第43話・橋頭保
「二対二の戦いに手を出したら反則でござろう?」
……あ、しまった。これは反論できない。
「仕方がない……ここはウチたちの負……」
――いやまて、なにかおかしい。なんだこの違和感は?
「どうしたでござる? さっさと負けを……」
「あ、ちょっと待って」
冷静になって周りを見渡してみた。
絶好の海日和、爽やかな風。ティラノやタルボ、ガイア。そして魔王軍の四人。
あとは初代新生とその恐竜人たち。
……初代?
――そうか、こいつだ。
この違和感の正体、それは、勝負に負けたのに初代が平然としていること。あれだけ負けず嫌いのこいつが騒ぎもしないなんて絶対におかしい。
「ちょっと、そこのリーダーさん」
「拙者ですかな? ドライアドと申す」
「ドライアド。この勝負には、いったいなにをかけているんだ?」
「こちらが勝ったら、負けた者を魔界へ連れ帰り、死ぬまで奴隷として働いてもらうでござる」
……しまった、やはりそういうルールがあったのか。これは最初に確認しなかったウチの落ち度だ。
「おい、初代新生。お前なにやってんだよ!」
「あぁ? オレのルールに口だすんじゃねぇよ!」
なんかムカついてきたぞ……なにが『オレのルール』だよ。
結局自分にだけは被害が無いようにしているだけじゃないか。こいつ、もしかして恐竜が無限にいるとでも思っているのか?
――ウチは無言のまま初代新生に向き合い、睨みつけた。
「なんだよ、ゴミ。てめぇみたいな……」
言葉が終わるのを待たずに、右の拳を彼女の左頬に叩きこんだ。多分“バキッ”って感じの音がしていたと思う。産まれて初めて、本気で他人の顔を殴った。
……まあ、後悔はしてない。
ちなみにウチが放ったのは、腰を入れてパンチにひねり加えた“伝説のコークスクリューパンチ”ってやつだ。
「てめぇ、なにしやがる!!」
倒れた初代新生には目もくれずに、ドライアドに提案を投げかけてみた。かなり分の悪い提案だけど、ここはなにがあっても飲ませるしかない。
「ガイアちゃんの代わりにウチが戦う。もしそれで負けたらウチと初代新生を奴隷にするってことでどう? それに、こちらが勝ってもその二人になにかしようというつもりはない」
「ふざけるな! 勝手な事を……」
「うるせぇ、自分の手を汚す覚悟のないヤツは黙ってろ!」
こっちはオマエのせいで怒り心頭なんだ。一発殴っただけで済ませてやる観音菩薩のようなウチに感謝しやがれ。
「しかし、こちらは約束通りそこの二人の身柄をもらえるのでござる。貴重な労働力ですからな。そんな条件を飲む必要はないのでござるよ」
「代わりに、君らの最大目標である“大将首”を二つ賭けようって言ってんだ。それでも飲まない理由があるのか?」
「……なるほど。その首を取れば地球征服はほぼできたも同然。という事になりますな。さて、如何いたすか」
どちらに転ぶか五分五分って所か。ここでもう一押しできれば……仕方がない、これしかないんだ。
……アンジーすまん、あとで謝るわ。
「ならば、今ここにいない“もう一人の大将首”の情報もつけてやるよ」
「ほう。つまりこの一戦でほぼすべてが終わると」
「簡単に終わらせないけどな!」
「わかり申した、その勝負受けましょう」
よし、乗って来た。ここが勝負所、橋頭保ってやつだな。なんかの映画で言ってたわ。……意味わからんけど。
「ティラちゃん、木刀貸してくれる?」
「あ、ああ……かまわないけど、亜紀っち使えるのか?」
「なんとかなるっしょ、任せなさい。あと、ガイアちゃんの手当頼むよ」
〔戦闘力ミジンコの八白亜紀、本当に戦うのですか?〕
「もちろん。あの場はそうでも言わないと、ガイアちゃんたちが連れていかれちゃうじゃん。それに、魔法主体のあの二人が相手なら対策はあるで」
〔不安です。不安しかありません〕
まあ、本音を言えば……
ウチが負けてもアンジーがなんとかしてくれるでしょ。
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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。




