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〔改訂版〕ジュラシック・テイル ~猫耳転生と恐竜少女~【異世界だと喜んでたのに実は白亜紀の地球でした!?】  作者: 黒猫ぽん!
world:02 この娘が味方であの娘が敵で。

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第12話・お宝さん。

 ――大自然と恐竜の時代、白亜紀。


 視界のすべてが、恐竜という時代の支配者に合わせたスケールでできていた。


 現代では到底見られない巨大な樹木と草花。木々の間を吹き抜ける、澄みきった風。


 そんな風光明媚(ふうこうめいび)な超大自然に転生した……はずが、恐竜ど真ん中に詐欺同然で放り込まれたウチは――


「とりあえずまだ生きとるで~!」


 ほんの数時間で、もう死にかけた回数が両手じゃ足りない。


♢


 プチは自身の判断で周囲を警戒していてくれた。頼もしい。


「気が利く娘(こ)だね~」


 さすが、弱肉強食の世界に生きる恐竜だけあって警戒心は強い……と思いきや、実は猫パンチが怖くて逃げ回っていただけだったりする。


「お、敵か?」


 ティラノサウルスの恐竜人(ライズ)、ティラノが嬉しそうに跳ね起きた。目がキラキラと輝き、戦闘民族の血が騒いでいるのが丸わかりだ。


「プチちゃん、なにかわかる?」

「さあ、なんでしょう?」


 ……やっぱりこの子、視力はからっきしだ。


 最初は『つかえねぇ』なんて思ったけど、今は素直に『可愛いじゃん』と思ってしまう。


 ……我ながら単純だな。


 それはさておき。こっちに来てるのが魔王軍なら、油断は禁物だ。

 

「ん? 待てよ……」


 猫人の身体なら木登りできるんじゃ? と試してみたらあら不思議。あっさりサクサク登れてしまった。人生初木登りかもしれない。……今は猫人生だけど。


 太い枝に腰を下ろし、プチの指差す方向へ目を凝らした瞬間――膝の上に、ふわっと柔らかく懐かしい感触。


「な……これは!」


 木登りのときにくっついてきたらしい。ベルノが『ふにゃ!』と耳のつけ根をスリスリしてくる。


「かわええ……これは萌え死ぬ」


 柔らかい髪を撫でるだけで、心の澱が全部吹き飛ぶ。


 プチもベルノの可愛さに頰を緩め、至福の表情を浮かべていた。


「お~い、戻ってこ~い」

「……ごめんティラちゃん。“ほわ~ん”と幸せトリップしてたわ」


 改めて視線を下ろすと、小柄な恐竜が全力疾走で近づいてくる。身長三メートル程度。人間基準なら十分に巨大な生物だ。


〔え~と、あの種はキティパティですね〕

「恐竜解説員・女神さん登場!」

〔変な肩書きをつけないでください〕


 ティラノサウルスとかプテラノドンといった超メジャークラスの恐竜なら誰でも知っているだろうが、キティパティなんて言われてもマニアにしかわからないんじゃないか?


〔獣脚類の恐竜で、名前はサンスクリット語で「火葬の王」を意味します。化石はモンゴルのゴビ砂漠にある……〕

「獣脚類って……なんぞ?」

〔ま、脚力自慢の恐竜ってことです〕

「雑な説明やな……」


 ティラノはフィジカル極振りのバトルマニアだし、プチは空を飛べる。二人ともライズ化しても、恐竜のときの特性をそのまま持っている。ならこの子は“走るのが得意な娘”ってことか。


「ティラちゃんストップ、木刀ダメ~~~!」


 いつの間にか木刀を構えていたティラノを慌てて制止する。……危ない娘だなぁ。


「んだよぉ、メンドくせえなぁ」

「優しく、優しく……えっと、なんかこう、ガバッと抱きとめたってて!」

「ったく……」


 キティパティは必死の形相で突っ込んでくる。なにかに追われているのか、目が本気だ。


 しかしティラノは造作もなくその脚に抱き着き、くるりと振り回して地面に叩きつけ――最後に頭突きを入れた。


「うっしゃ~!」

「もう、優しく言(ゆ)うたのに……」

 

 キティパティはぐるぐると目を回し、足元がおぼつかない。急いでチョコを――


「う……木から降りられません」

「はあ?」

「猫って、猫ってぇ~」


 当然の結果だった。木に登った猫が降りられなくて鳴いている動画、散々見たじゃないか。


「まあ、なんだ、俺様のこれ(チョコ)食わせときゃいいのか?」

「あ、それで~」


 ――ミルクチョコin!

 ――煙deポンッ!!


「な……なんだすか、これは? オラ、なにがあったんだすか?(キリッ)」


 煙が晴れたそこにいたのは、桜色のポニーテールが風に揺れる和風少女だった。


 胸元が大胆に開いた黒革のスポーツブラに、鮮やかな赤い法被。背中には「忍」の一文字が躍り、キリッと引き締まった顔立ちに、どこか物憂げな瞳が印象的だ。


 鮮やかで派手過ぎない薄いピンク、桜色のジュラたま。名前はキティ。


「日本の至宝、キティちゃんの登場やで!」

〔あの、あまり大企業を敵に回さないでください……〕


 襟を正し、口に入った髪を耳にかける仕草が、実に凛々しい。


「細かいことはええから。ところでキティちゃん」

「なんだすか?(キリッ)」

「へそ、見えてっぞ~!」

「見ねぇでくだせえっす!(キリッ)」


 両手で腹を押さえてへそを隠すキティ。その必死な仕草まで可愛い。また、最高に魅力的な娘が増えてしまった。


 しかも毎回“キリッ”と決め顔を入れてくれるのがたまらない。


 ……う~ん、ウチの立場、どんどんなくなっていく気がするな。

キティ→https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2329941/blogkey/3163829/


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