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第130話・対策

「その予知能力ってのにはなにか制限がありそうだね」

「やっぱりアンジーもそう思う?」


 拠点“しっぽの家”に戻ってすぐ、アンジーと初代(はつしろ)新生(ねお)に声をかけて集まってもらった。


 今回の件、情報共有と考察が必須だと思ったからだ。


 もちろん猫耳幼女の正体は言えるわけがなく……アンジーには申し訳ないが、伏せたままにしておかなければならない。


「でもさ、その”正体不明の黒ローブ”ってのが、まったく見当がつかないんだよね」


 ――ドキッ。


「私が魔王軍と戦った頃は、予知なんてチート能力を持ったヤツはいなかったよ」


 心臓に悪いわ~。目を合わせたらなにか悟られそうな気がして、思わず初代新生の方に視線を移してしまった。


「予知できる時間幅に限界があるのか、それとも範囲かもしくは……。八白さんはどう考える?」

「か、回数とか? 一度に予知できる事象の」

「つーかよ、どっちにしろ戦うんだろ。気にしても意味ねぇじゃん」


 話が進まないことを面倒臭く思ったのだろう、初代新生がイライラした声で口を挟んだ。確かにここでの話は予測でしかないし、無駄な事なのかもしれない。


 でもリスクをいくつも想定してその対処を考えておくというは、今回に限らずどこかで役に立つ場合も多い。


 ……なんて、社会人経験のないJKに言ってもピンとこないだろうけど。


「なにも考えないで戦おうとするからお前は成長しないんだよ」

「あ? なんか言ったか、おばさん」

「おい、ちと外でろ。クソガキ!」

「はいはい、君ら止めや~。ったく、顏合わせるとこれだもんな」


 アンジーの言ってる事は正しいけど、言葉がちょっと足りないと思う。


「消し炭にしてやるよ。ビビッて逃げんじゃねえぞ!」

「不意打ちしかできねえくせに偉ぶるんじゃねぇよ、おばさん」


 エクスカリバーを取りだし、肩に乗せて余裕を見せるアンジー。初代新生は剣鉈を抜き、左下段に構える。


「ねおりん、ケンカはダメだって言ったでしょ~。もおお……」


 必死で止めに入るミキの言葉もむなしく、睨み合うアンジーと初代新生。一触即発の状況だ。


 だが……


「あ、リコりん、よろしく~!」

「はいなっ!」


 黄色のカートリッジを装填と同時に、二人の足元に撃ち放つリコりん。


 “目にも止まらぬ”とはまさしくこの事だ。


 そしてこれは、魔法耐性のある彼女たちにもかまわず効果を発揮する強襲射撃(アサルト・ショット)

 あのドラゲロアンジーをも封じるこの力、やはりこの()の能力は使い方次第で場の制圧すら可能になりそうだ。


 二人はビリビリと麻痺したまま、口が回らずに唸り合っていた。


「君らは狂犬か……。ま、とりあえず耳は聞こえると思うからそのまま聞いといてくれ」


 ウチはポンポンッと二人の頭を軽く叩き、話を続けた。

 

「共有しなければならないことは三つ。ひとつ目、謎の黒ローブの能力はさっき話した通り。そして二つ目なんだけど、ケルピーってヤツが結構厄介でさ、スピードがメチャクチャ速くて目で追い切れないんだ」

「ホント、あれは半端なかったっスよ。キティと同等かそれ以上っスね」


 ルカもあの速さを目の当たりにして、色々と考えるところがあったのだろう。キティを比較対象にだした一言が最も皆に伝わりやすく、そして的をえていた。


「なんか燃えるだすな(キリッ!)」


 ……そして闘志を燃やすキティ。


 他に対策として考えられるのは、ドライアドが解放ってのをすればケルピーに対抗できるという事。そもそもが同等の強さって言われている位だし。


 ただ、それを無理強いする事はできない。捕虜になってでも解放しなかったのは……多分魔王軍に戻れないと言いながらも、異世界に帰ること自体は諦めていないのだろうから。


 もしかしたら家族がいるのかもしれないし、ハーピーやセイレーンの処遇を考えての選択という場合もある。


「三つ目は魔王軍の人数が合わないってことなんだけど……」


 白亜紀に来ている魔王軍は十二人だと、メデュ―サもドライアドも聞かされていたらしい。


 威力偵察のミノタウロスにリザードマン、死神。

 先遣隊のドライアド、セ―レーン、ハーピー、インプ。

 第一陣を率いて来たメデューサとウェアウルフ、グリムロック、グレムリンにバルログ。

 そしてケルピーと猫耳幼女。


 ……どう計算しても十四人だ。ラミアは家出みたいなものだからカウントしてないけど、もし含めるのなら余計に訳わからなくなってくる。


「どうやらグレムリンは、我ら仲間をも騙していたのでござろうな。誰かが捕まって情報が漏れてもよいように……」

「相変わらず狡猾(こうかつ)です、アレは」


 ドライアドもハーピーも呆れていた。

 “敵を騙すにはまず味方から”って言葉があるけど、それは信頼関係が成り立っている上での作戦だ。


「グレムリンみたいに味方を利用するだけのヤツが使うと、単にコミュニティの絆を壊すだけやろ」

「姐さん、深いっス!」


 キラキラとした目をしながら、両手でサムズアップするルカ。


「そういう会社にいたからねぇ……はあ、真っ黒な社会人経験がこんなところで役に立つとは」

()()()()()()()()()()()

「まったくやで。あそこまで酷いのは滅多に……あれ……」

〔どうかしましたか? 八白亜紀〕

「いや、なんでもない。……と思う」

 


 ……なんで女神さん、ウチの職場を知ってんだろ?

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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。


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