表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/29

医務室で 1


「ボクの婚約者が、本当にごめんなさい」

 医務室で、フィリップ様が真っ青になってあやまっている。




 あの後、すごい音だったから他の寮生たちがすぐに助けを呼んでくれた。

 階段の上で立ちすくむ令嬢は、先生に連れて行かれる。



 私を突き落としたのはフィリップ様の婚約者、ファナ・クーリッジ嬢だった。



「頭が無事なので、すぐ直りますよ」


 急な階段から突き落とされた私だが、何とか頭への衝撃をさけた。

 


 そのせいで足首と手首を捻挫するし、肋骨もヒビが入ったけど。

 鍛えていて良かった!



「公爵家の者として、あなたにお詫びをするわ。何でも言ってちょうだい」

 キャロル様も真っ青だ。


「いえ別に‥ いつもお世話になっていますから」



 元凶自分だしね☆

 



   ****




 しばらくは学校を休んで医務室に入院することに。


(横になっているしかできないから退屈だよねー)

 


 キャロル様が侍女をつけてくれたから、身の回りのことはやってもらえるのは助かっている。



 しかし両手首が痛いから読書も手芸もできない。

 エドワードは筋トレグッズを持ちこんでくれたけど、ほとんど没収された。



 つまり、暇だ。

 しょうがないから寝る。



 しかし、寝てばっかりだからであろうか、私に幸運が訪れた!




~~~~~ (-_-)zzz ~~~~




 ‥ 子供の時に婚約が決められたキャロル・アイスバーグ。

 私は特に興味がなかった。


 高い教養と洗練されたマナーを身に着けた彼女は、私の身分につり合っている。

 重要なのはそれだけ。



 アンジェ嬢と会った時は心が躍った。

 この学園にこんな可愛らしい子がいたなんて。


『あなたはあなたのままで良いと思うの』

 彼女は完璧な王子を演じなくてはいけない私に、優しく寄りそってくれた。


 キャロルとは大違いだ。もっとこの子と一緒にいたい。

 


 そう思っていたはずなのに‥



『放して、こんな顔を誰にも見られたくないの』


 泣きじゃくるキャロルから目を離せなくなった。

 僕以外誰にも見せたくない。

 思わず抱きしめてしまう。


 柔らかい。

 身体がかぁっと熱くなる。

 何なんだこの感情は?


 彼女の亜麻色の髪に触れたい。

 でもそんなことをしたら嫌われてしまうかもしれない。それは怖い。


 私はゆっくり体を離した‥




~~~~~°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°~~~~~




(うっきゃあああ! ごちそうさまです‼)


「大丈夫ですか、アルコバレーノさん」

 ハアハア言いながら目をさましたから、保険医に心配されてしまった。


「は、はひ、大丈夫れす!」


 心臓に悪い。

 でも続きは見たい。

 王子×ツンデレ公女もありである。


 保険医に湿布を取りかえてもらった後は、私は1日妄想に浸っていた。

 お見舞いに来てくれたキャロル様には内緒である。絶対に。



(今夜も見れるかな? 楽しみ♪)

 

 夢はよく見ます。

 子供の頃風の谷の映画にハマってから、何とか自由に空を飛べるよう特訓したので。


「あ、これ夢の中だ。よし飛ぼう」


 何年もの修業のおかげか、結構成果があります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ