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第18話  秋穂さんの弟

 「あっ、あっ、あっ!あ〜っ、ちょ、ヤバイヤバイ、もう無理、ダメだ、ヤバイ………あーっ、終わったっ!!」

オレがそう叫ぶと、秋穂あきほさんがくつくつと笑った。


「ふっふっふ。九十九つくもくんは弱いなぁ。」

秋穂あきほさんが強すぎるんです!」


 オレらは今ゲームをしている。

秋穂あきほさんの家にあった、マリエカート。


 でもオレ、普段そんなにゲームしないし!

対して秋穂あきほさんはやり慣れてるゲームでしょ!?

オレ、不利すぎるよ………


 「ちょっと休憩しよう。8試合連続は体にくる。」

秋穂あきほさんが相変わらずおじいちゃんみたいなことを言う。


 顔とミスマッチだなぁ。


 「はい。」

オレはそう言ってカルパスの袋を開け、戸棚に行ってグラスを二つ取り出し、冷蔵庫の中にあったオレンジジュースをなみなみと注いだ。


 ───このグラス、いくらするんだろう。


 そんな疑問が頭をよぎり、ブンブン頭を振って思考を停止させる。

これ、秋穂あきほさんの家では鉄則。


 だってさ!


 高そうな刺繍のある絨毯じゅうたん、ガラス製で足に細工があるテーブル、ふかふかすぎで肘掛ひじかけの側面にタッセルみたいなのがついているソファ。


 そもそも壁!

床!

その全てに至るまで高そう。


 ってかさぁ!

ここ、高すぎるんだよなっ!


 オレはグラスを持ってカルパスを口に放り込み、真っ白いサラサラのカーテン(これもいくらなんだろう………)を開けて、外を見た。


 普通の家が米粒ほどに見え、近くにあった高層マンションも下に見下ろすことができる。


地上何メートルとか、絶対考えたくないな。


確かに、高所恐怖症にはきつい。



 「はぁ〜あ。」

そうため息をつくと、秋穂あきほさんがこちらを見た。


「どしたの?ボクにずっと負けてるから、やんなった?」

不敵な笑みを浮かべている。


 魅惑的すぎる。

オレはまだ耐性があるけど、理寿りじゅとか衣織いおりとかが見たら終わるな。


 「違いますよ。だって秋穂あきほさんの家、すっごく高そうなんですもん。」

オレが言うと、秋穂あきほさんは、


「あ〜ね。でもさぁ、ボク、ここに住まなきゃいけない理由があるんだよね。」

「?」

「ほら、ボク自分で言うのもなんだけど、顔がいいらしいじゃん?」

「あー………(察)」

「ここに住んでないと、盗聴器やら盗撮器やらたくさん仕掛けられちゃうから、セキュリティの高いとこに住まなきゃならないんだよね。」

「なるほど。」

納得しかないな。


 オレはそう思ってグラスを置きに秋穂あきほさんがいるテーブルへ向かう。


 「納得してくれたみたいだね。」

秋穂あきほさんにそう言われて、オレは


「まぁ、納得するしかありませんよ。だって秋穂あきほさん、すごく顔がいいんですから。」

そう言われて、秋穂あきほさんは嬉しそうな顔をする。


「ありがとっ!」

そう叫んで、オレにしがみついた。


「わっ。」

ここだと二人きりだから、公衆の面前も何もない。


 どうにか逃げ出さなきゃ………何か他の話題を!


 そう思って辺りを見回すと、一つの写真立てが目に入った。


秋穂あきほさん、あれ、なんですか?」

オレが聞くと、秋穂さんは手を緩めた。


「どれ?」

「ほら、あの写真立て。」

オレの目がおかしくなっていなければ、写真立ての中には一つの綺麗な石が入っている。

でもそんなもの、写真立てに入れるか?


 すると。

「あぁ………あれか。」

秋穂あきほさんは悲しそうな顔をした。


 長い睫毛が影を落として、グレーの瞳が暗くなり、諦めのような哀愁が漂う。


 「あれはね、ボクの弟のなんだ。」

「弟?弟がいたんですか?」

オレがそう聞くと、秋穂あきほさんは心臓を抑えて、痛々しいという顔をした。


「そうだよ。弟がいるんだ。………とっても可愛い子でね。髪がサラサラで、背が低くって、目がとても綺麗で、本当に可愛い子なんだ。」

秋穂あきほさんは遠くを見るような目で語った。


「今、どこにいるかは?」

「わか………らない。」


 そっか。

弟がいたけど、今どこにいるかわからないんだ。

だから、オレを弟にしたいのかもしれない。


 「これはさ、ボクの誕生日に、弟がくれた石なんだ。川原でね、綺麗だったからってボクにくれたんだ。本当にいい子なんだよ………」

瞳を閉じて、秋穂あきほさんは教えてくれた。


 秋穂あきほさん………

オレ、やなこと聞いちゃったな。


 どうすればいいんだろう………


 それでオレは背伸びをして、秋穂あきほさんをぎゅっと抱きしめた。


「大丈夫ですよ。大丈夫です。」

何度も何度も言って、背中をさすってあげると、秋穂あきほさんは顔をあげた。


オレの手を外して、

「ありがとう。」

と言って微笑んだ。


 でも、その瞳から、いく筋の涙が溢れでたことを、オレは見ている。


 「さ、ゲームの続きしましょう。」

オレが持ちかけると、秋穂あきほさんは目をゴシゴシこすって、


「もちろん。また負かしてやるからね。」

 読んでくださってありがとうございます!!

まさか、秋穂さんに弟がいるなんて………


あ〜あ、誰か秋穂さんの絵描いてくんないかなぁ。

私、絵が下手だからどうしようもできないんですよね。


 ってか、最近どんどん頭がオタッキーになりつつある。


 それでは、次のお話でお会いしましょう!!

(なんでそれではなの?)

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