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30 入部説明会

ダンジョン部に乱入した縦ロール女子、彼女たちは一体何がしたいのか・・・・・・ 第30話をどうぞ!

「四條、貴様はセクハラのためだったら手段を選ばないのか!」


「梓ちゃん、落ち着いてください。いくらなんでもこれは事故ですから、ノリ君には責任はありません!」


 そうだ! 歩美さん、俺のためにもっと弁護してくれ! いくらなんでもこんな光景が出現するとは思っていなかったぞ。これは神に誓って真実だ。


 それにしても転がり込んできた2人は依然としてパンツ丸出しのまま倒れているな。せっかくこの目にできる物は遠慮なく鑑賞しておこう・・・・・・ じゃなくって! 助け起こしてやろう! おや、俺よりも先にロリ長が動き出しているぞ。一体何をするつもりなんだ?



「大丈夫ですか? ゆっくり起き上がってください」


 なんだと! 俺の横でロリ長が縦ロール女子の上に重なっている子に手を貸しているぞ。起き上がった子は顔を真っ赤にしてロリ長に頭を下げているな。この子は確か模擬戦の時に『斉藤君格好いい』と呟いていた子だよな。当然ロリ長もあの出来事に気がついているから、自らのハーレム作りの一環で彼女を助けているんだな。こいつめ、上手くやっていやがるじゃないか!


 その光景を目撃している二宮さんはロリ長の行動にちょっとだけ感心した表情を向けている。騙されちゃいけませんよ! あやつの行動原理はあくまでもハーレム拡大にあるんですからね!


 縦ロール女子は当然自分にも手を貸してもらえると思って右手を差し出しているけど、ロリ長は彼女に見向きもしないで助け起こした女子をエスコートして席に座らせているよ。あの縦ロール女子は二宮さんのファンだから、自分のハーレムには入らないと見切りをつけているんだろう。中々ドライな性格をしているじゃないか。助けられた女子はさっきよりもなお真っ赤な顔でロリ長にしきりに礼を述べているな。あやつの下心も知らないで、なんとも気の毒だ。


 そして放置されている縦ロール女子にはしぶしぶ二宮さんが手を貸して助け起こしている。なんだか縦ロールの目がハートマークになっているな。まあどうでもいいか。ようやく彼女も席について、稲盛先輩が仕切り直しの発声をする。



「ハプニングはあったが、この部は誰にでも門戸を開いている。2人とも、ようこそ第8ダンジョン部へ! せっかくだから後から来た2人も自己紹介をしてもらえるかな?」


 先輩は笑顔で彼女たちに声を掛けているな。どうやら先に立ち直ったのは縦ロールの方だ。起立して自己紹介を始める。



「先輩方、皆様、お騒がせいたしまして大変申し訳ございませんですの。ワタクシは1年Cクラスの榎本小夏と申しますわ。たまたま梓様を尾行、いえ、お声を掛けようと後ろを歩いていましたらこちらに入るお姿を目撃いたしましたの。よろしかったらお話を聞かせていただけると幸いですわ」


 確かに今『尾行』と言い掛けたよな。これはもうファンというよりもストーカーではないのか? 尾行をしているという自覚があるこんな危険人物を二宮さんは近くに置いて大丈夫なんだろうか?



「皆さん本当にお騒がせしました。小夏と同じクラスの桐山きりやま かえでです。小夏の保護者役ですのでどうぞよろしくお願いします」


「楓さん、ワタクシはあなたに保護者を務めろとお頼みした覚えはございませんのよ」


「あなたがいつも突飛な行動をするせいでしょう! 今日だってあなたのせいでこの部屋に転がり込んでしまったし」


「あら、楓さんも中の様子を伺うのには賛成したように記憶しておりますが、私の記憶が間違っているのでしょうかしら?」


「そ、それは・・・・・・ その・・・・・・」


 コラッ! そこの2人! いつまで漫才を続けるつもりなんだ? さすがに稲盛先輩も2人の様子を呆れて・・・・・・ ないな。なんだか面白そうに見ているぞ。さすがはリーダーを務めるだけあって、様々な性格の人間を束ねていく度量を持っているのだろう。



「さて、それではこの第8ダンジョン部について説明していこうか。ダンジョン部にはその部独自の情報や攻略法という物が存在している。それは先輩から後輩に受け継がれていくもので、他のダンジョン部に移籍しても口外しないという不文律があるんだ。それこそがダンジョン部ごとの最大の財産となっているんだ。ここまではいいかな?」


「「「「「「「はい」」」」」」」


「それからもう1つダンジョン部に加入するメリットがある。それは聖女や魔法使いがダンジョンの立ち入りを認められるのと同時期に、ダンジョン部に所属している1年生は上級生の同伴があれば内部に入れるという規定があるんだ。Cクラスの2人はともかくとして、Aクラスの5人はより早い時期にダンジョンを体験できる」


「なるほど、部活動ということで優遇されているのか。これはいいことを聞いたな。5月からダンジョンに入れるのは歓迎するぞ」


「僕も二宮さんと同様になるべく早い時期にダンジョンに入りたいと思っていたんだよ。これは好都合だから、入部を真剣に検討しようかな」


「早くダンジョンに入りたいッス! 自分は師匠にどこまでもついていくッス!」


 二宮さん、ロリ長、義人の3人はどうやら前向きに考えているようだな。早い時期にダンジョンに入れるというのは3人にとっては魅力的な提案だろう。



「ノリ君はどうするつもりですか?」


「俺は入部をするよ。歩美はどうするんだ?」


「私はノリ君と一緒がいいです」


 俺としては5月からダンジョンに入れるというのはメリットではないんだけど、現在すでに内部に入っている件を内緒にしてもらう約束だから選択肢はないんだ。入部一択と最初から決まっている。  



「もちろんワタクシも梓様と共に歩む考えですわ」


「そ、その・・・・・・ 入部を前提に考えています」


 縦ロール女子改め、榎本さんはきっぱりと言い切っているのに対して、桐山さんはロリ長の様子をチラチラと伺いながら返事をしている。彼女は縦ロール榎本に便乗して、ロリ長を追いかけてここまで来ているのが見え見えだな。こら、ロリ長! テーブルの下で小さくガッツポーズをするんじゃない!



「それではこの部内のパーティーの仕組みについて少し教えておこうかな。ダンジョン部は複数のパーティーが所属するクランだと考えてほしい。実習の授業で結成するパーティーには規定があって、勇者と聖女は各パーティーに1人と決められているんだ。他のメンバーの組み合わせは自由だけど、人数は必ず5人となっている。それに対して部活のパーティーはメンバーの組み合わせと人数は自由だ。場合によっては外部の冒険者ともパーティーを組める」


 なるほど、俺とカレンのパーティーも部活動として認められるんだな。これはいいことを聞いたぞ。授業で組むパーティーよりも自由度が高いのは俺にとっては好都合だ。



「だからその時の都合によって部内で自由にパーティーの編成ができるんだよ。もっとも連携をしっかりと確認する必要はあるけどね。今まで私たちはここに居る5人でしかパーティーの組みようがなかったから、君たちの加入は大歓迎なんだ。新たな組み合わせの可能性を確かめられるからね」


 なるほど、部内に多くの人材を抱えていれば、その時に合わせてパーティーを編成できるのか。俺は今まで少人数で動いてきたから、人数が多くなるとパーティーの動きや全体の戦力がどうなるかを実際に確かめられるんだな。おや、ロリ長が手を上げているぞ。



「稲盛先輩! 質問があります。僕のパーティーは自分以外は女性しか加入させないと決めているんですが、先輩たちも場合によっては僕とパーティーを組んでもらえますか?」


「もちろん大歓迎だ。だが、なぜ女性のみなのか? という理由に不埒な思惑を感じてしまうのは気のせいか?」


 ロリ長の目的はこれだったのか! ここは先輩方にこやつの魔の手が及ばないように忠告しておこう!



「先輩方、気をつけてください。ここに居る信長は危険人物です!」


「四條、変態セクハラ大魔王のお前に他人を非難する権利はないぞ」


 しまった! 二宮さんからの鋭い切り替えしが俺に華麗なブーメランとなって飛んできている。稲盛先輩をはじめとする事情を知らない皆さんの視線が痛いぞ。特に縦ロール榎本の視線は俺を射殺いころさんばかりだ。俺だって好きで二宮さんにあれこれした訳ではないのに・・・・・・ ちょっとだけ楽しんでしまったのは揺ぎ無い事実だけど。



「さて、ここまでの話を聞いて入部を希望する者はこの用紙にクラスと名前を記入してほしい。私が学園のダンジョン部運営局に提出しておくからね」


 先輩たちは優しくて丁寧だし、部室は少々ボロいけど特に不満はないな。この場に集まった全員が同じ考えのようで、揃って用紙に名前を記入している。その様子を目撃している先輩の1人は涙を流して喜んでいるよ。きっとこれまで少ない人数で苦労していたんだと思うな。これからは俺たちが頑張りますからね。



「これで入部の手続きは終了だ。明日から君たちは正式な第8ダンジョン部の部員となる。休み時間や放課後はこの部屋に自由に出入りしてかまわないぞ。ああ、それから2階は更衣室とロッカーになっているから、そちらも使ってくれ。それじゃあ今日のところは解散だ」


「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」


 こうして俺たちは部室の外に出る。色々とあったから小1時間経過しているな。外に出るといきなり縦ロール榎本が二宮さんに食いついている。きっとあらかじめロックオンしていたのだろうな。



「こうして梓様とご一緒できるだなんて望外の喜びですの! どうか今後ともよろしくお願いいたしますわ」


「あっ、ああ・・・・・・ 同じ部に所属する者同士よろしく頼む」


「なんと素敵なお言葉でしょうか! 梓様のお声を間近で聞けるだけで天にも昇る心地がいたしますの」


 おい、縦ロール榎本! ずいぶん調子のいい話をしているな! お前がストーキングしていた事実をなかったことにしているのか? そのちょっと横では・・・・・・



「さ、斉藤君、さっきは助け起こしてくれてありがとうございました」


「全然気にしないでいいよ。それよりも楓さんの番号とアドレス教えてもらえるかな?」


「そ、そんな・・・・・・ いきなり名前で呼んでもらえるなんて。良かったら斉藤君の番号も教えてもらえますか?」


「いいよ、それじゃあ交換しようか」


「はい」


 ロリ長のやつめ、上手いことして番号の交換をしているじゃないか! でもロリ長よりも桐山さんの方が嬉しそうな表情だな。まあ勝手にしてくれ。


 と、思っていると、誰かが俺の制服の袖を引っ張っている。もちろんそこに立っているのは歩美さんだ。



「ノリ君と一緒のダンジョン部に入部しちゃいました」


「そうだな、これからもよろしく」


「はい、足手まといにならないように頑張ります!」


「そんなに慌てる必要はないから、歩美のペースで確実に前進すればいいぞ」


 俺は彼女の頭にポンと手を置くと、なんだか心から嬉しそうな表情で上目遣いで見つめてくる。もしかしてこれはビシッと決める言葉を言えということなのか? どうしよう何も頭に浮かばないぞ! しばらく無言で見つめあう俺と歩美さん・・・・・・



「あのー、お取り込み中申し訳ないッス! 師匠! そろそろ稽古の時間になるッス!」


 義人! いいところで急に割り込んで来るんじゃないよ! でも確かに稽古の時間だな。ちょっと残念な顔をしている歩美さんの手を取って、全員に声を掛けながら校門に向かう。


 こうして無事に第8ダンジョン部に入部の手続きを終えた俺は家路につくのだった。





正式に入部した重徳たち、次回から部活動も舞台に加わった学園での生活が始まります。続きは明日投稿の予定です。


おかげさまでちょっと低迷していたこの小説のランキングが、昨日は11位まで上昇しました。日間総合でも130位辺りにいます。みなさんの本当にありがとうございます


最後にお礼の気持ちを込めたひと言を・・・・・・


ブックマークと評価いっぱい欲しいお!

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