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41 裏ステータスの詳細

予定よりも1日投稿が遅れて申し訳ありませんでした。急激にレベルが上昇した重徳はダンジョンから出てきます。そしてそこには・・・・・・

 謎のフロアーに出現した転移魔法陣に入ると着いた先は1階層だった。受付のバイトを終えたカレンが転移陣の近くで俺の帰りを待ち侘びている姿が目に飛び込んでくる。



「若、ずいぶん遅かったな。カウンター業務が5時で終わって、ここで2時間も待っていたぞ」


「カレン、ありがとうな。朝早くから仕事をしていたんだから、わざわざ俺を待っていなくってもよかったのに」


「若が無事に帰る姿をこの目で確認しておきたかったからな。私が好きでやっていることだから気にしなくていいぞ」


「さすがはカレンお姉ちゃんだ。弟思いだな」


「グッ! その『お姉ちゃん』という響きは何度聞いても私のハートを捉えて離さないぞ」


 俺の一言はカレンの仕事の疲れを忘れさせる効果があるようだ。可愛がる対象を発見したようなキラキラした瞳を向けてくるな。それにしてもこうして待っていてくれたカレンには感謝している。1人でダンジョンに降りていった俺が心配だったのだろう。



「そうだ、カレンに報告しておかないといけないことがあるんだ。ドロップアイテムの買い取りを済ませたら色々と話すから、個室で待っていてくれないか?」


「若の口ぶりからすると、相当な何かを仕出かして来たようだな。わかった、一番手前の部屋で待っている」


 俺がわざわざ個室で話したいと言った意味をカレンは理解してくれたようだな。ゲートを抜けて一足先に彼女は事務所の奥にある個室に向かっていく。俺はそのまま買い取りカウンターに向かうと、いつもの係員さんが出迎えてくれる。



「四條君、ずいぶん遅くまで中に入っていたんだね。その表情からすると今日は良い品が手に入ったのかな?」


「まずは6階層のドロップアイテムを買い取ってください」


 俺が取り出したのは普通のウルフがドロップした魔石や牙、毛皮などだ。あとはオークの魔石なども含めてカウンターに並べる。オークの肉だけは門弟のために持ち帰るからマジックバッグにしまったままだ。



「ずいぶん量があるね。これだけの量をたった1日で手に入れたのかい? 一体どれだけの魔物を1人で倒したというんだ!」


「6階層はちょくちょく魔物に遭遇するから片っ端から倒していったらこんな感じになりました」


 係員さんがビックリした表情を向けてくるけど、今並べてあるのは前座に過ぎませんよ。本番はこれからなんです。なにせ謎のフロアーでも変異種のウルフのドロップアイテムを大量にゲットしているからな。この程度で驚かれていたらお次が出し難くなるじゃないか。



「はい、これが買い取り金額だよ。全部で86500円、10パーセント源泉徴収されるから77850円だよ。ダンジョン産のウルフの毛皮はご婦人方に人気が高いから良い金額になるんだ」


「ありがとうございます」


 へー、そうなんだ! 魔物の毛皮を着るなんて女性のファッションに関する欲望に際限はないんだな。初めて買い取ってもらったゴブリンの魔石は確か数百円だったけど、下の階層のドロップアイテムにはいい値段が付くんだな。俺は7枚の諭吉さんとその仲間たちを財布にしまうと、改めて話を切り出す。



「実はウルフの仲間でもちょっと変わった魔物に出会って討伐したんですが、こんな物を落としたので見てもらえますか?」


「ほう、もしかしたら変異種なのかもしれないね」


 俺は一組の魔石と牙と毛皮をリュックから取り出してカウンターに置くと、果たして係員さんがどのような表情をするのか観察する。あれれ? おかしいな? 何の反応もしないぞ! もしかして俺が謎のフロアーで倒した魔物はわりと有り触れた獲物だったのかな? 



「こ、こ、これは・・・・・・」


 係員さんがブルブルと震えだしているな。何か気に触るようなことがあったのかな。



「あ、青いウルフの毛皮なんて新発見だよ! 四條君は一体ダンジョンの何処でこんな物を手に入れたんだ!」


 へっ? 新発見ってどういうことなのかな? もしかして今までに誰も討伐していない魔物だというのかな?



「この魔物は俺が6階層のトラップに引っ掛かって強制的に転移させられた場所に居たんです。俺も何処に飛ばされたのか丸っきりわかっていません」


「なんと! トラップに引っ掛かったというのかね! 6階層にトラップが現れるなんていう話は極めて稀だよ! そしてそこから生きて戻ってきたなどと、君を目の前にしても信じ難い話だ。しかし新種のウルフの毛皮という動かぬ証拠がある以上は、どうやら君を信じるしかないようだな」


 やはりトラップに引っ掛かるのは相当危険なことだったんだな。もしもお手軽火炎放射器である雑草バーナーがなかったら、俺だってあの場所で命を落としていたかもしれないんだよな。最初のうちは本当にバーナーが頼みの綱だったからな。通算レベルが50を越えた辺りからは素手で殴り倒していたけど。



「ともかくこの品は新種の魔物として念入りに鑑定する必要があるからしばらく預からせてほしい。結果が出たら四條君には改めて伝えるよ」


「はい、それで構いません」


 こうして魔物の詳細な姿形を告げてから、興奮した表情の係員さんを残して俺はカレンが待っている部屋へと向かう。 



「カレン、お待たせ」


「若、買い取りにずいぶん時間がかかったようだな」


「それがな、実は・・・・・・」


 俺はカレンに今日の出来事を包み隠さずに話をした。同じパーティーの仲間として隠し事をしたくはなかったからだ。さすがに裏ステータスの件だけは触れなかったけど。



「なんだと! 若はトラップに引っ掛かって何処かわからない場所に飛ばされたというのか!」


「そのとおりだよ。そこで今まで発見されていなかった新種のウルフ型の魔物と死闘を演じてきたんだ」


「呆れた物だ! それにしてもよく無事にこうして戻ってきたな」


「最初は苦戦したけど、次第にレベルが上がって戦い易くなったんだ」


「若、今のレベルはいくつなんだ?」


「20だよ」


 俺は表のステータスをカレンに見せると、彼女の表情は驚愕に包まれる。たかがレベル20程度で何をそんなに驚いているんだろうな?



「若、現在ダンジョンで活動している冒険者の中でレベル20に到達しているのは全体の5パーセントに過ぎないんだぞ。大抵が冒険者歴5年以上のベテランばかりだ。それを若はたったの2週間で成し遂げてしまったとは・・・・・・ 呆れる程の才能だな」


 カレンすまない! これは才能がどうとかいう話ではないんだ。神様から直接与えられた裏ステータスが為せる業なんだよ。そのおかげですでに通算レベルが100に到達しているんだ。だがこんなことを口にしようものなら、きっと俺は彼女に病院での受診を勧められるに違いない。しかもカレンは絶対に『薬は多めに出してもらえ』と付け加えるだろう。それにしてもレベル20の壁というのは意外と高いんだな。シラナカッタヨ!



「それはそうとして、若は常にトラブルに巻き込まれる定めなのかもしれないぞ。トラップに引っ掛からないように次からは私が案内するから、1人で入るのは自重してほしい」


「えー! トラップに引っ掛かったらレベルは上がるし、珍しいドロップアイテムは手に入るし、いいこと尽くめだぞ!」


「若、私は同じパーティーとして若がこれ以上危険な目に遭遇しないように真剣に提案しているんだぞ」


「すみませんでした。反省します」


 結局カレンの迫力に押されて俺は単独行動を自重する約束を彼女との間に交わした。と言っても来週末にはまた1人で入っちゃうからね。カレンはカウンターの仕事でその場から離れられないからな。



 こうして俺とカレンはダンジョン事務所を出て家路に着くのだった。





 その日の夜更け、重徳の部屋では・・・・・・


 俺はベッドに寝転んで自分のステータスを開いている。歩美さんと同じように表ステータスの一番下にある目立たない▽印をクリックすると、画面が裏ステータスに切り替わる。




 四條 重徳  【武】の編  【じん】の章  【王】の階位  第1段     



 男  15歳   



 職業    天防人あまのさきもり 


 体力    9913


 魔力    3542


 攻撃    8993


 防御力   8487


 知力    57



 保有スキル  四條流古武術  身体強化  気配察知  神足3段  神速2段  隠形1段(新)


 装備     炎神雷神の篭手  バール  雑草バーナー  下草刈りカッター 

  

 所持アイテム キラーウルフの牙  キラーウルフの魔石、 キラーウルフの毛皮  殺虫剤



 とまあこんな感じになっている。たった1日でレベル14から通算レベル100まで到達して、体力その他が50倍近くに跳ね上がっていた。この裏ステータスの効果というのは恐ろしいばかりだな。


 さてと、わからないままにしていた項目を詳しく見ていこうかな。それぞれの文字をクリックすると説明文が浮かび上がるはずだ。まずは今までは『レベル~』と表示されていた欄が変更になっているんだけど、その内容がどうなっているのか知りたいな。どれ・・・・・・



 【武】の編・・・・・・ レベルに関する編が【武】【闘】【神】の3編に分かれており、【武】の編は最も基本となる。



 【じん】の章・・・・・・ 【武】の編は【天】【地】【人】の3章に分かれており、【人】の章は最も基本となる。



 【王】の階位・・・・・・ 【人】の章は【兵】【曹】【将】【帥】【王】【帝】の6階位に分かれており、【王】の階位はその上から2番目に相当する。1つの階位は20段で構成されている。階位が1つ上昇するとともに、新たなスキルが加わる。



 なるほど・・・・・・ なんとなくわかったきたぞ。レベルが数字だけで表されるのではなくて、それぞれの階位を順番にクリアしていく仕組みになっているんだな。だから通算レベルが100に達している俺は【人】の章の【王】の階位に到達しているのか。軍隊で段々偉くなって、今では王様くらいの力が振るえる訳だ。王様で頑張ってあと20段上昇すると次はいよいよ皇帝陛下になるんだな。


 こうして人の位を極めると、次は【地】の章に移っていくんだな。よし、ここはもういいとして、職業を調べてみよう。天防人あまのさきもりをクリックしてみる。



 天防人・・・・・・ 神の地を守り魔を破る宿命を持つ、神と巫女に従う戦士。


 そのままだな。どうやら神様の目からすると俺は歩美さんの下に位置付けられているようだ。上か下かなんて問題はどうでもよくて、俺は自分の手で彼女を守ると誓っているから、この職業は自分なりに納得できるな。


 それじゃあ次はスキルを調べてみようかな。四條流とか身体強化はすでにわかっているから省略して、まずはこれだな!



 神足・・・・・・ 神から与えられた力で素早く足を動かして移動が可能となる。1段×時速10キロで最高速度が計算出来る。


 なるほど、要は早く走れるということだな。元々の俺が100メートルを12秒くらいで走っていたとすると、今では世界記録をぶっちぎる速さになっているんだな。その他にも魔物を相手にする時の一瞬の踏み込みも明らかに早くなっているから、おそらくは神足の効果が現れているのだろうな。よし、次にいこうか!



 神速・・・・・・ 神から与えられた素早く体の部位を動かす能力。攻撃時や回避の動きが加速する。


 そうか! あのウルフの変異種を相手にしている時に魔物の動きが次第に遅く感じるようになっていったのはこのスキルのおかげだったんだな。最後の方はウルフが止まって見えたからな。これはありがたいスキルだな。よし、次行ってみようか!



 隠形・・・・・・ 神から与えられた姿や気配を隠し去る能力。極めれば目の前に居ても姿を発見されなくなる。


 これは! 女子更衣室忍び込み放題ではないか・・・・・・ じゃないだろうが! 神様から与えられたスキルをそのような卑劣な行為に使用するなど罰当たりもいいところだぞ。このスキルはダンジョン内限定で使用することにして、日常では封印しておこう。



 あとは装備の欄に気になる文字があるな。炎神雷神の篭手とは何だろう? クリックしてみると・・・・・・



 炎神雷神の篭手・・・・・・ 異世界の神具。左手の炎神の篭手に魔力を込めると炎を撃ち出すことができる。右手の雷神の篭手に魔力を込めると、電撃を撃ち出すことができる。いずれも異世界のオリハルコン製で攻撃力と防御力が非常に高い。呪い等は掛かっていないので普通に使用可能。


 待ってましたよ! これぞファンタジーのお約束の異世界の武器を手に入れたぞ! それも神具とあらば相当強力な物に違いないぞ。そして俺のどう使っていいのかわからなかった魔力がついに日の目を見るんだ。これで魔法同様に遠距離から攻撃ができるな。戦いの幅が一気に広がるじゃないか! こうして改めて自分のステータスを見ると全てはあのトラップのおかげだよな。




 いかんいかん、自分のステータスを見ているだけでなんだかテンションが上昇してしまった。こんな浮かれた気持ちではどこかで足元をすくわれるかも知れないから注意しよう。


 それにしても1つだけ気になることがあるぞ。それは何でこんな簡単に俺のレベルが上昇したかだ。そもそもレベルは上がれが上がる程上昇しにくくなると聞いているし、自分でも5階層辺りでその感覚を実感していた。それが裏ステータス発動とともになぜこうも簡単に100まで達したのか、まるで狐につままれたような気持ちだ。


 うーん、考えてもわからないな。明日歩美さんの家に行って神様に直接聞いてみよう。そう決心して俺はステータスを閉じて寝るのだった。


 


まだまだ謎が残る裏ステータス、次回は彼女の家に行って神様から直接話しを聞くお話しになりそうです。果たして裏ステータスの正体とは・・・・・・ 投稿は土曜日の予定です、どうぞお楽しみに!


投稿間隔が開いてもたくさんのアクセスと評価とブックマークをいただいてありがとうございました。最後にいつもの一言を!


評価とブックマークがいっぱい欲しいなぁ(チラッ)

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