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「でも、まだわからない部分もある、とか?」
ちらりと視線だけで顔色をうかがう義一に、凰和はおだやかな笑みを絶やさなかった。
「仰る通りです。友仁はああ言っていましたが、私は自分の目で世界を見て確かめようと思っています」
「そう、だよなあ……」
自分でもなんと名前をつけたらいいかわからない複雑な気持ちが重くのしかかり、義一は肩を落として項垂れた。その低くなった頭をぽんぽんとなぐさめる手があって、義一は凰和と目が合うと自分の挙動不審さを自覚した。慌てて言い訳を考える義一を凰和はおだやかに見つめている。
言い訳は必要なかった。
「おじょうちゃんのくせに、包容力あるんだな……」
「そうなんです義一さん。私考えたら三〇五歳でした。サバ読みしてました!」
「いや読み過ぎだろ」
凰和は堪らないといった風に噴き出してきゃらきゃらと笑った。静けさ漂う山林の神社に少女の楽しげな声はよく響き渡る。義一はようやく凰和の顔を見れた心地がして、気がつくと自分ものどを震わせ笑っていた。




