報せ
ファーメ、ローンズ、そして父のネラと合流するため、カオは南側にある村の入口へと続く大通りを走って行く。
「あ、カオ!こっち!遅~い!」
ファーメが大きな声でカオに呼びかけた。
カオが村の中央部へ辿り着くと、すでに三人は集まっていた。
「ごめん!婆ちゃんと話してたら時間忘れちゃって。」
「お~、カオ。時間通りに来ないなんて珍しいな。今日は何か起こるんじゃないか?」
ネラはカオを見下ろし、ニヤつきながら語り掛けてきた。
「母さんのとこに行ってただけだよ。それより父さん!今日は戦闘訓練なんだろ?さっき俺ら3人で考えたんだけど、今日の特訓、一番出来が良かったやつにパン賭けてもいい?!」
カオが目を輝かせてネラに聞いた。
「ああ、ちょうどさっき賭けのことはローンズから聞いた。折角だし俺が買ってやろう。ただし、ちゃんと出来が良かったら、だけどな。」
「よしっ!じゃあ早速行こう!それで今日の戦闘訓練はどんなことするんだ?」
カオが尋ね始めたところでネラは歩き出し、カオたちもネラへと付いて行く。
「今日は俺が相手だ、どれくらい強くなってるか久しぶりに見てやろうと思ってな。」
「げ、父さん相手とか勝ち目ないじゃん!」
カオは顔をしかめ、分かりやすく落ち込んだ。
「それって全員ネラおじさんに負けたらパン賭けはどうなるの?」
ファーメは覗き込むようにして顔を向け、ネラに尋ねた。
「安心しろって、俺に勝てなかったとしても一番良かったやつにはちゃんとパン買ってやるから。」
「やったぁ!じゃあ頑張らなきゃ!」
ネラの返答にファーメはやる気を見せ、カオもムスッとしてはいるが少し元気を取り戻す。
ネラとの特訓は基本、村の西側から森へ入ったすぐのところにある広場で行っている。
カオたち4人は特訓広場に到着し、準備運動を済ませた。
「よし、それじゃあまずは―」
「ネラさーん!」
突然、村の方から若い男がやってきた。
「何かあったのか?」
「サルの群れだ!村の北西部の方で暴れてる!たった今狩猟部隊が向かったそうだが、人数が足りないみたいでネラさんを呼んできてくれって!」
「なるほど...。北西部...。」
男の連絡を受けたネラは黙り込み、何やら考え始めた。ネラは時折キョロキョロと辺りを見回しては、再び頭を下げて考え込む。
「ネラさん、行かなくていいの?」
ローンズが少し心配そうにネラに語り掛ける。
「ん?あぁ、ちょっといいこと思いついてな。」
ネラはローンズに笑って答え、男へ返答した。
「サルの対処には行けない。すまないが、隊長さんにはそう伝えてくれ。後で俺からも隊長に謝っておこう。」
「えぇ!わ、分かった...。」
男は驚きつつもネラの言葉を受け、村の方へ戻っていった。
男を見送った後、ネラは振り返ってカオたちに話し始めた。
「さて、お前たち。急遽特訓内容を変更する、今から森の奥へと入るぞ。」
「え!森へ!?村に入ったサルのことは良いのかよ!」
カオは驚きのあまりネラへと食い気味に尋ねた。
「待て待て落ち着け。時間がないから、説明は行きながらだ。ひとまず付いて来い。」
そう言って、ネラは森の奥へと入って行く。
カオたち3人はなんだかよく分からないまま、ネラへ付いて行った。
読んでいただきありがとうございました。
色々と先の展開を考えているうちに前回の投稿から1ヶ月経っててビビってます。
今月もう一話投稿できればと思ってます。できれば...。
次も宜しくお願いします。
2023年1月20日追記
あけましておめでとうございます。今年はこの作品をどんどん書いていきたいと思っています。
...が、1月下旬になっても投稿してないので何とも言えません...。
ひとまず、12月にもう1話投稿!と思っていたのですが、投稿できずすみませんでした...。
この作品については毎日考えてはいます。そのせいもあってかどんどんアイデアが出てきてしまって、「まだ面白くなる」「まだ進めてはいけない」というように感じたので現在投稿が遅れています。(本来ならそういうこともすべて1話を投稿する前にやるべきなのですが...。)
そういった流れで投稿頻度もさらにゆっくりになっていくと思いますので、気長に待っていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。