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これは浮気でしょうか?

 まあ、ある意味良好なのだ。



「それで、今日の情報は何だい?」


 キャロル様からの依頼が済むと、報告のためブライアン様がその都度お茶に呼ばれる。



「まあ殿下ともあろう方がせっかちですわね、ふふ。第一王子の周辺を探っただけですわ」

「またアンジェ嬢をそんな危険な目に遭わせるだなんて」



 まあ私がやったのはキャロル様の侍女に扮してお茶会に同行し、別派閥の館のうわさを手に入れただけだ。



「簡単でしたけど? まあ侍女はさすがに口が堅かったけど、下働きは簡単におしゃべりするし」

 


「君にはすまないが、助かった。そのキャロルも‥」


「アンジェ、こちらのケーキおあがりなさいな。ほらアーン」

 


 そして報告後はキャロル様が私にフォークをさし出す。

 申し訳なさそうに口を開く私。

 それをじろっとにらむブライアン殿下。




 殿下は、私とキャロル様がいちゃついているのを毎度毎度うらやましそうに見てくる。

 

「婚約者を放っておくのはどうなんだろうね」

 とうとう嫌味まで言い出すしまつ。


 多分、かまわれないからやきもちをやいている。


 キャロル様には「どの口がおっしゃっているのかしら」なんて華麗に反撃されてるけど。




 このサロンの流れは恒例行事になってしまった。




「もう、殿下ったらいつもそんな怖い顔して。アンジェに嫌われてしまってよ」

「‥それはないと思うよ。アンジェは君と違って優しいから」



 キャロル様の嫌味に、殿下もすかさず応酬する。

 あくまでにこやかに。


 最近はこの流れを楽しんでいるみたいだ。


「ええ、アンジェは優しいから、怖くても言えないのよ」

「怖いのは君だろう、キャロル。ねえアンジジェ嬢」

「私を巻きこまないで下さい」



「今日はフルーツタルトよ、はい、アーン」

 今日もキャロル様はとろけるような笑みで、私にタルトをさし出す。


「おいしいかしら」


 私はうなずくけれど、殿下ににらまれながら食べたら味なんて分からないよ!

 大体、最近の殿下がにらみつけてくるの、私の方ですよね? 


「アンジェ嬢も甘い物ばかりでは飽きるだろう? サンドイッチもいかがかな」

 とうとう今日は、殿下まで私の隣に座り出したよ。



「アンジェ、はっきり言っておしまいなさい。わたくしと殿下どちらが好きか」

「ふっ、君の返答しだいでは私たちの婚約を考え直しても良いのだが」



 二人に見つめられても私は困る。



「じゃあ殿下で」




 しばしの沈黙がサロンを覆った。




「キャ、ロル?」

 選ばれたはずのブライアン様は、私の横を凝視している。


「そんな‥アンジェひどい。わたくしを捨てるのね」


 キャロル様がポロポロと涙を流していた。



「殿下に嫌われていますのはもうあきらめていますわ。でも、あなたまで離れていかないで、お願い」


 プルプルふるえるキャロル様はカワイイったらありゃしない。



 は、しかし泣かせたのは私だ。

 早く誤解を解かなくては!



「えっと、私、キャロル様には‥殿下よりフィリップ様とくっついて欲しいので!」




 あ、言ってしまった‥



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