医務室で 4
「手も足も治って来ましたね」
治癒魔法をかけ終わって、ドクターがニッコリする。
「アバラもそろそろ治ります。もうすぐ退院できるでしょう」
経過は順調。
無理に動かさなければペンも握れるし歩ける。
筋トレも部分的には許可される。
問題は何もないはず、だった。
~~~~~ (-_-)zzz ~~~~~
学園の教室。一人たたずむ少女に僕は勇気を振りしぼって声をかける。
『一緒に帰らないかい』
彼女はニコッと笑っただけで、他の男と腕をからめる。
『また今度、ね』
鈴が転がるような声。
また今度? そんな風に言われたら、期待しちゃうじゃないか。
僕は一人で町を歩く。
『そこの学生さん‥悩みを解決してくれる石はいかがかな、安くするよ』
フードをかぶった男が、魔力をこめた鉱石を売っている。
『お目が高い、値段はおまけしてあげよう』
一つ手に取ると、妙にそれは手になじんだ。値段も安い。
明日は彼女と歩けるだろうか‥
願いをこめて石を買った。
「アンジェ‥さん」
~~~~~°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°~~~~~
「うん? ソレ私じゃね」
目がさめる。
さっきまでの自分が慕っていたのは、私アンジェだ。
クラスの誰かの夢だろう。
その時は別に気にしなかった。
あれぐらいのことは誰にも言っている。
朝食を食べたらさっさと忘れた。
ベッドに座って教科書に集中する。
退院開けで授業について行けないのは嫌だしね。
飽きたら筋トレグッズの出番。
腕と足に重りを取り付けてバタバタ動かしてみる。
疲れたら、また勉強。
ほど良く疲れたから、夜はすぐ眠りに落ちた。
~~~~~ (-_-)zzz ~~~~~
今度なんて来なかった‥
『ごめんなさぁい、男の方と親しくしすぎるのは良くないってぇ気がついたの』
彼女は嘲るよ僕を見る見る。
そんな‥この前はかわいらしく笑ってくれたのに。
君の瞳、君の指、君のほのかなピンク色の髪。
触れてみたいのに、許されない。
許されるのは、顔も身分も僕よりずっと上の‥誰か、
彼女が僕の、になることは一生、ありえない‥
『それならいっそ‥』
どす黒い感情が渦巻いていく‥