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〔改訂版〕ジュラシック・テイル ~猫耳転生と恐竜少女~【異世界だと喜んでたのに実は白亜紀の地球でした!?】  作者: 黒猫ぽん!
world:02 この娘が味方であの娘が敵で。

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第20話・よりよりのより

「ボーン!」

(訳:こんにちわ)


「はい……なにそれ。つか誰?」


「え~、ノリ悪。マジテンサゲ~」

(訳:マジでテンション下がる~)


 なにこの人? いや、このモンスターか。ツンとした鼻すじが印象的な整った顔立ち。長い黒髪が風になびき、スレンダーなボディをなでている。そして下半身が蛇。


 ……魔王軍に違いはないと思うけど、しゃべっているのはなぜかギャル語だ。  


 ミノタウロスとのバトル後、緑地地帯を求めて支流をさかのぼった。

 沢をいくつか超えた辺りで、光の中に緑が香る場所を見つけたんだけど、そこにはすでに彼女がいた。


 明らかに異質な相手を見て、一番最初に身構えたのはティラノだった。


「オメーもミノっちの仲間か?」


「それな。ちゃけばがんなえだったよね~、テンアゲで来たのにソクサリとかさ~ マジないわ~」

(訳:ぶっちゃけると本当に萎えたよね、気合入れて来たのにすぐ帰るとかさ)


「なあ、亜紀っち、こいつ一体なにを言ってるんだ?」

「う~ん、ウチも半分くらいわからん……」 


「とりまチルってくろはだとかありよりのありなのにメンブレ~」

(訳:とりあえずまったりと肌焼こうと思ったのに、メンタルやられるわ~)


「お、おう。そうだな、よりよりのよりだよな!」 


 威勢よく抜いた木刀をばつが悪そうに収め、ウチの肩をポンッと叩いて後ろに下がる。


「……亜紀っち後はまかせた」


 なにが起きたのかわからないといった表情がこれまたかわいい。


 しかし、ティラノを撃退するとか何気に凄いんじゃないか? というか……直感だけど、この娘(こ)はなんかウチに近い感じがする。


 ――よっしゃ、いよいよウチの出番や。ひ~ひ~言(ゆ)わしたるで!


「なるへそ。それはあじゃぱ~だわ。ギャフンなって冗談はよし子さんやな!」

(訳:そうなんだ。それは残念。ふざけるなって感じだよね!)


「そマ? ウケる~。さりげメンディーだけどアゲぽよなうしか的な」

(訳:それマジ? ウケる~。なんか面倒だけど、テンション上げるのは今しかないかなって)


 やはりそうか、こいつは……エセギャルだ! 平成初期の黎明期ギャル語が混ざっている。完全なギャルじゃないのならウチでも戦えるで。


 ――ここは、昭和死語ネット検定三級の実力を見せるしかあるまい!


♢


 青い空。白い雲。川のせせらぎ。そよぐ風。

 ……そして飛び交う死語とギャル語。


「なあルカ。あれ、なにを言ってるかわかるか?」

「無理っスね。暗号会話みたいっスから」


 どのくらいの時間が流れただろうか。平成エセギャルVS昭和死語使い。死力を尽くしたウチたちの戦いは、今終りを告げようとしていた。


「なるへそ。それはチョベリバだわ。トサカってもOK牧場。当たり前田のクラッカーやで!」

(訳:それは最悪。頭に来てもOK。当たり前じゃん!)


「生類わかりみの令!」

(訳:わかったよー!)


 しかし、なんでこの娘ここにいるんだろ? ミノタウロスたちみたいな偵察って感じじゃないけど……


「魔王ちゃんが激おこぷんぷん丸でつらおだったから、ドロンしてきたんだ~」

(訳:魔王様が激怒してそこにいるのが辛かったから、さっさと逃げて来たんだ)


「そか~。ドキがむねむねだったんだ。トカげっち((リザードマン))もプッツンだったけどブラックなのねぇ」

(訳:そか~。ストレスだったんだね。トカげっち((リザードマン))も怒っていたけど、環境悪いのね)


 まあまあとりあえず一杯。と、桃ジュースをすすめてみた。『ラーメンもあるよ』とポーチから取り出したが、匂いをかいだだけで『酔うから』と遠慮していた。


 やはり魔界の住人って、ラーメンで酔えるのか。


「あ、あの……マスターさん。通訳お願いしても?」


 ひと段落ついたと判断したのだろう、プチが会話の解読内容を聞いてきた。


「なんか、魔界から逃げてきたら迷ってここに着いたんだって~」

「あの暗号にそんな意味が……亜紀っちすげーぜ!」

「そうっスね! 自分にもわからなかったっス!」


 ……彼女たちの尊敬のまなざしを前にしたら、実はウチも結構適当だったなんて言えなかった。


「でも、そういう理由なら魔王軍に戻れないよね? 女神さんどうしたらいいと思う?」

〔うん、殺しましょう。サクッと〕

「敵対してない相手に危害を加えるのは無しだ。実際なにもしてないぞ?」

〔途中で心変わりして魔王軍に戻ったり、そもそもスパイって可能性もあります〕


 ……それを言いだしたらなにもできない。他人を信頼するという気持ち全否定じゃないか。


「ところで、え~と……」

「あ、私はラミア」


 名前を聞いた瞬間バクッと心臓が跳ねた。それは、目を見ると石にされてしまうと言われるモンスターの名前だったからだ。


 一瞬固まったウチを見て、ラミアは笑いながら口を開いた。


「なんかさ、見た人間を石にするとか言われてるけど、あれってデマだから」

「そ、そうなんだ」

「うん、私に見惚(みと)れて固まるくらいのものかな」


 ラミアは髪をかき上げて、手からサラサラと流して見せた。魅了する仕草に見惚れる人間……それもある意味石化と言えるだろう。


「そ、それで、これからどうする気?」

「どうしようかな~。戻れないしぃ……このままこの辺りに住むのもいいな。ロケーションは悪くないしさ」


 やはり帰ることができないのか。チョコを食べながら、ちょっと寂し気な目で答える彼女。


「……って普通にしゃべれるのかよ」

〔もしかしたら、ミルクチョコに”標準語化“の効果があるのかもしれませんね〕


 なにその“ご都合主義の極み”みたいな効果は。

 

「無理にとは言わないけど、とりあえず一緒に来てみない?」

「ん~、この世界のことまだわからないし、そうしよっかな~」

「めっちゃ普通じゃんよ……」


 ……ウチの苦労は一体なんだったんだ。


「お、おい、ルカ! こいつなに言ってるかわかるか?」

「わかる、わかるっス!」

「ネネ、白くなってるニャ」


 ふっ、燃え尽きたぜ……

ラミア→https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2329941/blogkey/3163839/


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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。


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