目覚め
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「なんじゃこりゃー。あ、いつもの夢か」
目がさめる。
「今朝の夢は変わってたなぁ」
私は時々知らない人間の夢を見る。
知らない家族、知らない町、知らない記憶にすったもんだしたが、私は何とか飲みこんだ。
いつものことだ。
見るのは大抵この国の人間の夢だけど、ときどき違う国の夢も見る。
記憶のカケラだけの時があれば、数年分を経験することもある。
おかげで浮浪児として生まれた割に、色々知識だけはあった。
だけどさっき見たのはまったく知らない世界の夢。
文明も文化も何もかもが違う。
そんなのは初めてだ。
(これ、何かになるのかなぁ?)
孤児院で勉強を教わった時も男爵家に引き取られた後も、何とかなったのは夢で得た知識のおかげ。
(まあ知識だけじゃマナーとかまだ難しいけど)
だから今回の夢も何かの役に立つはず。
(しかし男爵家に養女として迎えられた元庶民の少女、なんてあの夢の世界だったら乙女ゲームみたい。髪の毛は淡いピンクだし、魔法学園に通っているし)
しかし、夢の世界の私は乙女ゲームには興味がなかった。
つまり私がこの世界の主人公だとしても‥攻略情報など一切知らん!
(ま、今まで通り生きるか。夢なんて忘れて)
ポジティブシンキングで乗り切ることにしたわ☆
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「おはようございます、アンジェ嬢」
私、アンジェは学園の人気者なの。登校した途端にイケメンに囲まれちゃう。
これはあの世界では逆ハーって呼ばれるやつよね‥ってしばし浸っていたけれど、ちょっと待て。
ゲームの世界ならともかく、現実で逆ハーってどんだけヤバい奴だよ自分。
(これ‥ざまあ返しのパターンなんじゃ)
夢の世界の私は、読書もアニメ? も好きだった。
その中にはわがまま放題した結果、最後に復讐されるヒロインのお話もある。
(今朝の夢はそれをさけるためか!)
私は悟った。
今が楽しければそれで充分。
かっこいい令息たちを周りにはべらせてイイ気になっていた今までの私。
周りを見渡すと、きつい目でにらんでくる令嬢がチラホラ。
やっべえ‥と青ざめながらも、私はイケメンと一緒に校舎に入りイケメンと一緒に廊下を歩きイケメンと一緒に教室に向かいイケメンにはさまれて席に着いた。
どうしよう。
設定: 学園は全寮制