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〔改訂版〕ジュラシック・テイル ~猫耳転生と恐竜少女~【異世界だと喜んでたのに実は白亜紀の地球でした!?】  作者: 幸運な黒猫
world:11 ティラノ・アドベンチャー:フルバースト

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202/202

第181話・しばくでしかし!

「なあ、キューちゃん((ヴァンパイア))

「あ? どないした、八っつぁん」


 出合って三分、すでにウチとヴァンパイアは、あだ名で呼び合う仲になっていた。


「戦うの、やめへん?」

()うて、ワイも魔王はんの部下やしな。そお簡単に首を縦に振れんのや」

「それはわかるけど、そこの毛玉((グレムリン))に命令されるのってなんかムカつかね?」


 ヴァンパイアはグレムリンを見下ろすと、死んだ目になりながら、ボソッと『わかるわ〜』と口にしていた。


「魔王軍ではワイと同列やのになぁ。なしてお前が指揮官やねん」

「頭のできが違うっペよ」

「ほんま、ムカつくやっちゃな~。しばくでしかし!」


 と、メガネをかけていないのに、中指でクイッとジェスチャーを加えるヴァンパイア。芸が細かい。


「ええぞキューちゃん((ヴァンパイア))、しばいたれ!」

〔こらこら、あおってどうするのですか!〕

「なんとでも言えばいいっペ。オラは次の仕事があるから行くっぺよ」

「おま、また逃げるのかよ」

「あとは好きにすればいいっペ」


 ヒョコッヒョコッと歩き去っていくグレムリン。魔王転移のための魔法陣を作りに行くのか、それともまた別の要件か。いずれにしても、放置しておくのは危険だ。


 ……アイツは人目がなくなると、必ずなにかをやらかしてくれるタイプなのだから。


 そんなウチの考えを読み取ったのか、キティがスッと姿を消した。グレムリンをこっそりと尾行するためだ。なんとなく直感で連れてきたけど、大正解だったな。


「なんや、おもしろい術つかいよるな……」


 ヴァンパイアなどの上位種アンデッド系モンスターには、”生体感知“があると聞いた。生物に対してのみ働くセンサーみたいなものだそうだ。だから当然、消えているキティの動きもバレバレなわけで……


 一瞬ヤバイと思ったが、意外にもヴァンパイアは、ウチらに向かってサムズアップしてきた。口元の犬歯がキラリとまぶしい。


毛玉((グレムリン))って、マジで味方からも嫌われてんのか」


 ウチが前にいた会社にもそんな上司がいた。たまたま営業成績がよかっただけの、人の上に立つ資質のない人。みんな不満を持っているが、陰湿な嫌がらせをされるので陰口を言われる事がないタイプ。


 今思えば、グレムリンってその時の上司に似ている。……だから苦手なのかもしれない。


「ほな、こうしようか〜。ワイと戦って勝ったら戦いをやめたるわ。しらんけど」

「ちょ、自分がなにを言っているかわかってないだろ」

「わかっとるがな。戦いをやめるかどうかを戦いで決めよう()う事やで」

「くじ引きをする順番をくじ引きで決めるようなもんやないか」

「まあ、そお()うなや、八っつぁんや」


 ヴァンパイアがバサっとマントをひるがえすと、その手には細身のレイピアがあった。……いつ抜刀したのだろうか?


 ハッキリとは見えないが、その剣身には細かい文様が彫られ、ぼんやりと光を発している。トリスが持つランスのような、いかにも魔力が籠っていますって感じの武器だ。


「もう、結局戦うのかよ」

「あ、やっと漫才終わった?」


 と、あくびをしながらエクスカリバーを取り出すアンジー。


「せっかく穏便にすませようと思ったのに~」

「無理だって」

「いやいや、結構ウチと気が合うんやで? 話だって……」

「あのね……戦いが生活の中心にある魔族と話し合いなんて無理だよ。ドライアドは稀有。精霊に近い魔族だから話が通じただけ」

「そうは言ってもなあ……」


 ミノタウロスですら、ティラノと戦う事が生きがいになっているのだから、アンジーの言う事が正しいとは思う。それでも戦いを避けられるのなら避けたい。


 なにより、恐竜人(ライズ)たちが傷つくのを見たくないんだ。


「ウチとしては、恐竜人(ライズ)チームと魔王チームで、サッカーとか野球で決着をつけられればって思うんやけど?」

〔わけのわからないフラグ立てないで下さい。アナタが言うと本当になりそうで不安しかありません〕

「……カバディでもええで?」


 女神さんのカカト落としが、脳天にパフっと炸裂しました。




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