第29話・最恐。
ガイアの鮮やかな手腕を横目に、中央ではティラノと三本スパイク盾の恐竜人が力比べをしていた。
「お前、すげー力だな。イイね、滾るぜ!」
しかし、純粋なパワーではティラノが少し不利な感じに見える。ジリジリと少しずつ押され始め、まったく余裕がなさそうだ。
「女神さん、あの三本角の娘は多分、超有名なトリケラトプスだよね?」
〔ええ、草食恐竜でありながら肉食恐竜と対等にわたり合える、数少ない恐竜ですね〕
やはりか。ティラノが恐竜人相手に互角に持ち込まれるなんて滅多にないだろう。
……あなどっていい相手じゃない。
「ティラちゃん、負けるな~!」
「ふうん。……そいつがティラノサウルスの恐竜人か」
初代新生がニヤリとしながらティラノに視線を向けた。あの顔、なんかもう嫌な予感しかしない。
「二人とも、十分警戒して」
「おうよ!」
そしてここは、そう『まさしくここは!』ってやつだ。ウチはポケットからティラノのジュラたまを取り出し、彼女に合図を送る。
「ジュラたまブーストするよ!」
「ああ、いつでもいいぜ!」
――しかし、キラキラと輝くその指輪をはめようとしたその時、初代新生がタイミングを計ったように口を開いた。
「八白亜紀。さっきお前、『タルボはどうした?』って言っていたよな」
初代新生は右手の親指を立て、自分自身のうしろを指さしながら言った。
「今頃、向こうでくたばってるんじゃね?」
「――今、なんて⁉」
……うかつだった。これがあいつの作戦だったのか。
動揺し、指さした先に気をとられたその瞬間。初代新生のうしろにいたもう一人の恐竜人の突進を喰らい、ウチは、文字通り吹っ飛ばされてしまった。
「痛ってぇ……」
巨大生物のパワーを凝縮した恐竜人の激強タックルだ。それでも打ち身程度で済んでいるのは、大地の恵みである草花のクッションと、猫人の柔軟性のおかげなのだろう。
……さすがに体中擦り傷だらけだけど。
「痛いの痛いの、飛んでいくニャ~!」
ベルノが可愛い手ですぐに癒してくれる。なでられた場所から痛みがス~っと消えていった。取っては投げ取っては投げと、そのまま無造作に“痛い”を投げ捨てるベルノ。
そのうちのひとつが木の枝にぶつかり、派手な”バキバキバキッ“という音と共に折れてその場に落ちた。
「なんだ今のは? それにあれは……おもしれぇ。回復能力か」
ニヤっとしながらベルノを見る初代新生。――しまった。ベルノに目をつけられたか。
彼女は、たった今ウチを吹っ飛ばした恐竜人に、ベルノを捕まえるようにと指示をだしていた。
「お前の好きにはさせない……」
痛いとか怖いとか言っている場合ではない。恐竜人とベルノの間に割って入ったウチは、『足だけでも止めなければ』と腰を落として構えた。
「ネネ~」
「ベルノ、木の陰に隠れてて!」
こんな仲間を使い捨てるようなヤツには、絶対に渡す訳にはいかない。
「ネネ~~~!」
大人しくして……って、あれ? ……頭の上からベルノの声が⁉
「ベルノ!」
「よ~し、よくやった、ランフォ」
「まだ仲間がいたのか」
これは完全に裏をかかれた。目の前の相手に注意を向けているスキに、ランフォと呼ばれた翼竜の恐竜人がベルノを掴み飛び上がっていた。
“チーム新生には戦略性がない”なんて勝手に思い込んでいたウチのミスだ。彼女自身に戦略性がなくても、アイツの神さんの入れ知恵の可能性もあるって事を考えてなかった。
「ティラちゃん、頼む! 石投げてあいつ落としてくれ。ベルノは絶対に受け止めるから!」
……あれ?
「ティラちゃん?」
「亜紀っち。マズイぜ……」
そう言って、初代新生を指差すティラノ。
「さて、これはなんでしょうか~?」
そこには不敵な笑いを浮かべる初代新生が、人差し指と親指でなにかをつまんでプラプラとさせていた。
揺れるたびにキラキラと光る……あれはまさか?
「え、それってティラちゃんのジュラたま⁉ なんで……」
「今お前が転がりながら落としたんじゃねぇか。ジュラたまって言うのかこれ。ラッキーだぜ、どうやって奪おうかと思っていたくらいだからな」
「返せよ、それ」
「やだね。ジュラシック最恐、ティラノサウルスの指輪だ。返す訳ねぇだろ」
「おい、やめ……」
言い終わると同時に初代新生は、ティラノのジュラたまを左の薬指にはめた。
――その瞬間、プツリとティラノとの意思疎通が途切れた感覚があった。
「え、なにこれ……」
「知らないのか? このジュラたまってのを手に入れれば、恐竜人を奪えるんだぜ?」
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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。




