表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/53

23 新たな挑戦者

舞台は学園に戻ります。果たして今度の挑戦者とは・・・・・・

 カレンは今日はそのまま自宅に戻っていった。俺は軽く道場で汗を流してから夕食と風呂を終えて自分の部屋に寝転がってステータスを開いている。




 四條 重徳  レベル12     男  15歳   



 職業  武術家 


 体力   156


 魔力    56


 攻撃力  142


 防御力  134


 知力    57



 保有スキル  四條流古武術 身体強化 気配察知



 注意事項   新たな職業はレベル20になると開示されます。




 とまあ、現在はこんな感じになっている。2階層のゴブリンを倒しても全然上がらなかったレベルが、コボルトキング1体であっという間に2つも上昇するなんて、やっぱり下の階層にいる魔物から得られる経験値は想像以上に高いんだな。この次は4階層に足を踏み入れてみようかな。


 それにしても今日のカレンのフカフカ攻撃は凄まじい威力だった。まだ俺の脳裏にはあの時に顔に押し当てられた感触がはっきりと残っている。今夜のおかずに決定だな。自家発電にはそれ相応の燃料が必要だが、カレンのオッパイは最高級の燃料になって俺の欲情を燃やし尽くしてくれるに違いない。


 おっと、いかんぞ! カレンは大切なパーティーの仲間なんだから、このような不埒な考えを抱くのは厳禁だ! 失礼にも程があるだろう! それに俺にはすでに心に決めた歩美さんという存在がいるのだ。カレンにこのような妄想を抱くのは歩美さんに対しても大変申し訳ない。本当にごめんなさない。深く反省しております。今日のところは疲れもあることだし自重しておこう。邪念を払って大人しく寝るんだ。



 あれ? 机に置いてあるガラケーが着信を告げているぞ。こんな時間に一体誰だろうな? 俺は起き上がってガラケーを手に取ると、その画面にはメールの表示がある。差出人はもちろん歩美さんだ。なになに・・・・・・



『ノリ君、稽古はもう終わりましたか? 今日もお疲れ様でした。明日学校でお話しするのがとっても楽しみです。それではお休みなさい。追伸、今夜はノリ君の夢を見られるといいな』


 なにこの可愛い文章は! 俺も歩美さんの夢が見たいです! 俺にとって最高の癒しをもたらしてくれるのはやっぱり歩美さんだ。メールひとつで俺の汚れた心が洗い清められて気分だよ! カレンのオッパイはこの際ちょっと横に置いて、俺はすぐに返信に取り掛かる。ふむふむ、やってみると以外に簡単だ。



『歩美、メールありがとう。いい夢が見られるといいな。明日まだ学校で!』 


 絶望的に文才がないな。どこの事務連絡だよ! これじゃあうちのクラス担任と大差ないぞ! 作文とか昔から大の苦手だったし、こうして受け取ったメールに何と返事していいのか全然わからない。歩美から送られたメールには絵文字とかいっぱい使ってあるけど、最後のハート以外どういう意味か良くわからないし・・・・・・ まあこれ以上考えても仕方がないから、このまま送信しよう。それ、ポチっとな。そしてそのまま電気を消して眠りにつくのだった。






 翌日・・・・・・


 いつものように教室に向かうと、入り口の前に歩美さんが立っている。そして俺の姿を見つけるとパタパタ足音を立てて駆け寄ってくる。ポニーテールにした髪が左右に揺れているな。同時に標準サイズよりも少し大きめの彼女の胸もいい感じに揺れているぞ!



「ノリ君、夕べはメールをありがとうございます。ノリ君からもらった初めてのメールはしっかりと保存しておきましたよ」


「こちらこそどうもありがとう。俺は生まれて初めて人からメールをもらったから嬉しかった」


「そうなんですか! やりました! ノリ君の初体験をゲットしました!」


 歩美さん、その言い回しは何も知らない人が聞くと誤解を招くんじゃないのかな? 周囲には聞き耳を立てているような人物は見当たらないからいいけど。もちろん歩美さんが言っているのは、うれしはずかし初体験とは違う意味だと俺がちゃんとわかっているからいいようなものの・・・・・・



「それにしてもあんなヘタクソな文ですいませんでした。俺ってどうも子供の頃から作文が苦手なんです」


「大丈夫です! 十分ノリ君の気持ちは伝わりましたから。それだけで私はとっても嬉しいんです!」


 本当に歩美さんは天使です! クラスのそこいらにいる聖女共が束になっても敵わないぞ! 俺の心をこれ程までに幸せな気分にしてくれるのはこの人だけだ! こうして俺と歩美さんは2人で教室に入っていくのだった。




 午前中は教科の授業が行われて特筆すべき点は全くなかった。俺たちは実技を一緒に行っているいつもの4人に義人を加えた5人で食堂に向かう。カフェテリアの列に加わり、それぞれが自分の好みの食事をトレーに乗せて席に着く。


 おや、二宮さん! 確実に昼食の量が増えていますよね! 今まではトレー2枚にご飯やおかずを載せていたのに今日は3枚なんですか! 山盛りのドンブリ飯が3杯とおかずは10種類近くになっていますよ。カウンターと席を何度も往復しながらせっせと自分の食事の準備に余念がなかったようですが、どうしてそこまで大量の食事が必要なんでしょうか?



「なんだ、四條! 私の昼食に何か用でもあるのか?」


「いやいや、二宮さん! 誰も何も言わないから敢えて俺が指摘しますけど、それ全部食べるんですか?」


「当然だろう! これからハードな実技実習を控えているんだ。このくらいは食べておかないと体が持たないぞ」


 おかしい・・・・・・ なんだか基準が違いすぎている気がする。ここまで来るとあれは大食い大会で優勝を掻っ攫うレベルではないのか。堅物という印象が強い二宮さんだが、彼女の胃袋だけは底が抜けているようだな。



「なんで梓はあんなにたくさん食べても太らないんでしょうか?」


「歩美さん、その件に関してはあまり触れないでそっとしておきましょう。二宮さんは俺たちとは違う食欲の世界に生きているみたいだから」


「そうなんですか。よくわかりませんがそうします」


 歩美さんは二宮さんと幼馴染だから彼女の食べっぷりを見慣れている分だけ不思議に感じていないのだろう。でもあれは俺でもかなり引いてしまうレベルだぞ。まあいいか、ちょっと話題を変えてみよう。



「義人、昨日の我が家の道場はどうだった?」


「師匠! きれいなお姉さんがいたッス!」


 義人の返事を聞いてなぜか歩美さんの目が警戒心に満ちた光を放っている。なんだろう? たぶん義人が言う『きれいなお姉さん』というのはカレンのことだろうけど。



「それで、その後はどうしていたんだ?」


 俺の問い掛けに対して義人は遠い眼をし始める。なんだろうな? こいつは今朝学校に登校してごく普通に授業を受けていたはずだぞ。なんでそんなに昔の記憶を手繰るような目をするんだろうな。そして次第に義人の顔色が青褪めて、額から大量の汗を流し始める。歯の根が全く噛み合わなくてガチガチと音を鳴らしているぞ。一体何があったというんだ?



「鬼が居るッス! あの道場には大勢の鬼が待ち構えて居るッス!」


 うわ言のようにそう呟くとそのまま義人は自分の殻に引き篭もってしばらく出てこなくなった。忘れようとしていた記憶が俺の言葉をきっかけに意識の表面に浮かび上がってきたようだな。たぶん兄弟子たちから手荒い歓迎を受けたんだろう。立っていると投げられて、立ち上がるとまた投げられての繰り返しだ。最初のうちはこうして投げられながら受身や技を覚えていくんだ。四條流の最初の試練だからどうか頑張ってくれ。



 こうして全員が昼食を終えて、自販機で購入した飲み物を片手に午後の実技実習の打ち合わせが始まる。義人はまだ殻に閉じこもっているのでそのまま放置だ。午後は時間が短いので、こうしてあらかじめ本日の予定を決めて鍛錬に取り組んだ方が効率的なのだ。ちょうどその時・・・・・・



「梓様ーーーー!」


 座っている俺の頭の上で甲高いソプラノボイスが響いた。振り返って見上げるとそこには髪の毛の両サイドを見事な縦ロールにした1人の女子生徒が真剣な表情で二宮さんを見つめている。もしかして知り合いなのか?



「日本初の女性勇者の二宮梓様ですね! ワタクシはCクラスの榎本えのもと 小夏こなつと申します。こうしてお声を掛ける機会をずっとお待ち申し上げておりました。どうぞお見知りおきをお願いいたします」


 突然声を掛けて自己紹介を開始したこの奇妙な女子生徒に対して、さすがの二宮さんもどう対応しようか迷っている様子が伺える。こういう所は女勇者といえどもごく普通の高校生だよな。堅物のように見えるけどキン○マと口走って激しく動揺する一面もあるのを俺は知っている。



「えーと、はじめまして、二宮梓です。どうぞよろしく」


 普通だ! 本当に普通の返しを二宮さんは選択した。たぶんこういう場面では誰しもこれ以上は無理だろう。いきなり声を掛けてくる縦ロール女子の行動が突飛過ぎるんだ。



「まあ、梓様のお声は何という高貴な響きを持っていらっしゃるのでしょうか! 梓様、ワタクシはこう見えても当代一の魔法の才能があると自負しておりますの。もしも将来パーティーのメンバーを選ばれる際にはぜひともお声を掛けていただきたいですわ」


「小夏! こんな場所で勝手に突っ走ったら迷惑でしょう! 皆さん申し訳ありませんでした。悪い子ではないんですがちょっと思い込みが激しくって・・・・・・ 私が目を放した隙に自分の席を飛び出してしまったんです! ほら、もう教室に戻るわよ!」


「いたたたた! そうやって耳を引っ張らないでくださいまし! エルフのように耳が伸びてしまいますわ!」


 急に現れたもう1人の女子生徒が俺たちにペコペコ謝って闖入者を連れ出していく。なんだったんだろうな? この学園には不思議な人が居るもんだな。



「四條、今のは一体誰だ?」


「二宮さん、俺に振らないでください! たぶん二宮さんのファンでしょう。Cクラスだと言っていましたね」


「二宮さんは人気があって羨ましいな。もしあの子の耳が伸びてエルフになってくれるんだったら、僕のパーティーに加えるのもありかな」


「信長、それ以上は絶対に口にするんじゃないぞ! お前のエルフ愛は十分わかったから、もう口を噤むんだ!」


 食堂で幼女どうこう口走られたら俺が居た堪れなくなるからな。それよりもロリ長よ! お前のハーレム作りはまだ一歩も前進していないではないか! こんな調子で崇高なる目的が達成できるのか? もちろん達成しない方が周囲は色々な意味で幸せなんだけど。




 こうして突然の乱入者の騒ぎが一段落して、再び実技実習の打ち合わせが再開する。だが今日はまたしても中断を余儀なくされるのであった。



「Aクラスの斉藤と二宮だな。俺はBクラスの駒井こまい 義文よしふみ、隣の女子は沢田さわだ あや。職業は聖騎士と戦乙女だ。Bクラスを代表して勇者2人に模擬戦を申し込みたい。この紙を受け取れ」

 

 やや横柄な態度で対戦申込書をロリ長に向かって突き出しているぞ。話には聞いていたけどBクラスの連中のうちのクラスに対する対抗意識というのはかなり強固なものがあるんだな。今回は俺は部外者だから高みの見物だけど。たぶん駒井と名乗った男子生徒が聖騎士で沢田という女子生徒が戦乙女なんだろうな。反対だったら気持ち悪いぞ!



「受けてもいいけど、どうせだったらここに座っている四條と対戦してみればいいんじゃないか。勇者10人を相手にして圧倒的な10連勝を飾っているAクラス最強の存在だよ」


「ふん、馬鹿らしいな。どうせ今だけだろう。それに一般人に負けるとは今年の勇者はずいぶんとレベルが低いともっぱらの噂だぞ」


 おい、ロリ長! 俺に話を振るんじゃない! こっちはすでに規定の10試合を終えて、模擬戦はしばらくお腹いっぱいなんだからな。それにしてもロリ長と二宮さんの模擬戦が見られるのか。これは興味が湧いて来るな。いつも実技実習で打ち合っているからわかるけど2人とも相当強いぞ。



「いいだろう、私は受諾するぞ。相手はそこの女子でいいのか?」


 さすがは二宮さんだな。男前の態度であっさりと模擬戦を承諾したぞ。それにしてもこの沢田という女子はさっきから何もしゃべらないぞ。元々無口な人なのかな?



「僕も構わないよ。どうやら今年の勇者はあまり評判が良くないらしいから、ちょっとくらいは名誉を挽回しておこうと思っていたんだ」


 ロリ長もすんなりと受諾したな。それにしても一体誰が今年の勇者の評判を落としているんだろうな。全く心当たりがないぞ。きっと悪い噂話を撒き散らしている性格の悪いやつが居るんだろう。ああ、一般人の分際で勇者を立て続けに負かした俺が原因なのか。



「明日の放課後に実施で構わない。すぐにサインをするから担任に届けておけ」


 二宮さんは相変わらずの男前っぷりを見せているな。ロリ長の試合もどうやら明日実施されることに決まったようだ。これは楽しみな展開になってきたぞ! 人事だと本当に気楽な立場で楽しめるからいいもんだな。今日の実技実習は模擬戦を控えた2人のために俺も気合を入れるとしようかな。


 こうして俺たちは食堂を出て午後の実技実習に向かうのだった。




次回ロリ長と二宮さんの模擬戦の様子をお届けします。投稿は明日を予定しています。


このところちょっと順位を落として現在ローファンタジーランキングの20位辺りをウロウロしています。多くの読書の目に留まるようにもう少し上の順位に返り咲きたいと思っていますので、応援してください。


特に評価がいっぱいほしいお!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ