔法と対極なのよね、光魔法を相手にかければ術は解けるのではありませんの」
「私も同じ意見だ。アンジェ嬢が全属性適合するとしたら、光魔法も持っているのだろうか」
キャロル嬢の発案で、全員の目がこちらに向けられる。
光魔法を使える人間はめったにいないらしい。
しかし私はうなだれた。
「え~っとかすり傷を治すくらいなら‥あ、指先に光も灯せますよ」
やってみせたけど、光量だけなら火魔法の方が効率良いレベルである。
「魔力量が少なすぎるんです」
みんなが残念そうに見てくる。
しばらくはパラパラと、紙をめくる音だけがサロンに広がった。
「これだ!‥強い気持ちであらがえば、闇の支配から逃れられると書いてあります」
デイビス様がそれっぽい記述を見つける。
「その‥強い意志があるのなら、初めから支配されないのでは‥ないかしら」
ダイアナ様が控えめにつぶやいて、メガネが曇った。
うん無理っぽいな。
役に立たないメガネめ。