勝手に告白 (良い子はマネしちゃいけません)
妄想回です。
そう。どちらかと言えば私が見たいのは王子×公爵令嬢じゃない。
義姉弟カップルだ
「え?」
お二人は理解していないようだったから、私は全部ぶちまけることにした。
「だって殿下が私とくっついて、婚約を破棄したりしたら、キャロル様がフリーになるでしょう? 真実の愛とやらに打ちひしがれる義姉にそっと寄りそう義弟‥くっ、萌える」
私は一人、妄想に悶えた。
「血がつながらない姉弟なんて背徳感たっぷりで‥見られるものなら見たいんです!」
「グスッえっと‥あの子とはただの家族よ?」
キャロル様、気がついていませんね。
「 ええ? 最近はお昼ご飯だってフィリップ様も毎回一緒ですよね、すごく仲睦まじいじゃないですか。それにフィリップ様、時々キャロル様のこと意味深な目で見ているんですよ。あれ、義姉を女として意識しちゃったんですよ、絶対!」
あースッキリした♪
絶対と言いきってしまったが、多分に私の妄想が入りまくっているのは自覚している。
「あの子が‥? そんなまさか‥グスッ、でもあの時のアレは‥」
泣きながらあぜんとするキャロル様だけど、何かを思い出したようでたちまちほほを真っ赤に染める。
「え、え、え、あの時のアレって何があったんですか!」
私が食い気味にたずねるから、キャロル様は当惑と恥ずかしさが隠せないまま涙ボロボロ状態になってしまった!
くっ、そんなお顔されたら理性が持たないぜ
「は、まさか」
低い声が部屋に響いた。
ん、と振り向く。
「アンジェ嬢、何をおかしなことを言っているんだい」
ブライアン様だ。
あれ、オーラがいつもと違う。激おこですか?
「キャロルは私の婚約者だ」
こ、これ、これは、
(独占欲だ、殿下キャロル様に独占欲丸出しじゃない。つまり‥三角関係かぁ!)
やばい。すぐさま薄い本にまとめて寮とかで回覧したい。
「ごめんなさい、今日はもう無理」
立ち上がってサロンから駆け出すキャロル様と、それを追いかける殿下!
私は距離を取って、目立たないように追いかけた。
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「待ってくれ」
「放して、こんな顔を誰にも見られたくないの」
「そんな状態の君を、一人になんてできない」
校庭に広がるこんもりした木立の陰から、お目当ての会話が聞こえてくる。
「もうわたくし、自分の気持ちも分からないのよ」
「‥僕もだ」
ちょこっとだけのぞいてみたら、殿下はキャロ様の肩を引き寄せていた!
一人称が僕に変わっていますよ。キャン♡
バクバクする心臓を押さえながら、私は寮に帰った。
殿下の気持ちは揺らいでおります。