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〔改訂版〕ジュラシック・テイル ~猫耳転生と恐竜少女~【異世界だと喜んでたのに実は白亜紀の地球でした!?】  作者: 幸運な黒猫
world:02 この娘が味方であの娘が敵で。

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27/202

第24話・Raise your flag

 隙間なくびっしりと生えている樹木。太陽の光がほとんど差し込まず、薄暗くジメジメしたこの場所で遭遇した猫耳転移者。濃紫のジャケットにピンクのロングヘア。


 ……そして真っ黒の腹の中。


 彼女は仲間として白亜紀(ここ)に来たのではなく、魔王軍討伐のライバルとして降り立った。


 ウチと決定的に違うのは、来る場所も目的も最初からわかっていたという事。


 そして口にしていた『クリア報酬』という言葉。魔王軍を倒せば報酬がでるというのは想像できるけど、こんな場所に来てまで欲しい物ってなんだろうか?





「こらこらこらこら、だから全裸やめって!」


 突然、特攻服を脱ぎ始めたルカ。


「上着だけっスよ、姐さん。今から戦うのに全裸になる訳ないじゃないっスか」

「え~。隙あらば脱ぐスタイルなのかと思ってたよ。……なんだろう、この敗北感は」


 脱いだ上着を丁寧にたたみ『頼みます』とウチに手渡すルカ。


 以前観たアメリカの動画でものすごく印象に残っている物がある。風にあおられて地面に落ちた星条旗、それを見つけた退役軍人がとった行動だ。


 拾い上げて丁寧にたたみ、その家の軒下にある宅配BOXの上にそっと置いた。地面に直接触れないようにとの配慮が伝わってくる。


 そして彼は最後に、星条旗に敬礼をして去って行く。自分の国に誇りを持ち、国旗にまで敬意を表していた。


 ルカの行動を見ていたら、なんかそれに通じるものを感じたんだ。


 このティラノとおそろいの特攻服は本当に大事な物、ルカにとっての“|掲げるべき旗《Raise your flag》”なのだろう。

 

「よっしゃ、準備完了! タルボ、悪いけど本気(マジ)で行かせてもらうっスよ」


 トントンッと軽くステップを踏み、右脚を引いて構えながら拳を握り込むルカ。この辺りが薄暗いせいもあるのだろう、拳に巻かれている鎖からは、バリバリと放出する雷の光がハッキリと見えた。


 対するタルボが持つのは、身長と同じくらいの長さのあるバトルハンマーだ。

 破壊力はかなりありそうだが、武器を構えようとする気配すらなかった。


 闘争心というか、戦おうって感じが全くしない。


「姐さん、どうしましょうか?」


 ウチがそう感じるくらいだから、ルカはもっと違和感を覚えてたのだろう。彼女は視線をタルボから外さずに指示を求めて来た。


「とりあえず、あの子はできるだけ傷つけずに、敵のボスだけを狙って無力化しよう」

「了解っス!」


 あの覇気のなさはむしろ異常。怪我をしているわけでもないし、どういう事なのだろう? 


 そんな彼女に指示をだす腹黒の猫耳転移者。とりあえずこいつは猫耳ブラックとでも呼ぼうか。


「タルボ、さっさとやっちまいな!」


 言われるがまま突っ込んでくるタルボ。なんと、得物のバトルハンマーをその場に置き、非武装の状態だ。


 これに一番意表を突かれたのはルカだったと思う。

 多分頭の中では、振り降ろされるハンマーを紙一重で避け攻撃に転じるシミュレーションをしていたのかもしれない。


 それでも小柄なタルボのタックルはそれほど突進力があるわけでもなく、ルカは労せずして受け止めていた。


 意味の無い一手に思え、一瞬『なにをしたいんだ?』と考えたことに誤算があった。


 ……タルボはそのまま腰に腕を回すと、ガッチリとルカにしがみ付き放さない。


「くっ、重いっス」


 タルボに下半身を押さえつけられているルカ。『重い』と表現されたその力は、単に捕まえているだけでなく、しっかりと押さえつけていると言う事だ。


 ……その小柄な身体からはとても想像ができない力で、ルカは機動力を封じられてしまった。


「侮っていたわけじゃないっスけど……」


 予想以上だった、と。


「アクロ、スピノ、行け!」


 猫耳ブラックの命令で左右から飛び出してきた二人の恐竜人(ライズ)


「え、まだいたのか……」


 タルボに戦闘意思を感じなかったのは、そもそも戦うつもりがなく、ルカを動けなくするための役割だったのか。


 ルカの左側から杖のような物で殴りかかってきた猫耳ブラックの恐竜人(ライズ)。その攻撃を両手でガッチリと受け止めるルカ。


 彼女のフィジカルがジュラシック最恐のティラノと同等だとしても、三対一ともなると対応しきれなくなる。


 両手がふさがっているルカに、攻撃を仕掛ける三人目の猫耳ブラック恐竜人(ライズ)


 ――これはヤバイ! と感じたその瞬間、ウチの身体は勝手に動いていた。恐竜人(ライズ)の力に猫人が対抗できるわけがないのに。 


 好きだったゲームの中で言っていた。『誰かを助けるのに理由がいるのかい?』リアルで一度言ってみたい言葉No.1に選ばれた伝説的セリフ。


 今のウチはまさしくこんな感じだった。


 正直、結構ヤケでやったと思う。猫人の瞬発力を活かして一気に加速し、ジャンプと同時に足を手で抱え込み前方回転! 


 丸まった猫人(ウチ)が弾となって右から来ている恐竜人(ライズ)に一直線だ。


 さすがにこれは想定していなかったのだろう、ウチの猫玉(ねこたま)アタックはクリーンヒットし、恐竜人(ライズ)を転倒させる事ができた。


「姐さん、やるっスね!」

「おうよ、まかせろ!」


 うわ……良かった……死ぬかと思った……冷や汗すげー。滅茶苦茶ドキがむねむねしてるわ。……ヤバイ、マジヤバイ。


 震える手でサムズアップしてひきつった笑顔で答えてみたけど……バレたかな?


 そもそもウチは戦闘民族じゃないし、我ながら奇跡的な攻撃だよ。


特攻服(これ)に勇気をもらったよ」

「姐さん……」


 絶対に汚しちゃいけないと思って、抱え込んだまま猫玉になったんだけど、それが気持ちの上でプラスに働いた感じ。


 上手く説明できないけど、仲間がいるのって心強いって思えたんだ。

 

 なんてちょっといい気分に浸っていたら、妖精の形をしたイセカサギノメガサウルスがひと言。


〔八白亜紀、こういう時にジュラたまを使えばよかったのでは?〕




 ……あ、忘れてた。

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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。


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