あっちの夕暮れ
見上げれば星がいくつか見える
月は 無いみたい
夜の匂いがする
世界中のみんながあの空を知っている
いつもより早い
帰り道
家の灯りに目が行って
あの中にはきっと誰かがいて
誰かの分の晩ご飯を作っている
公園から帰る子供達が横切る
友達にさよならして
きっと温かい家族が待っているのね
ずいぶんと嗅いでいない
焼き魚の匂いがした
道路を走る車達
向かっているのは誰かが待つ家?
「ただいま」
「おかえり」
そんなやり取りをするのかな
きっと寄り道だってせずに真っ直ぐ帰る
向けられるのは温かい笑顔ね
ずっと昔にした
今日の出来事報告
私は
そんなものたちの中を一人歩いて
玄関をあければただただ
冷たい匂いがした