第35話・第三の……
「やあ、君が八白さんだね。始めまして!」
――突然のことだった。
チーム猫耳恐竜が拠点にしている、小川沿いの草原。みんなでティラノを取り返す作戦を練っている所に、甘酸っぱく爽やかな風を振りまきながら一人の女性がウチたちの前に姿を現した。
「は? どちら……さまで?」
って、なになになに、外国人⁉ いや、それよりなんでウチの名前知っとんの。この人も転生か転移してきたって事だよな、ウチと同じ猫耳しっぽやし。
……つーかまた敵が増えたのか?
身構える恐竜人たち。プチは飛び上がって距離を取り、ルカは腰を落として構え、キティは姿を消した。
しかし、ガイアは平然としているし、ベルノに至っては新たな猫耳しっぽにワクワクしている。
「あ~、そんなに警戒しないでよ。私はアンジュラ・アキ、君と同じ名前だね。ヨロシク!!」
「って……おい女神、どういうこっちゃ?」
〔どうやらまた誰かが送り込んだらしいですね〕
やはりなにも知らないのか。でも向こうはこちらの情報を知っているみたいだし、これはついている神さんの差なのか?
「えっと……アンジュラさん? は、どこの生まれなんです?」
「一応日本人だよ~。その質問はこの青い目でしょ。ハーフなんだ。あと、呼び方はアンジーでいいよ」
なるほど。しかしなんと言うかこの……精悍な顔立ちだしコミュ力高そうだしまつ毛長いし色白だしスレンダーだし人当たり良いし。
「絶対ウチとは住む世界が違うわ」
「え~、そんな事ないよ~」
美男とか美女とか、本人も認識しているはずなのに『そんな事ないよ』とか『普通だよ』とか答えるのって、謙遜的な意味があるのはわかるんだ。
わかるんだけどさ……
「なんかムカつく」
「八白さんひっど!」
と言いながらフレンドリーにケラケラ笑う、アンジュラと名乗る怪しい猫耳。
「そこの妖精さんが八白さんの神ちゃんなのかな?」
〔我ら神に対して“ちゃんづけ”するような不敬で怪しい人には答えません〕
おい……バレバレじゃないか。と女神さんをジト目で見るが、本人は全く気がついていないらしい。腕を組んでプンスカと激おこ状態だ。
「とりあえずね、こっちの神ちゃんから情報は貰ってるんだ。初代新生って言ったっけ? 八白さんの恐竜人を奪ったのは」
「ああ、そうだけど……」
「取り返す手伝いをするよ。魔王倒すついでにさ」
「それはありがたいけど、あなたになんのメリットがあるの?」
この状況で『あなたの為に手伝いますよ』なんてのは、さすがに信じられない。見返りを求めてくるかもしれないし、そもそも騙してなにかしようとしているのかも。
……それにしても、魔王倒す“ついで”とか凄い自信だ。
「見ての通り、私にはまだ一人も恐竜人がいないからね。初代新生からまとめて貰おうと思って。もちろん八白さんの恐竜人まで奪う気はないよ」
言っている事は理にかなっている。確かに今から集めるよりは手っ取り早い。
それに乱暴者の初代新生よりも、この人にまとめてもらった方があの娘たちの為にもよい気がする。だけど……
「ティラちゃんは間違いなくウチに?」
「あ~、信用ないんだ~。まあ、会ったばかりだから仕方ないけど」
「あ、ごめん、そう言う意味では……」
「気にしないで。大事な仲間なんでしょ? 慎重になって当然だよ」
……ああ、仲間って言った。恐竜人を仲間と呼んだ。
まだよくわからない相手だけど、ウチの直感が“とりあえずは信用してもよさそうだ”と感じていた。なによりこの人とは気が合いそうだ。
「わかった。よろしく、アンジュ……アンジー!」
「OK! よろしくね、八白さん」
そう言うと、スッと手を出して握手を求めてくるアンジー。こういう事をさりげなくできる人って凄いよな。
凄いんだけどさ……
「でもなんかムカつく~」
「ひっど!」
初代新生のこともあって、まともに話が通じる元人間の存在が正直嬉しかったのだと思う。思わず両手で握り返してさし上げました。
「じゃ、またくるよ!」
「え? 一緒にやるんじゃないの?」
「そうなんだけど、まだ私の存在は隠しておいた方がイイでしょ。だから別行動ね。今日は顔合わせってことで!」
そう言うとアンジーは、頭の上で右手を振りながら林の中に消えていった。彼女の提案はもっともな話で、初代新生に警戒されたら上手く行くものも行かなくなってしまう。
……第三の猫人か。いい人だけど、腹の中はどうなのだろう?
「女神さんや」
〔はあ……なんですか、ご隠居〕
「今の人、アンジュラさんのことも調べておいてくれる?」
〔もちろんです。しかし、なにが気にかかるのですか?〕
「握手をしたときに気が付いたんだけどさ。掌がゴツゴツと堅かったんだ」
多分隠す気は全然ないのだろうけど、その華奢で可憐な見た目とのギャップが凄い。
煌びやかなドレスを着たハリウッドセレブの手が鍛冶職人だった。ってくらいの印象だ。
ウチはその違和感の正体が気になって仕方がなかった。
「高校時代、野球部の掌がつぶれたマメだらけでそんな感じだったよ。つまり……」
〔つまり?〕
「彼女は野球部だったのか!」
女神さんのカカト落としが、ウチの脳天に“ぱふっ”と落ちてきました。
アンジュラ・アキ→https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2329941/blogkey/3163883/
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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。




