おっぱいホームズの事件簿01~ホームズとワトソン~
巨乳を見ると「ホンモノかニセモノ」か推理してしまうというのは、男の性でございます。
そんな能力に長けた高校生男子と、その推理の被害者?たる女の子の話。
「アホ作者め。また、おっぱい小説か」
すいません、石を投げないでください。
尿路から出ていく石だけて充分痛いですから。
っていうかリンコフ試作二号機になってから、初投稿ですけどね。
「くっ、難事件だ、ワトソン君」
「なによ」
隣の席にいる、犬養 柴五郎 が私に声をかけてくる。
ちなみに私はワトソンではない。
「推理がしきれない、おっぱいがでてきた」
「あっそ」
おっぱいホームズなどと言われている、この男。
女性の胸をやたらめったら観察し推理をし、乳の真贋を見定めるという非常に迷惑な存在だ。
「君の胸は、すぐに見抜けたのだが。これは難事件だ」
「しばくわよ」
席替えの後、隣人となったこの男は、その初日に、私の胸をマジマジと観察していたことは記憶に新しい。
「シリコンパッドならば、一日では見抜けなかった」
「コットンパッドで悪かったわね。シリコンは蒸れるのよ」
午前中の席替えが終わった後、通気性の良いブラパッドを重ねて仕込んでいる胸を午後には見破ったのだ。
揺れない不自然さを重力加速度で計算がどうこう……推理しやがった。
「もう、詰め物はしないのか」
「アンタがバラしたんでしょうが。しても意味ないわよ」
女は嘘をつく生き物と、喜んで騙されてくれる男ならまだしも……振り向かせる為に、嘘を嘘で塗り固めるような罪悪感を共にして、毎日胸を盛るのもうんざりだった。
「その日のパッド枚数を当てるのも、また一興」
「マジで殺すわよ」
いじましく胸にパッドを盛る女心をわかっちゃいねぇ。
「管轄外だ。俺は殺人事件の推理はしない。おっぱい専門でね」
「そうですか。高校生の探偵ごっこに、私を巻き込まないで」
「探偵には助手が必要なのだよ、よろしく」
「頼まれた覚えはないわ」
無茶苦茶な男である。顔もスタイルも性格も悪くないというか、やや私の好みなのだが、おっぱい探偵だけはやめて欲しい。
「さて、難事件の概要だが……」
うん、私の話をきいちゃいねぇ。
「時々大きさが変化する篠田さんの胸が大きい時、あまりにも自然なのだよ」
「篠田さんて?隣のクラスの?」
「そうだ。俺は、真実にたどりつきたい、協力してくれ」
カッコイイ台詞っぽく言っているけど、目的はおっぱいだからね。
「え~、ヤダし」
「……君は知りたくはないのかい。この俺の頭脳をもってしても判明しない、超自然のたたずまいで胸を大きく見せる方法を」
くっ、やばいやばい。知りたくなってきた。ちょっと気になるかな。
「し、仕方ないわね、手伝ってあげるわよ」
「さすがは至上のフラットチェスト」
「殴るわよ、グーで」
この男が小さい胸の方が好みのヒンヌー教なのは、薄々勘づいているが。大きいのもイケるクチだから始末が悪い。っていうか節操も無く好きすぎるだろ、おっぱい。
「それで、私は何をすればいいの」
「篠田さんの行動は、だいたいこんな感じだ。」
ペラりと、月火水木金と書かれたメモを渡される。
「ストーカー?通報事案だね。おまわりさーん」
「ちがう、真実を知る為だ。君とて超自然豊胸術を知りたいだろう」
おっぱい観察以外は紳士な男だから、まぁ大丈夫だろうけど。
それと超自然豊胸術って外科手術かよ。
「話を戻すぞ。問題は、篠田さんの胸が元に戻るタイミングなんだ」
「へー、体育の前にシリコンパッドを外すとかじゃないの?重いから」
「体育の時は、大きくユっサユサしている。君とはちがって……ウギャ」
バゴンッ、ガタタ。
とうとう、手が出てしまった。コンパクトに右腕を折りたたんだショートフックが、彼のこめかみに直撃し、椅子から落ちた。
「いてて……推理力が落ちたらどうする」
そう言いながら、彼は椅子に座り直した。私に殴り倒されても平然としているのは、いつものことだ。おっぱい妄想力は落ちた方が良いと思うので、もっと殴らなきゃね。
「で、胸のサイズが元に戻るタイミングっていつなのよ」
「うむ、部活前に彼女の胸のサイズは元に戻るんだよ」
「部活?何部なの?」
「科学部」
「は?全然ワカラナイんだけど。科学部がなんで」
「そうだ、だから難事件なんだよ」
科学部っていうと、去年は地味なイメージだったのだが、今年から部長になった凛古風っていう人が、米村でんじろう先生みたいな派手な実験をやり始めて、先生達が頭を抱えている厄介な部だ。このあいだも、美術の版画作成で出てきた木材の木クズを集めて、燻製作りをし、理科室とその周辺廊下を煙まみれにした挙句、勘違いした生徒に火災報知器を押されてしまうというヤラカシ具合。
「科学部か……マッドサイエンティストの部長がいるところよね」
「そうそう、学園テロのブラックリスト。謎の超自然豊胸術は科学部による秘密の技術かもしれない」
なるほど、確かに難事件のような気がしてきた。バレないバストアップも気になるし。
「それで、部活が始まる前に篠田さんが胸のサイズを元に戻す現場を私が確認すれば良いのよね」
「そういうことだよ。男の俺が確認をやっちゃいけないからさ。やりたいが……イテェ」
ガシュッ。
セクハラ防止の為、とりあえず、頭にチョップを喰らわせた。
「わかったわ。放課後の部活前、篠田さんについていってみる」
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そうして、放課後になり、私達は行動を起こす。
「それじゃ、尾行よろしく。俺は、科学部の部室前に移動しておくとしよう」
「オッケー」
なんだかんだで巻き込まれてしまっている私だが、篠田さんの姿を見つけ、後をつける。
すると、篠田さんは、保健室に向かっているようだ。確かにこの時間帯の保健室は、ベッドで横になっていた生徒は帰宅し、体育系の部活の子達も怪我をしたりする前の時間帯なので、誰もいない。
ガラガラガラ、ガラガラガラ、ピシャリ
保健室の扉を開閉し、篠田さんは中に入って行った。
おそらく、荷物を置いて着替えるのだろう。着替中の男子侵入防止のためにカギをかけられると厄介なので、後に続いて私も突入する。
「おじゃまします。あら、隣のクラスの篠田さん」
「こんにちは。どうしたの?」
「ちょっと、痛み止めが欲しくてね。重い日だったから」
適当な理由をつけてはぐらかした。
「そぅ、私は着替えに使いたいから、少しだけ鍵を閉めるわよ」
「うん。よろしくね」
私は、保健室の利用ノートに記入するフリをして、チラチラと篠田さんを確認する。服を脱ぎ始めた。
さぁ、見せてもらおうか、おっぱいホームズをもってしても判明しない、超自然豊胸術の内容とやらを。
彼女は何故かブラジャーを外している。
……嗚呼、でかい
……ふたつのたわわ
……ホンモノだった
そうして篠田さんは、「うんしょ、うんしょ」と、大きな胸をしまい込んでいる。
しまい込むのに使っているのは、和装ブラ さらしブラ といった、胸を小さくみせる下着だった。
「……あの?何をしているの?」
「え、胸をしまい込んでるのよ。小さく見えるように」
「体育の時でも、ユっサユサさせている貴方が?」
「体育の時はホールド性重視のブラを着けて来るんだけどね。どうしても揺れちゃうよね」
だめだ、さっぱりワカラナイ。
「どうして、小さくみせようと……」
私なんて、コットンパッドをあの男に見抜かれて、半殺しにしたのに。
「部長の冷静さを保つためなのよ。私の大きい胸があると、部長の思考力が99%消し飛ぶからね。リンコフちゃん頭はそれなりなんだけど、巨乳を前にすると、ふにゃふにゃ化するから。部活が進まないの。二人きりの時は、それもいいんだけど。うふふ♪」
出てきたのは、とんでもないノロケ話だった。
「はぁ……そうですか。ごちそうさまです」
「それじゃ、私はこれで、カギあけとくね」
「うん……」
そうして、篠田さんは保健室を出て行った。
「小さくしなきゃならない人もいる…ん…だ」
ぼんやりと考えて立っていると、おっぱいホームズが保健室に入ってきた。
「どうしたんだ、何があった。呆けているぞ」
「え?あ、うん。大きい胸をね……小さくしていたんだ。彼女」
「は?なぜ、そんなことを。逆ならわかるが、君とか、ゲフッ」
ズドンッ
みぞおちに正拳突きを叩き込んだ。
「科学部部長の凛古風を冷静にするため。だって」
「ゲフン、ゲフン……なるほど、あの部長は、男子の間では巨乳派筆頭で有名だしな」
「巨乳派筆頭。そのフレーズだけで殺意が沸くわ」
「俺のように小さいのが好きな男もいるからさ。おさえて、おさえて。ドードードー」
「うん……それって告白?」
「随分前からしていたと思うけどね、返事は回し蹴りだったけど」
「わかったわ、それじゃぁよろしくね。おっぱいホームズ。貴方は私のおっぱいの『家』なんだから。」
「あぁ、よろしくな、ワトソン君」
そうして私達は、ガシッっと握手をした。
「よし、それじゃぁ、次のおっぱい推理にいってみよー。ぐぁあああ」
グシャリ
私は、膝を彼の股間にめり込ませた。
「ほんと、なんにもわかっていない迷探偵ね」
「いてぇ、いてぇよ。金的は、さすがに勘弁……」
「そうそう、打ち身には、エアーサロンパスだよね」
「よせ、やめろ。ひぃいいいい」
夕日が差し込む学校の保健室で、うずくまるホームズの股間に向けて、私はエアーサロンパスのノズルを向けて発射した。
「うぎゃぁあああ、しみる、しみる」
断末魔の悲鳴が聞こえた。
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そうして、次の日、昨日の股間の痛みについてグチグチ文句を言う、おっぱいホームズと一緒に学校へ到着すると、騒然としていた。
黄色いテープが貼られ、警察がきて取り調べを行っているようだ。
「科学部長の凛古風が事故死したんだよ。リア充爆殺ざまぁ……って、お前らもか。おっぱいホームズ&ワトソン」
「えっ?どいうこと?」
「けっ、リア充に教えるかよ。」
科学部にて水の電気分解の実験で大量に発生した水素ガスを利用し、部長のリンコフを爆殺した事件が全ての始まりだった。
「そ、そうだ、篠田さんなら、何か知ってるかも」
「やめとけよ、彼氏が殺されたんだぞ、休んでいてもおかしくない」
動き出す私を、ホームズが制した、その時。
暗い表情で、爪を噛んでいる女子生徒がいた。
「いた、篠田さんだ」
私はホームズの手を引いて、彼女に近づくと……
「部長が、私を裏切るから。あんなに頑張ったのに」
ボソボソと呟く声が聞こえた。
(おしまい)
ご心配なく。シャーロック・ホームズは著作権が切れているから大丈夫です。
著作権が切れていても、ファンの人がキレる場合がありますけどね。
え、ちょっと、石なら間に合ってますって。投げないで。キャー。
元々「凜古風」の名前で投稿していたのですけれども、SNS関係をひっくるめてネット上から存在を抹殺されまして、IDを作り直しました。
せっかくなので、内容もアレンジしました。