表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/29

悪役令嬢かしら?

 とりあえず、授業中は先生の話に集中して、現実から逃げた。


「今日はどうしたの? 笑顔が少ないようだけど」

 銀髪イケメンがコッソリ話しかけて来る。


 この国の王子、ブライアン・ヒートウェイブ殿下だ。


「私、勉強を頑張ることにしましたの。集中させて下さい」

 多少不敬でも、今は断罪回避に神経を集中させる。


「気がつきましたの。私の人生に高貴な殿方は必要ないって」


「ふうん」

 殿下はさみしそうに目をそらす。



(うう、もったいないけど今はこれが正解!)




   ***




 授業が終わる。


 次の授業は男女別のやつだ。

 今までの私だって気がついてはいた。男女別の時間になると最近空気が痛いことに。


「途中まで一緒に行くよ」

「ええっと、大丈夫よ一人で」

 優しくエスコートしようとしてくれた令息を軽くいなして次の教室に入る。



「ちょっとよろしいかしら」


 さっそく身分の高そうなご令嬢が話しかけてきた!


挿絵(By みてみん)


「あなた、最近ブライアン様と随分仲がよろしい様ですけれど」

「すみませんでしたあ!」

 

 全力で謝る。

 ご令嬢はポカンとしていた。



「婚約者のいる方に近づきすぎました! 反省してます!」


「わ、分かったのなら構わなくてよ、これからお気をつけあそばせ」


「はいっ寛大なご処置感謝いたします!」


 優しい令嬢で良かったー。

 ホッとして授業を受ける。


(これでざまあ返しは回避できたかな)



 楽天家の私はまだ知らなかった。苦労はこれからやって来ることに。




   ***




「アンジェ嬢、放課後の予定は空いているかい」

「ごめんなさい。もう決まっています」


 休み時間も気が抜けない。


「では明日は」

「婚約者がいるのに他の女性に声をかけるのは、どうなんでしょう」



「アンジェ嬢、一緒にご飯食べようよ」

 食堂に向かう途中でまたイケメンが声をかけてくる。今度は可愛い系だ。



「いえ、今日から一人で食べようと思っていますの!」

 自分の学園生活の平和を守るため、私はボッチ宣言をする。


「それは‥誰かにまた意地悪されたの? それならボクがなんとかしてあげるけど」


 なんとかって何だ。怖い。



「いいえ、婚約者のいる方々に近づくのはマナー違反だって気がついただけよ。今までごめんなさい。もう声をかけないで下さる」


 はっきり言ったぜ。これでは嫌われてしまうだろうが、かたはついたはず。



「フィリップ、付きまとうのはやめなさい」


 あれ、さっき話したご令嬢がイケメンをたしなめている。


義姉(ねえ)さん、やっぱりあなたが原因かなぁ?」

 くっ。小首をかしげるしぐさ、あざとい。


(ん、いまこいつなんて言った? ねえさん?)


   挿絵(By みてみん)


 目の前にいるこの子は‥フィリップ・アイスバーグ。

 そしてご令嬢はキャロル・アイスバーグ。


 二人は確か血のつながらない姉弟。



(義姉と義弟! ちょっと萌えるんですけど!)

 自分だったら論外でも、人のは見たい。


「お待ちくださいアイスバーグ様。私、お姉さまに良くしていただいて」

 私は姉弟の間に体をねじこむ。


「実は、前々からアイスバーグ嬢にお近づきになりたくて、弟であるあなたと仲良くしていたの!」

 口から出まかせを吐くと同時に、キャロル嬢と腕を組む。


「は、そんな冷酷女と」

 フィリップ様はまるで信じていないようす。


「誤解ですわ、キャロル様は本当は優しい方なのです、義弟であるあなたとの付き合い方が分からないだけで、いつもお話したいと思っているの」



 知らんけど。あからさまな悪役が実は優しいはテンプレだ。



「そ、そんなこと、なんであなたがご存じなの‥」

 あ、キャロル様真っ赤。


 当てずっぽうが当たったみたい。



「ね義姉さんが? まさかそんな」

「フィ、リップ、ごめんなさい。冷たい態度を取ってしまって‥あなたにもお義母様にも、ずっと謝りたかったの‥」


「そんな‥そんな‥」


 フィリップ様は呆然自失でその場を去って行った。




 しばらくは私のことも忘れるだろう♪



アンジェはちょっとゲスい‥

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読みやすいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ